軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.北浦スタンピード②

階段を下りていくと、湿原が見えてきた。木は低木くらいしかなくほぼ草だけど、地面は水たまりが多くぬかるんでる。

空は青く、ハイキング気分になってしまう。

「おー、すげー」

俺の語彙力は儚くなっているのだよ。

尾瀬のような広大な湿地帯にダンプが並んで走れるくらい広い木の道がある。ただし、道はいくつも枝分かれしてて巨大なあみだくじ状態。どれかが正解で2階への階段についたりして。

それにつけても。

「ハンターがいないな」

「スタンピードが起きてる3階に行っている可能性が高い」

「なるほど」

そりゃそうか。

北浦ダンジョンは湿地帯ダンジョンでランクは2だ。船橋が3らしいからこっちの方が優しいらしい。

魔物は両生類や爬虫類が出るんだとか。だいたい魔物ってデカいんだ。ってことは、デカイ両生類とか爬虫類が出てくるって寸法だ。

いやだなぁ。カエルとかぬめぬめしてて好きじゃないんだよな。

「今回のスタンピードではポイズントードが主な魔物」

「毒カエルかぁ」

「牛くらいの大きさでランクは5。ドロップ品は解毒ポーション」

「でっか! まさにウシガエル! ウシガエルっているけどそれは鳴き声が似てるだけなんだよ」

なんて馬鹿なことを言ってれば魔物が寄ってくる。湿原からゲコゲコ言いながら出てきたのは猫くらいのガマガエルだ。

「ビッグフロッグ。ランクは1 弱いけど毒を持ってる」

「じゃあ収納しちゃおう」

3代目金剛杖で突っついて収納する。

【収納:ビッグフロッグ×1】

木の道を小走りで通っているとビッグフロッグが寄ってくるので流れ作業で収納していく。

迷いながらも2階への階段を見つけた。そこには20人くらいのハンターがいて、殺気だってるのがわかる。

「おら死ねヤァ!」

「くそったれ!」

「逃げんな! あとがねーんだ!」

「毒液に気をつけろ! 解毒剤の在庫も怪しそうだぞ!」

「いってぇぇ!」

階段下から聞こえてくる声で、ハンターらはにじり寄ってくるポイズントードを減らしているが後から後から押し寄せるカエル軍団を押し留められないのがわかる。

「すでにここまで押し込まれてる。守君、ここを突破されると地上まで止めるハンターがいない。猶予はない」

「なるほど。では先生、俺たちはどうすれば?」

「おそらく2階はカエルでひしめき合ってるはず。強引に攻め込んで橋頭堡を確保してそこから減らしていくしか」

「先生も脳筋な思考するんですね。俺、そーゆーの好きですよ」

方針が決まれば後は実行するのみ。ハンターを押しのけて階段を下りる。むき身の剣とか危ない。

「なんだてめーは!」

「職員が来てもしょーがねーだろが!」

「ガキは邪魔だ!」

階段を守るように広がったハンターに怒鳴られた。当たり前だけどみな俺よりも年上だ。

カエルの魔物は2階にひしめき合ってた。紫色で牛くらいのカエルがポイズントード、宅配便で見かける2トントラックほどもあるのがジャイアントトード。でかいにもほどがある。

視界はそんな巨大なカエルの魔物でいっぱいだ。ハンターたちは近寄ってきたカエルに攻撃して倒してる。

「あれがキングトード」

京香さんが指さす先には、灰色で長い角が見える。かなり遠い。そこの大分手前ではあるけど、カエルの魔物が吹き飛んだ。

「誰かがいる?」

「アイアンビッチが来てんだよ!」

どっかのハンターが怒鳴った。

「アイアンビッチ?」

なんかすごい名前なんだけど。

「彼女が来ているのですね」

京香先生はご存じのよう。

「日本にいる10人のユニークスキル持ちのひとりです」

「そんな人がいれば大丈夫なんじゃ?」

「ただ、その人は徒手空拳な人なのでこの数を相手だと魔物を逃がしてしまいます」

「数が多すぎると。確かにひとりが頑張ってもどうにかなるレベルじゃないな」

見渡す限りカエルだもん。

「おそらくキングトードをしとめるために単独で突入したと推測されます。指揮魔物を倒せば周りのカエルの能力も落ちます」

「そいつを優先的にやればいいわけか」

ただ、カエルがでかすぎて投げ網でも2体がせいぜいだ。どうしよう。わずかでも触れれば収納できるんだ。

考えろ。何かないか。

投げ網は投げるもの。という考えは捨てよう。カエルはでかい。上に乗れるな。走れちゃうかも。

やるか? やっちゃうか?

カエルの八艘飛び。

レベルが上がってるし【師走】もあるし。腰あたりに投げ網を括り付けてカエルの頭の上を引きずって走り回ればいけね?

そして空間を確保したら【駆け込み寺】を作れば勝手に触ってきてウハウハじゃん?

「いける気がしてきた」

「守君説明」

「投げ網を引っ張りながらカエルの上を走り回ります。名付けて『カエルを地引網してやろう作戦』」

「私はどうすれば?」

「京香先生は俺の知恵袋だからなぁ、いないと困るけどここに置いていくわけにはいかないし」

魔物のそばには置けない。 こいつ(ハンター) らも信用ならん。

「ではお姫様抱っこを要求。走るのなら手は空いてるはず」

「それはそうだけど?」

「ん」

京香先生が「だっこー」のポーズで固まってる。耳が赤いので恥ずかしさも限界なんだろう。

投げ網を腰に括り付けて京香さんを横抱きにする。パンツスーツでよかった。スカートだと丸見えになってる。ここにいるハンターを処さなければならないところだった。

「人生初お姫様抱っこですね」

「守君のバージンを貰った……!」

「いや違うから」

俺の バージン(童貞) が危ない

「こんなところでいちゃついてるんじゃねえ!」

「カエレ!」

ブーイングが出たのでさっさとやってしまおう。思いっきりジャンプして手近なポイズントードの頭に乗る。やっぱり滑ってるけど走れないほどでもない。

ぬめっとポイズントードの手が伸びてくる。

「守、いきまーす!」

キングトードの角めがけて駆け出した。