軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

63.池袋アラグネシルク大作戦②

寺での打ち合わせから数日後。午前9時に池袋の黄金騎士団の事務所に集合した。獄楽寺からは俺、美奈子ちゃん、葉子ちゃんに渋谷ちゃんだ。

黄金騎士団の事務所はサンシャイン60の中にあったよ。儲かってるんだなぁ。で、黄金騎士団の会議室に通されて打ち合わせだ。

よくある安っちいテーブルではなくがっしりした会議用のテーブルに肘置付きの椅子と、お金をかけてる感じだ。

黄金騎士団側からは20名でうちが4名。4人だけか?みたいな視線もあるけど、この4人で池袋ダンジョンの踏破が可能なんだぞ?

「獄楽寺が到着したので打ち合わせを行う。説明は浦添から」

那覇さんの指名で色黒マッチョの浦添さんが立ち上がる。大きなモニターに文字が映し出された。

「今回の目的はクイーンシルクの入手だ。そのほかにスパイダーシルクも可能な限り持ち帰る。ダンジョンへ行くのは騎士団からは3パーティ。獄楽寺から1パーティの予定だ。国内のアパレルメーカーにお願いがなされたために池袋には多くのハンターが集まっている。その中でも我々の邪魔になりそうなのがクラン【エクセリオン】だ」

エクセリオンと聞いた渋谷ちゃんがビクッと肩を揺らした。

「渋谷ちゃん、エクセリオンって知ってるの?」

「あー、なんというか、そのー」

「坂場君、【エクセリオン】はスポンサーのライバル企業が出資するクランでね。もともとは同じスポンサーから出資を受けてたけどうちが納品を多くしたら契約解除になってしまってね。まぁうちの商売敵ってやつさ」

「その筋ではご迷惑をおかけしやした」

那覇さんに続いて浅黒い中年男性、えっと恩納さんだったっけ、が頭を下げてきた。

思いだした。那覇さんの結婚式で渋谷ちゃんにちょっかいかけてきたやつがいるって聞いてたな。そいつらか。

「なるほど。渋谷ちゃんにそんなことをしたってことは……そいつらって潰してもよくって?」

「クイーンシルク優先でお願いしたいな」

那覇さんが苦笑いで釘を刺してきた。逆に言えば、クイーンシルクさえゲットできちゃえばお好きにってことなのかな。

「瀬奈先輩も京香先輩も智もいないから守さんを止める人がいないのが問題ね。わたしじゃ無理よ」

「ミナ、わりーヤツなら矢でぶっさしてもいーダロ?」

「葉子、良くないわよ。襲われたらにしなさいよ」

「襲われればいーノカ! おーし、襲ってコーイ!」

美奈子ちゃんと葉子ちゃんがコワイことを言ってるぞ。騎士団側がうんうん頷いたり笑ってるから、よろしくない関係がわかる。そんなクランなんだろうね。

「その辺は事前に聞いてるので今回は配信する予定です。渋谷ちゃんはその要員なので、ダンジョンには俺と美奈子ちゃん葉子ちゃんで入ります」

「彼女にはうちの若いのをサポートでつける予定にしておりやす。お任せくだせぇ」

恩納さんが言う『若いの』は、たぶん渋谷ちゃんの彼氏だね。まぁそのために渋谷ちゃんを指名したんだけどさ。

「この件で集まったハンターとの小競り合いも予想されるので、各パーティにドローンを渡します。あと予備バッテリーもね」

飛んでると1時間しかもたないのよ。

「20階に行くのは僕と坂場君のパーティで、入手できるまで泊りになる。10階あたりを周回するパーティは各自の判断で動いてくれ」

「宿泊の準備はばっちりです。トイレもシャワーブースも持ってきたんで。あと全員にラビットフットも渡しますね」

という感じで打ち合わせは終わった。

時間がもったいないのでダンジョン宿泊組はすぐにダンジョンへ向かう。配信も同時に用意だ。

池袋ダンジョンの 待合場(ロビー) に集合する。俺はいつもの作務衣。女子は更衣室で着替えだ。

美奈子ちゃんは紺色の袴姿で葉子ちゃんは緑の迷彩服を着てる。統一感がないのは、まぁうちだし。

美奈子ちゃんの袴は行灯袴といってスカートみたいになってるやつ。上は水色で、ウエストが絞られてて胸部装甲がめちゃくちゃ強調されまくり。刀2本を腰に差して、とても凛々しい。

葉子ちゃんは長袖長ズボンの迷彩服で金剛弓を背中にしょってて、フーセンガムでも嚙んでればマンガの主人公にも見える。

ふたりが待合場にいる男どもの視線を吸い寄せてる。

俺?

蚊帳の外ですが何か?

「受信機はここに置いてっと」

渋谷ちゃんは私服のミニスカートでパソコンの準備中だ。ダンジョンゲートの近くだと邪魔になるから、そこには受信機だけ設置して、有線でつないだ無線ルーターで飛ばして、パソコン操作の渋谷ちゃんはギルドのカウンター近くにいる予定。彼女の脇には色黒の若い男の子がいてかいがいしく動いてる。渋谷ちゃんの彼氏で与那原という名前らしい。寺には連れてこないので会うのは初めてだ。ボディガードよろしく頼むね。

さて挨拶だけでもせねばとカウンターへ歩く。

「こんにちはー、獄楽寺ギルドの坂場でーす。これ、お土産でーす」

カウンターにいる女性職員に手土産のポーション&きれいな包帯&コケケケお肉セットを渡す。渋谷ちゃんをよろしくねって意味を含めてね。

「わざわざありがとうございます」

にっこり対応された。奥の方にはデブがいるけど、以前見かけたデブとは違う。

前のギルド長はうちとトラブったことで山梨のギルドに飛ばされたらしい。このギルド長もデブだけど口をはさんでこないな。学んだのかもしれない。

「お待たせ」

那覇さん一行が到着した。那覇さん含む5人だ。男3人女2人で、年のころはみな同じくらい。4人とも1軍さんで寺にも来てるイツメンだ。

短髪色黒がっしりな浦添さんは大きな盾を持っててタンク役。五分刈り細マッチョの 渡嘉敷(とかしき) さんは片手剣を腰に佩いててアタッカー。茶髪ショートの名護さんはクロスボウを持ってて、金髪ショートの 読谷(よみたん) さんは大剣を背中にしょってる。名護さんと読谷さんが女性ね。

4人ともレベル21とお強い。うちも負けてないけどね。

「おやおや、黄金騎士団じゃん」

「うわ、8人しかいない」

「人手不足かー?」

吹けば飛んじゃいそうな軽い声が聞こえた。そっちに顔を向ければ、若い男が10人くらいと、同じくらいの年齢っぽい女性5人が目に入る。

男たちはみな剣を持ってて服装もおしゃれな感じだけど、女性5人はカラフルなロングヘアーに毛皮の上着を羽織っててどこの蛮族?って恰好してる。円形の盾は持ってるけど武器が全員ハンマーとか棍棒だし。ワイルドにしてもオーバーランしすぎでは?

「なんだあれ」

「あれが【エクセリオン】さ。でも横にいる女性は見かけないな」

「あいつらは【アマゾネス】だな。普段は伊豆ダンジョンにいるやつらだ。【エクセリオン】だけでは20階に行けないから助力を頼んたんだろ。あいつらにそこまで行く力はない」

俺のつぶやきにこたえてくれる那覇さんと浦添さん。

【アマゾネス】て。なんてばっちりな名前。

「【アマゾネス】はちゃんと強そうですよ」

美奈子ちゃんが品定めしてる。確かに、【エクセリオン】よりも感じる圧が強いし。それでも美奈子ちゃんの方が強そうだけども。