軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

62.寺にいた猫又⑤

ホームセンターに向かった一行はペットゾーンで猫のケージを物色している。色々なケージがあり、目があちこちに移ってしまう。

「子猫がいるから大きい方がいいよね」

「これなんかいイイゾ!」

美奈子が物色していると葉子が家の形をしたかわいらしいケージを持ってきた。三角屋根がチャーミングだ。

「でも華奢じゃない? ゴブリンに襲われたらすぐに壊れちゃいそう」

「魔物の攻撃で大丈夫なケージなんてないんじゃない? ゴブリンだって力は強いし」

「えー、可愛いのニー」

美奈子と智に反論された葉子が涙目だ。

「錬金できねーかなー? あのくさいおっちゃんらに頼んだらできそうじゃん」

「ソレダ!」

京子がぽろっと提案すると葉子が食いついた。猫のケージに錬金って、と智と美奈子は絶句する。

「頑丈なのにしてもらおーぜ」

「じゃー、今日は仮の家を買うゾ!」

葉子がお気に入りの家型ケージを頭上に持ち上げる。かなり気に入ったようだ。

その後は猫の遊びグッズを見て回って寺に戻った。

「ダンジョンへ行くゾー!」

「よっしゃー」

ケージを抱えた葉子と京子が走って行ってしまう。武器も持たずにだが、ブレススキルと魔法があるので「まぁいいか」となった。ゴブ骨くらいは素手で殴っても倒せるくらいには強くなっているのだ。

「買ってきたゾ!」

葉子が寝ている『ふがし』に駆け寄る。『ふがし』は片方の頭だけ目を開けて『わふ』と応じた。半分寝てるようだ。

『ふがし』の毛の中から黒猫の頭がにょきと生えた。

『にゃ』

「どーだ、可愛いゾ!」

『にゃ』

葉子がケージを見せると黒猫が毛の中から出てきた。

「いつまでも猫じゃ呼びにくいし、名前を付けちゃおっか」

追いついた智が提案する。彼女らの中では飼うことは決定なのだ。

「それイイゾ!」

「それいいな!」

智が言い出すと葉子と京子が腕を突き上げて賛同する。

「親猫は——」

「ブラック!」

「クロスケ!」

「おはぎ、とか?」

「お菓子だと、守のセンスと一緒じゃない」

「そう? おかしで統一されてていいじゃない」

前途は多難そうだ。

ともかく、と智は仮のケージを設置して、中に毛布などを敷き詰めた。

「お引越しよ」

「引っ越しダ」

「そっとなー」

智、葉子、京子は『ふがし』に埋もれて寝ている子猫を発掘しケージに移していく。黒猫はケージの中で寝そべり、子猫をお腹で受け取る。引っ越しは滞りなく行われた。守の指示がないので『ふがし』はそこで寝たままだ。

「とりあえずはこれでよしね」

「錬金術師のおっさんに頼まねーと」

「アーシは連絡先シラネー」

「北国分さんに聞きましょう。お兄さんだっていうし」

ということで一行は食堂へ向かう。ダンジョンから持ち帰ったドロップ品は多いのでたいていは食堂で鑑定処理していたのでそこにいることが多いのだ。

「北国分さーん!」

「うへへへへ…………皆さんお揃いで、なんでしょ?」

いつものごとくドロップ品で「うひひひ」していた北国分だが、寺に来て若い男子に囲まれた生活で取り繕うことを覚えていた。一応乙女なので。

「北国分さんのお兄さんの錬金術師さんに相談があって」

「猫の家を作ってホシー!」

「かわいいのがいいぜ!」

「えっと。あれですか、京香さんが餌付けしてた猫が魔物になっちゃってって話につながってますか?」

葉子と京子の茶々をも加味して北国分は智に確認する。

「素材は集めるとしても、可能かどうかを聞きたくって!」

「なるほどなるほど。兄に聞いてみましょうか」

北国分がスマホを取り出し通話を始める。

「……そうなんだけど、ほら、私も世話になってるし、智ちゃんとかのお願いだし、京子ちゃんがどうしても欲しいって言ってるしさー、相談に乗って欲しいんだよね」

さすがに猫の家を作りたいと言われればと断りたくもなるだろうが説得中だ。

「……わかった。明日来るって伝えとく」

ということになった。

早朝の掃除後、涼子さんと朝食の準備をしてたら駐車場から爆音が聞こえた。あの音は【水平太閤】の車の音だ。何度も聞いたからすぐにわかる。

少しして寮の入り口から3人が入ってきた。

「お邪魔するでござる」

「お邪魔します」

「おはようなり」

「ござる」の秋山さん、北国分のお兄さん、「なり」の矢切さんだ。涼子さんにカットされた状態を維持してて非常にさわやかだ。風呂キャンセルはやめたのか、体臭も消えてる。服装もスラックスにシャツとシンプルだけど清潔感が爆上がりしてる。

「おや、やっぱりすっきりした方が良いじゃないか。馬子にも衣装だよ」

食堂に入るや涼子さんに褒められていた。ついでにとお盆に乗せたお茶を持っていく。

「朝食は食べたかい? まだだったら用意するよ」

「お、お願いします」

「お頼み申し上げるでござる」

「ありがたく頂戴するなり」

朝食を問われた3人が武士のごとく頭を下げた。3つ追加くらいは問題ない。おっと、目玉焼きを焦がしちゃうところだった。

「寝坊したぁぁぁ!」

ドタタタと降りてきたのは京子ちゃんだった。いつもなら起きて涼子さんの手伝いをしてるけど、昨晩は猫の名前で盛り上がってたらしい。と智に聞いた。

「あ、錬金術のおっちゃんらだ! こんちゃーす!」

京子ちゃんがトトトとテーブルに近づく。寝ぐせで長い金髪が爆発してるけど、それよりもだぼだぼのパジャマの胸元がガバガバで見えてしまいそうだ。

「げ、元気そうなりね」

「お、おはようでござる」

「おおおおおはよう」

それに気が付いてる3人は必死に視線を逃がそうとしてた。

「ほら京子、さっさと顔を洗って手伝いな!」

「わかったー」

京子ちゃんがトテテと洗面所へ消えていった。

その後も露出度の高い美奈子ちゃんやらポニーの4人が降りてきて、その都度【水平太閤】の3人は挙動不審になってた。がんばれ。