軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

36.踊るギルド内会議②

「さて問題の【自己治癒】だけど……6つある。俺は試すためにもう持ってるからね」

7個あったけど1個は那覇さんにあげたからね。

「んなもん守の嫁3人は確定だろうが。お前らは守を守ってかつ守られる立場だ。守が寿命で死ぬまでは一緒にいろ」

「もちろんよー」

「いわれずとも」

「あたりまえよね」

という感じであっさり使用してしまった。

いいの? 人間やめちゃうよ?

絶対に3人を幸せにせねば。

「アーシはホリュー」

「わたしもね。腕が鈍りそうだし」

葉子ちゃんと美奈子ちゃんが断ったので葉介さんも北国分さんも固辞した。これもビッチさんへの賄賂決定だ。

「次は【飛翔】の魔法だけど」

「ハイハイハイハイ! アーシ覚えタイ! 空飛びタイ!」

「あー、これは俺も覚えたかったが、まぁしかたねー」

葉子ちゃんが身を乗り出して挙手する。零士くんも空を飛びたかった様子。

「わたしは剣士として上を目指すので不要です」

「美奈は高いところ苦手だもんね」

「苦手なものはしょーがないじゃない」

「師匠とふたりっきりでお空デート(ぼそ)」

智が悪魔のささやきをしている。やめなさい。

「……………………オボエマス」

葛藤したすえに死んだ目の美奈子ちゃんがつぶやいた。

「師匠、わたしが抱っこして飛びますから」

「ん? 美奈子、無理しなくてもいいんだぞ?」

「抱っこしますからね?」

「お、おう……」

笑顔の美奈子ちゃんの圧がすごい。さすがの零士くんもたじたじだ。

「守くんは覚えるとしてー、わたしは妊婦だしー、パスかなー」

「同じく私も見送ります。まずは無事に出産です」

「その代わり、守くんに抱っこして連れてってもらえばいーもんねー」

「同じく。抱っこしてもらいます」

「じゃああたしは覚えて、守とお空デートするー」

ということになった。葉介さんは葉子ちゃんと飛翔時間とかの検証をする。北国分さんは覚えるよりもおさわりして悶えたいんだそうな。

「次は【サンダー】の魔法だけど。これも試すために俺は覚えたよ」

「ハイハイハイ! クロスボウで飛ばしタイ!」

これも葉子ちゃんが立ち上がる。

「いいですね。あらぬところから飛んでくる電撃。恐ろしいです」

「さすがパイセン! わかってるゼ!」

「葉子、どうせなら各種ブレスも覚えなさい。きっと役に立つ」

「覚エルエル! そしたら、アーシだけ置いて行かれてたケド、トモとミナに追いつけるゼ!」

葉子ちゃんがにぱっと笑う。

だいぶレベルの差が出ちゃってることを気にしてたのか。

ハンターの強さは、確かにレベル基準ではあるけど、スキルでひっくりかえすことは可能だ。

剣と剣では難しいかもしれないけど、剣と飛び道具ではできると思う。正面を警戒してたのに背後から突然襲ってくるブレスとか魔法とか脅威だろうね。

「白狼の【吹雪ブレス】とケルベロスの【炎の息吹】とブルードラゴンの【フリーズスパイラルブレス】とレッドドラゴンの【フレアスパイラルブレス】かな。ダンジョンボスのツインヘッドドラゴンのブレスは、あれ間違って当たると消滅しかねないから、やめた方がいいかも」

俺が言うのもなんだけどさ。

「ブレスが4つもあればそれで十分でしょう。葉子もそれでいいですか?」

「全然問題ナーシ!」

葉子ちゃんがぴょこんとジャンプする。葉子ちゃんが喜ぶときのクセだ。目に入れてもいいくらいかわいいぜ。

「ツインヘッドドラゴンのブレスは守が覚えればいいだろ。あれはあぶねえ。俺でも消滅するぞあれは。さすがダンジョンボスのブレスだ」

零士くんが腕組して進言する。実際に見たのは俺と零士くんしかいないからね。

ちなみに、俺がつけてたヘッドカメラの映像は京香さんに渡してあって、ダイジェストにまとめられたものを皆で見た。

改めてドラゴンを見て「かっこいいなー」なんてのんきなことを言ったら怒られた。零士さんにぼかしを入れたバージョンはギルド公式で公開する予定だ。

なお那覇さんにはぼかしなしノーカットで零士さんがばっちり映ってるやつを送った。奥さんたち4人だけで見てて「やっぱり兄貴はカッコイイ」と感涙してたそうな。

うちの妊婦さんと向こうの3人とビッチさんとは頻繁に妊娠に関しての情報をやり取りしてて、そこから教えてもらったとのこと。仲間っていいね。

「さて、ここからがさらに問題だね。まずは【日比谷ダンジョンマスター】のスキルから」

テーブルの上にスキル書を置く。スキル書を見た北国分さんが目を潤わせてハァハァ言い出した。「イィ、イィ」と息も絶え絶えだ。大丈夫かなこの人。

「これに関してはギルドのデータサーバを探しましたが該当するものがなく、日本では初と思われます。海外まではまだ調べられていません」

京香さんから報告だ。

「名前からするとダンジョンを管理するスキルっぽいが……わからんな」

零士くんがバリっとせんべいをかじると、こぼれる破片を美奈子ちゃんが甲斐甲斐しく拾っていく。見守るみんなの視線が「ママだ」と語っているような気がする。

おっと気がそれた。

「俺がダンジョンを所持してるみたいな感じなのかなぁ」

「希望的観測の話だが、そうであればあれらのドロップ品が確定で入手可能になるのと、ハンターのトップ層でも訓練できるダンジョンになるな。益しかねえ」

「【ヒール】はともかく【自己治癒】のスキル書を確定はちょっとなぁ……あまり世に出したくない感じ」

犯罪に使われる未来しか見えない。

「たしかどっちもエキドナからのドロップ品だったよな? そりゃーしょうがねーんじゃねーのか? 【自己治癒】はしまい込んでおくかだ。そもそもエキドナは数も少なかったし、心配するような数は手に入らんだろ」

俺と零士くんの皮算用を聞いていた瀬奈さんが静かに手を挙げた。

「わたしが覚えるわよー」

「おい妊婦!」

「京香ちゃんは守くんの知恵袋、智は守くんの相棒。でもわたしには何もないしー」

「瀬奈先輩、それは些細な問題だと思います」

「そーだよ瀬奈おねーちゃん」

「わたしも守くんの役に立ちたいのよー」

といって瀬奈さんはスキル書をとった。