軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

877:白き龍

《テイム》というスキルは、色々と特殊な性質を持っている。

そもそも使い手が少ないため、一般的にはあまり認知されてはいないのだが、ソロプレイにこだわりを持っているプレイヤーにはそれなりに重宝されているスキルだ。

俺はかなり序盤からこのスキルを取得していたわけだが、だからこそ言える――これは、かなりのイレギュラーであると。

「まさか、こんな形でテイムモンスターが増えることになろうとは」

《テイム》による契約には、基本的には二種類存在している。

一つは、友好関係を結んだうえでの契約。そしてもう一つは、力関係を示し屈服させたうえでの契約だ。

例として挙げれば、ルミナが前者、セイランが後者に当たるだろう。

卵から育てて幼体と契約するというシリウスのタイプもあるが、これはかなりのレアケースだ。

そもそも、魔物の卵などそうそう手に入るものではないし、孵化させるのもかなり手間がかかるためである。

だからこそ、基本的にはその二パターンに該当することになるだろう。

そういう意味では、今回のパターンは前者の方に当たると考えられる。

(それはいいんだがな――)

問題は、テイム対象となる魔物の制限についてだ。

これまではあまり気にしていなかったのだが、基本的にテイム可能な魔物は第一段階、もしくは第二段階の魔物となる。

第三段階以降の魔物は、基本的にはテイムできないと考えておいた方がいいだろう。

勿論、イベントに於いては例外もある――というか、今回のケースがその例外の最たるものだ。

まさか、第五段階に到達した魔物の、しかも真龍と契約することができるとは。

『私から提案しておいてなんですが、まさか契約できるとは思いませんでした。どうやら、貴方は卓越したテイマーのようです』

「驚きだってのはこっちの台詞なんだよな。第五段階、しかもネームドモンスター化を経た真龍なんて、俺たちよりもレベルが高いだろう」

白、つまりは光の真龍、ベル・ワイス。

彼女は、生き残った白龍たちの中でも最も高い力を持った個体であった。

プレイヤーを集めてパピーたちとの契約を行い、そして残る真龍たちを護衛して聖王国まで渡り、聖都近くの泉を拠点として置いた。

そこに至るまでに数時間をかけてしまったが、突然のクエストにしてはスムーズに事を運ぶことができたと言えるだろう。

まあ、問題はこれからなのだが。

■モンスター名:ベル・ワイス

■性別:メス

■種族:ルミナスドラゴン・ヘルヴォル『 勝利の光輪(シグルーン) 』

■レベル:66

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:100【制限中】

VIT:95 【制限中】

INT:145【制限中】

MND:120【制限中】

AGI:100【制限中】

DEX:98 【制限中】

■スキル

ウェポンスキル:なし

マジックスキル:《天光魔法》

スキル:《断爪撃》

《絶鋭牙》

《光属性超強化》

《レーザーブレス》

《物理抵抗:極大》

《聖光輪》

《MP自動超回復》

《超位魔法陣》

《天光翼》

《魔法抵抗:極大》

《龍王覇気》

《聖域展開》

《光輝の鱗》

《変化》

《龍王気》

《ホーリーハウル》

《瞬間再生》

《霊気収束》

《 軍勢の守り手(ヘルヴォル) 》

《極烈煌刃》

《魔力蓄積》

《ラグナロク》【制限中】

称号スキル:《真龍》

これが、《テイム》して確認したベル・ワイスのステータスである。

ほぼ全てのステータスが100の大台に乗ろうとしている怪物。

能力の傾向は、おおよそルミナの上位互換と考えてもいいだろうが、そのステータスはあまりにも圧倒的だ。

だが――残念ながら、彼女はこのすべての能力を使うことはできない。

書かれているように、一部能力が制限されてしまっているのだ。

「……済まんな、俺が未熟だから、アンタには枷をかけてしまっている」

『それは致し方のない話です。純粋な力では、私は貴方を上回っていますから』

確認したところ、制限されているステータスは、表示されている数値よりも15ほど下がってしまっているようだ。

流石に、自分よりも強いモンスターをテイムするという事象自体が初耳であるため、そのような制限がかけられるとは思っていなかった。

特に、制限されてしまっているスキルである《ラグナロク》。

名前からしても強力そうなスキルであるのだが、それが使えなくなってしまっていることはかなり痛いと言えるだろう。

「今更だが、大丈夫なのか? エインセルと戦うのに、能力を制限されちまうってのは」

『無論、承知した上で契約を持ちかけましたから。その代わり、貴方がたの支援を受けられるということでしょう?』

「まあ、それはその通りではあるんだがな」

果たして、俺のパーティに入ることに、そのデメリットを受け入れるだけの利点があるのかどうか。

俺としては微妙なところだと思うのだが、彼女がそう言うのであれば受け入れるべきだろう。

「それより、パーティをどうするかだな」

「一旦、私とアリスさんは別パーティになって、ミニレイドを組めば一緒に行動はできますね」

「パーティ用のクエストは請けられなくなるけど、まあ仕方ないんじゃない?」

残念ながら、彼女を加えると俺たちのパーティは七名になってしまう。

つまり、一つのパーティでは収まりきらない数だ。だからこそ、これまでテイムモンスターは増やさずに来たのだが、流石にこのレベルの真龍を無視するということはできなかった。

二人の言う通り、パーティを分けてレイドとすればともに行動することもできる。

まあ、パーティ用のクエストを受注できなかったり、取得する経験値が減るなどのデメリットはあるものの、とりあえず周辺で行動する分には問題ないだろう。

しかし、そんな俺たちの相談に、ベル・ワイス――ベルは申し訳なさそうな様子で顔を伏せた。

『すみませんね、ご迷惑をおかけします。基本的に、私はあまり出ない方が良いでしょうか』

「いや、連携を確認する意味でも、しばらくは一緒に戦った方がいいだろう。数値の上ではわかっても、実際に戦ってみないことには分からないことも多いからな」

確かに、ベルが加わったことによるデメリットはそれなりにあるだろう。

しかし、それを差し引いたとしても、ネームドの段階に達した真龍はあまりにも強力過ぎる。

その力を取り入れることができれば、エインセルとの戦いも多少は有利に傾けることができるはずだ。

それに、彼女の力が加わることは、シリウスにとっても良い刺激となることだろう。

「ところで、アンタはネームドモンスター化しているようだが、その段階に達しても龍王にはなれないのか?」

『ええ、龍王とは女神様によって任命されるものです。単独で力を高めたところで、その資格を得ることはできません』

「ふむ……そういうものか」

レベル50に達すればシリウスも龍王になれるのかと思ったが、そう簡単なものではないらしい。

何か特別なクエストでも発生するのか、或いは他の何かか。

現状では不明だが、とりあえずはレベル50になるまでは特に何もないということだろう。

「アンタは、龍王になろうとは思わないのか?」

『……私は、あくまでも白龍王様に仕える者。私自身がその場に立てるとは、到底思えません』

俺個人としてはそんなことは無いと思うのだが、ベルには何かしらのこだわりがあるらしい。

それが彼女なりの信条であるというのなら、こちらから何かを言うことはできないだろう。

まあ、龍王になればテイムモンスターの立場を続けるというわけにもいかないだろうし、とりあえず今は気にせずにいた方がいいか。

「そうか……まあ、とりあえず白龍王の泉に戻りつつ、戦い方の確認をしておこう。あの泉の扱いについても、確認しておいた方がいいだろうしな」

白龍王の躯が眠るあの泉は、拠点として扱うにしても注意が必要だ。

あの躯をどのように扱うべきかについても、確認が必要だろう。

そこに辿り着くまでの間に、ベルの力をチェックさせて貰うこととしようか。