軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

124 改良ポテトカッターとピーラー

「アルト、使い勝手はどうかしら?」

アルト達と厨房の皆の昼食の時間が過ぎた頃、アデライーデはマリアと共に厨房に視察に訪れた。

「フライヤーは素晴らしいです!納品されてから兵士達を待たせる事なく食事を提供出来るようになりました」

いい笑顔でアルトはフライヤーを撫でていた。

油のはねもきれいに掃除されたピカピカのフライヤーだが、熱くないのかちょっと心配だ。

厨房の作業台の上には、以前頼んでいたピーラーと芋をスティックにする道具、ポテトカッターが並んでいる。

「あら、枠をつけたの?」

「はい、芋が転がるのでマデルに頼んで作ってもらいました」

アデライーデが頼んだのは、格子状になったスライサーに取っ手がついたものだが目の前にあるのはそれに枠がついて脚もついている。

枠と脚の付いたスライサーを下に置き上から鉄板を押すと下にスティックになった芋が落ちてくる仕様になっていた。

これだと大量にスティックポテトを作れる。しかもスライサー部分は取り外せてお手入れができるようだ。

「凄いわ。考えたわね」

「お陰様で、仕込みの時間が半分以下になりました。それにこのピーラーで皮むきの時間も減った上に、誰でも薄く皮を剥けるのでゴミも減りました」

マニーはあれからちょくちょく離宮に来て、料理人達の要望を聞き試作に試作を重ねていたと言う。見ればピーラーは大きさも変えて10個ほどあった。

「最新のピーラーはこれです」

アルトから手渡されたピーラーで芋と人参の皮を剥くと、滑るように薄く皮が剥ける。前世のピーラーと何ら遜色がない。

「いいわ…すごく使いやすいわね」

絵を描いたとは言え、全く知らない道具を作り出したマニーと料理人達の熱意は凄いと感心していた。

マニーが試作を作ると料理人達がそれを使い改善点を言う。それをもとにまた試作を作る…それを今まで繰り返していたらしい。

「アデライーデ様。フライヤーとピーラーとポテトスライサーですが、よろしければこれを王宮の厨房で使用してもよろしいのでしょうか?料理長が王宮でも是非使いたいと言っておりまして…」

「ええ、いいわよ。使ってもらえるならどんどん使って」

王宮ではアルヘルムが率先して、もてなしにフイッシュアンドチップスやポークカツレツ-トンカツ-を出しているようで、王宮の厨房も同じ悩みを持ってるのだ。

特にフライドポテトはご婦人に人気で、夜会でも手を汚さず食べられるように飾りのついた携帯スティックが流行っているという。

どの世界も 芋栗南京(いもくりなんきん) は、女性の心を掴んで離さないようだ。

「ところで、あの四角いフライパンは何に使うのでございますか?」

アルトが指差した銅で出来た四角いフライパンは厨房の片隅に置かれていた。

フライパンは丸いものじゃ無いのか?ポテトカッターやフライヤーの鍋と網もだけどアデライーデ様は四角がお好きなのだろうか?

マデルや調理人達は、最初首を捻りながらそんな事を真剣に話していたと言う。

そんなことはない。たまたま「最初に」頼んだものの形が四角だっただけだ。

「それでね、卵を焼くのよ」

「卵を…ですか?」

「普通のフライパンでは駄目なのでしょうか?」

「出来上りが四角にならないとダメなの」

「卵を四角に??」

アルト達は口をぽかんとあけて驚いていた。

想像がつかない。

卵料理と言えば、スクランブルエッグに目玉焼き。ポーチドエッグにオムレツ…。

四角い卵料理なんて見た事も聞いたこともない。

「アデライーデ様、四角い卵料理とはどんなものでしょうか」

料理人達は興味津々にアデライーデに尋ねるがアデライーデはちょっと困った顔をした。

「説明が難しいわ…。実際に作ってみせる方が早いのだけど、コーエンに菜箸を頼んでいるから、コーエンが山から帰ってきたら作るわね」

「サイバシ……」

またもアデライーデの口から聞き慣れぬ言葉が出てきた。新しい料理器具だろうかとアルト達は顔を見合わせた。

卵焼き器をマデルに頼んだ後に、この世界では箸がないと気がついてコーエンが山に行く前の挨拶に来た時に、アデライーデは菜箸と箸を頼んでいた。

フォークやフライ返しでも卵焼きは作れなくはないが、自分が作って見せるなら使い慣れた菜箸が欲しかったのだ。

卵焼きはレシピだけ教えても作れない。

でも作り方さえ見せれば、アルト達は菜箸でもフライ返しでもフォークでも使いやすいもので作ってもらえばいい。

「アデライーデ様、コーエン様が山から帰ってきたので試作のお目通りをとのことですが、どういたしましょう」

レナードが厨房に入ってきて、アデライーデにコーエンの訪問を告げた。