軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第077話 事件?

魔物を倒していくと、昼になったので森を出る。

そして、川沿いに敷物を敷き、昼食のサンドイッチを食べる。

「美味いな。アンは本当に料理が上手い」

「子供の頃からやってるからね。もう10年になる」

いつもありがとうよ。

「しかし、本当に冒険者が来ないな」

午前中に2組のパーティーを見ただけだ。

「人気なのは東か北の森だからね」

「北の森も儲かるのか?」

「あそこは東の森以上に大きいし、王都に繋ぐ大事な道があるから討伐料が高いのよ。難点は東の森は町のすぐそこだけど、北の森は町を出て、徒歩で1時間はかかること」

あー、そういえば、遠いな。

前はラシェルで飛ばしたからそうでもなかったけど、確かに距離があるわ。

「それは面倒だな」

「私も何回か行ったことがあるけど、帰りがしんどい。エリックと一緒だったらおぶってもらいたいくらい」

まあ、アンジェラくらいならおぶって帰れるな。

「メアリー達も行くのかね?」

「近いうちに行くと思うわよ。あの子達は元気だから1時間の歩きも苦にしないでしょ。最悪はラシェルを連れていくでしょうし」

メアリーは走っていきそうだな。

「あいつに転移でも教えてやろうかな……」

それだったら楽に帰れる。

「覚えられるの?」

アンジェラも転移自体は使える。

もっとも、長距離の転移は無理だが……

「難しい魔法だが、時間をかければ……あ、無理だ」

肝心のこらえ性がなかったわ。

「メアリーはねぇ……」

うん、あいつはねぇ……

センスはあるのだが、魔法使い向きの性格をしていない。

「アンジェラ、午後からは魔法のレッスンでもするか」

「いいの? ここ1年くらいは教えてもらった記憶がないけど」

俺も教えた記憶がないな……

「よーし、今日の動きを見ていて、アンは攻撃に関しては何の問題もないし、防御の方を教えよう」

「痛いのは嫌よ?」

「そんなことしない。ちゃんとした防御魔法だ。アンは転移があるとはいえ、動きがにぶいから大事になってくると思う」

にぶいというか、動く気がないというか……

「まあ、万が一のために覚えておいた方が良いか」

「そうそう。じゃあ、午後からはそれを教えていくぞ」

「よろー」

昼食を食べ終えると、森には入らず、アンジェラに防御の魔法を教えていく。

防御の魔法は2種類あり、1つは結界であり、矢や魔法を防ぐ魔法だ。

もう1つは肉体を強化する魔法であり、魔力を込めれば剣で斬られても軽傷ですむレベルまで強化できる魔法である。

どちらも簡単な魔法ではないのだが、魔法使いとして上級なアンジェラはすぐに覚えることができたし、覚えた魔法を実戦で使えるレベルまで上達することができた。

「アン、本当に魔法使いとして才能があるぞ。魔法だけなら俺やアーヴィンよりも上だろう」

「そう? 悪い気はしないわね。勝てる気は一切しないけど」

それはそう。

こっちは戦いのプロだもん。

「すごいと思う。魔道具屋の店員にしておくのが惜しいと思うくらいだ」

ヴィオラやロジャーはずっとそう思っているだろうが、改めてアンジェラの魔法を見ると、そう思ってしまう。

「私、魔道具屋の副店長だから。そもそも戦い向きの性格をしてないし」

いや、してる。

心の強さがある。

優しいから人を相手にする軍人には向いてないが、魔物を相手にする冒険者なら十分に向いていると思う。

「複雑だな。当然、ウチで働いてほしいが、元軍人としては戦う方に進んでほしいとも思う」

「嫌よ。私は魔道具屋で働くのが好きなの。あと家のこと。エリックはそう思わない?」

もちろん。

「思うよ。そうしてほしいってな」

「じゃあ、それで良いじゃない。エリックだって人のことは言えないでしょ」

俺も魔道具屋をやるよりは戦いの道の方が向いているだろうな。

自分でもそれは理解している。

「それもそうだな。アン、これからも頼む」

「もちろんよ」

アンが頷く。

「ちょっと早いが、そろそろ帰るか」

「そうね」

俺達は帰ることにし、橋を渡る。

大きな川は壮大だし、やはり風が気持ちよかった。

そして、町まで戻ってくると、通りを歩いていく。

時刻はまだ16時前であり、店を開く準備をしている店員の姿が見えるのだが、なんか多いような気がするし、ヒソヒソと話しているように見える。

「何だ?」

「さあ? 何かあったのかしら?」

どうしたんだろうと思っていると、この前もアーヴィンとローレンスの3人で行った馴染みの店の大将を見つけた。

「大将」

「こんにちはー」

大将に声をかける。

「あ、エリックか。アンジェラちゃんと飲みに来たのか?」

「いや、冒険者の仕事の帰りだ。それよりも何かあったのか? 雰囲気が変だぞ」

「あー、それか。実は昨夜、領主の息子が襲われたんだとさ」

領主の息子?

「領主に息子がいたのか?」

まあ、そもそも領主を知らないけどな。

この町だけなのかはわからないが、貴族である領主が町に出てくることなんてないし。

「知らねーけど、いてもおかしくないだろ」

「まあな……しかし、襲われたって何だ? 屋敷でも襲撃されたのか?」

領主の屋敷は北区にある。

もちろん、見たことはあるが、そんなに注目して見たことはない。

「その辺はわからん。そういう噂が立っているから皆が話しているんだろう」

そういうことか。

「貴族の情報なんか降りてこないか」

「だろうな。犯人捜しでも始めて、こっちに迷惑がかからないといいけどな」

確かに。

「面倒なことにならないといいが……」

「アーヴィンに聞いてみたらどうだ? あいつなら知ってるだろ」

軍人だし、知っているとは思うが、話してくれるかね?

「わかった。また、飲みに来るわ」

「そうしてくれ」

俺達は大将と別れると、ギルドに向かった。