軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第076話 ロマンチックさ×

そのまま歩いていくと、西門を抜けた。

「久しぶりだわー」

「俺、来たことあったかな?」

目の前には平野が広がっているが、先には川が見える。

そして、対岸には森が見えている。

「エリックがこっちに来ることなんてなくない?」

ないよな……

「いや、見たことない景色だと思って」

北門、東門、南門の先の光景は思い出せるが、ここはない。

「じゃあ、ないわよ」

10年も住んでいるのに西門の先に初めて来たのか。

「川があるな」

川自体は見たことがある。

あれは南北に伸びている川で北門から王都に向かう街道からも見えるのだ。

「あれを下っていけば王都に着くわね。誰もそんなルートは行かないけど」

街道を進むわな。

「魔物退治って言ってたけど、結局は奥の森か?」

川が南北にずーっと流れているが、ちゃんと橋がかけられているため、森にも徒歩で行けるようになっている。

「そうね。あそこはそんなに深くないのよ。ただ、ゾンビやスケルトンがいる」

あー、思い出した。

昔、どっかのガキ共が肝試しとか言ってあそこに行った騒ぎがあった。

ジェイク坊やって言うんだけどな。

「じゃあ、行ってみるか」

「ええ。魔法の勘を取り戻さないと」

毎回、それなんだよなと思わないでもなかったが、アンジェラと橋に向かって歩いていく。

そして、橋を渡るが、ちょうど真ん中ぐらいで立ち止まり、川を見る。

「風が気持ちいいな」

「そうねー……それにすごいわ」

この川は幅が100メートル以上もあり、それを横断する橋もかなり大きい。

「メアリー達はここまで来て、帰ったんだろうな」

見ただけって言ってたし。

「こっちの方が儲かるんだけど、あまり人気はないのよ」

ゾンビとスケルトンではな……

別にそこまで強いわけではないが、魔石の採取や討伐証明の確保が厳しいんだろうな。

特にゾンビ。

「誰かが帰ろうって言いだしたな」

多分、消去法でシャーリーかな。

メアリーは気にしないし、カトリーナは聖職者だ。

「でしょうね」

「アンジェラは大丈夫か?」

「別に気にしないし。魔物は魔物。ゴブリンと一緒よ」

アンジェラも鋼の心か。

「じゃあ、問題ないな。行こう」

「ええ」

俺達は橋を渡り、対岸までやってくると、そのまま森に入る。

こっちの森は東や北にある森と違い、そこまでうっそうとはしていない。

なので、奇襲がそこまで怖くない。

実際、ゾンビがこっちに向かって歩いているのが見えているし。

「アンジェラ、ちょっとだけやらせてもらってもいいか?」

「ん? 別にいいけど運動がてら?」

「そんなところだ」

空間魔法からダガーを取り出し、構える。

ゾンビはゆっくりとこちらに近づいてきているのでアンジェラが襲われる心配はないと思い、あっという間に背後に回った。

「あれ?」

アンジェラが首を傾げると同時にゾンビの首を刎ねる。

ゾンビは頭がない状態でもそのまま数歩歩いたが、膝をつき、そのまま前のめりに倒れ、動かなくなった。

「こんなものか」

ゾンビは動きが遅いが、生命力が高いので少々のダメージではひるまずに近づいてくる。

しかし、首を刎ねれば簡単に倒せる魔物でもある。

「いつの間に動いたの? 全然見えなかったけど」

「そういう技術だ」

「ぜーったいに暗殺術でしょ。魔物に対する動きじゃないじゃん」

暗部だし、戦場が森だったからな。

敵の増援を呼ばれたら困るし、こうやって音もなく、敵兵を殺すのだ。

「軍人なんだよ。それよりもやはり動きは悪くなかった」

かなり動けている。

「良かったんじゃん。衰えてないのは良いことよ」

まあな。

「ゾンビの魔石はどこだ?」

「心臓」

アンジェラに教えてもらったのでゾンビに近づくと、仰向けにし、ナイフで胸を切る。

そして、心臓から数センチくらいの赤い石を取り出した。

「討伐証明は?」

「耳ね」

ゴブリンと同じで耳か。

「冒険者が嫌がるわけだ」

そう言いながら耳を切ると、立ち上がった。

「ほら」

アンジェラに魔石と耳を渡す。

「どうも。もうちょっとロマンチックなプレゼントが良かったわ」

「ここじゃ何を渡してもロマンチックにはならん」

目の前にゾンビが倒れているんだぞ。

「まあねー……もう大丈夫?」

「ああ。確認したかっただけだ。後はアンジェラの魔法の練習をしながら魔物を狩ろう」

「じゃあ、そうしましょう」

その後、アンジェラが魔法の確認をしながらスケルトンやゾンビを倒していく。

スケルトンは小さな竜巻を起こすエアリアルでバラバラにしたし、ゾンビはエアカッターで首を刎ねていた。

「この森は魔法使い向きだな」

スケルトンやゾンビなんかのアンデッド系は生命力が高い。

しかし、スケルトンもゾンビも動きが遅いし、この森は割かし周囲を見通せるため、動きの遅い魔法使いでも近づかれる前に魔法で倒せる。

「そうなんだけどねー……さすがに1人では来られないし、そうなると、どこぞのパーティーに入れてもらうことになるんだけど、そのパーティーがここに来るのを嫌がる」

そのパーティーメンバー魔法使いじゃないだろうしな。

魔法使いがいないからアンジェラを入れるわけだし。

難しいな。

「まあ、俺が付き合うよ。俺も別に気にしないからな」

ゾンビを嫌がるのは気持ち悪いのもあるが、人間に近いからだろう。

軍人だった俺には気にしない。

「うん。ありがとう」

ゾンビから魔石を採取しているアンジェラが振り向き、微笑んだ。

その顔は非常に可愛らしく、さすがの美人だなと思ったが、その後ろにいるゾンビの死体がすべてを台無しにしていた。