軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第120話 アルディア王国の現状

「団長」

「遅いわ……さて、そんな黒影団だが、戦闘の終結と同時に解散となった。というのも、私以外、誰も王都に帰還しなかったからだ」

「「すみません……」」

俺とローレンスが口を揃えて謝罪する。

「よい。しかし、実はこれはかなりの問題になりかけた。何故なら全部隊に王都への帰還命令が出ていたのにこれを無視したからだ。軍法違反であり、重罪である」

確かにそうだ。

「マズかったですか?」

「いや、普通ならマズいが、戦争が終わったこと、我らには功があったこと、また、私がお前らの『自分達の報酬をアーヴィンや死んだビルやローランに与えてほしい』という意思を告げたことで大きな問題にはならなかった」

それは良かった。

今更追われてますだったらすぐにミルオンの町に帰るわ。

「ありがとうございます」

「構わん。さて、戦後、長い戦争で傷付いた国を回復させるため、どんどんと軍縮が進んでいった。一方で帝国を始めとする周辺国の関係強化も進め、平和への道を進んでいくことになる」

それは俺も知っている。

「おかげさまでミルオンの町は平和そのものです」

「うむ。この点については私も良いことだと思う。思うことがなかったわけではないが、妊娠を機に意識が大きく変わった」

そうだろうな。

俺もメアリーがいるからわかる。

「俺も同感です」

「俺もです」

ん?

ローレンスはちょっと違わないか?

「国内は反戦の色が強くなっている。これをどう思うかは個人の自由に任せよう。一方で過激な者もいまだにいるのは否定できない」

「過激ですか?」

「10年では戦争の傷は癒えないということだ。私ですらたまに夢を見る。死んだビルやローランを訓練中にしばいている時の夢だ。そして、目が覚めて絶望する」

隊長は上官だから思うところが強いんだろう。

「わかります」

ローレンスが同意する。

「おそらく、私達が死ぬ時代までは消えない。もっとも、それまで平和が続いているかは知らんがな」

次の戦争が始まるかもしれない。

確かにそうだ。

しかし……

「そうなるようにしてくださいよ」

「努力はしている」

隊長が頷いた。

「隊長、話の結論は何でしょう?」

何が言いたいんだ?

「現在、国のいたるところでテロが確認されている」

「テロですか?」

「ああ。そして、そのテロリストは我ら黒影団を名乗っているのだ」

そう言われて、俺とアンジェラがローレンスをじーっと見る。

「やはりお前か、ローレンス……」

隊長が苦笑いを浮かべた。

「あ、いや、俺は名乗ってないですよ。そういう噂に便乗して、ちょっと世直しをしただけです」

「テロ以外の何物でもない」

まあね。

「隊長、ローレンスって察していたんですか?」

「ローレンスが最初にウチに来た時、こいつの旅路を聞いた。テロが起きた場所と時期が見事に一致していた。しまいにはミルオンの町での領主宅襲撃事件だな」

あー……

「ローレンス、観念しろ」

「ちょ、隊長、俺はそんなつもりでは……!」

「じゃあ、どういうつもりかと聞きたいが、そこはいい。ただ、もうするな」

「わ、わかってます。エリックやアーヴィンに散々、説教されました」

したな。

「まあ、お前のバカさ加減はわかっているし、お前が起こした事件はたいしたものじゃない。しかしだ、起きている事件の中には重い事件もある」

「悪役貴族や商人をとっちめたと聞いていますが?」

神父さんから聞いた。

「それもまだ可愛い方だ。中には殺人などもある。主に狙われるのは貴族や商人だがな」

うーん……

「結構な問題じゃないですか」

でも、知らんぞ。

「その通り。お前達が察している通り、情報規制がかかっている」

やはりそうか。

「容疑者は?」

「むろん我らだ。私、エリック、ローレンス、アーヴィン、ハドン、ウォルトン、マーストン、それと主に後方支援を担当していたミスティだな」

これに死んだビルとローランを加えた10名が黒影団だった。

「国はそう思ってるんですか?」

「容疑者から外れるのはアリバイが明確な私、アーヴィン、ミスティだな。私を含めたこの3名はいまだに軍属であり、勤務時間から実行は不可能とされている」

「ミスティは何を?」

ミスティは前線にはいなかったが、同じ黒影団のメンバーだ。

一番若い女性だった。

「同じく暗部だ。もっとも、奴は出張中だがな」

王都にはいないのか。

「隊長、一応言っておきますが、俺もアリバイはありますよ。何しろ、ずっとミルオンの町で店をやってますからね。そもそも町を出たのも今回が初めてです」

町の人が証人になってくれる。

というか、アーヴィンがなってくれるか。

「だろうな。そもそもお前はそういうことをしない奴だ」

「あ、俺はアリバイがない」

ローレンス……

「お前はないもクソもあるか」

さすがに隊長がローレンスを睨む。

「すみません……」

「まあ、お前もそんな大層なことはしない奴だ」

まあね。

領主の息子を襲うのは大層なことだと思うけど。

「隊長、ハドン、ウォルトン、マーストンは?」

「そいつらは行方知れずだ。まあ、お前らもだったがな」

それはそう。

「その3人が犯人という可能性は?」

「わからん……」

わからないか……

俺もわからんな。

「他の容疑者は?」

「第一に考えられるのは我らを貶めているのだから他国の密偵だな」

というか、帝国か。

「大問題ですね」

「だからこその情報規制だ」

国の上層部も反戦ムードなわけだ。

問題を大きくしたくないといったところか。