軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

06話 王妃への反撃

さて、王妃教育の日になりました。

「フリアデル王国の特使のおもてなしの席で、王妃として特使にどんな言葉を掛けるべきかを書きなさい」

いつものように王妃様が、私に課題を出しました。

「解りませぇーん」

私がそう言うと、王妃様は怖いお顔をなさり、私をキッと睨みました。

「解らなければ考えなさい。今日中にできないなら明日も来てもらいますからね」

「解らないのでぇー、王妃様ぁー、教えてくださぁーい!」

「自分で考えなさい!」

「解らないのでぇー、お手本をみせてくださぁーい!」

私は投げやりな態度で、王妃様に言いました。

「王妃教育っておっしゃいますけどぉ、王妃様が私に何か教えてくださったことって一度もありませんよねぇ? 私ぃ、フリアデル王国のことは解らないのでぇ、ぜひぜひ王妃様に教えていただきたいですぅ!」

「自分で調べなさい……!」

「ええー、教えてくださいませぇー、王妃様ぁー。王妃教育でしょぉ? 王妃様はぜんぶお出来になるんですよねぇ? 教えてくださいませぇー!」

「……っ!」

「ねぇねぇ、王妃様ぁー、もしかして解らないんですかぁ? 王妃なのにぃ、解らないんですかぁ?」

「わ、私が、答えを教えたら、あなたの勉強にならないでしょう!」

「王妃様は答えをご存知なのですよねぇ。ならば教えてくださいませぇー。私には解らないので教えてくださいませぇー」

「それを考えるのが、あなたの勉強です!」

「ええー、どうして何も教えてくれないんですかぁ? 何も教えてくれない王妃様は、王妃教育にいらないんじゃないんですかぁ?」

「ぶ、無礼な!」

「だってぇ、王妃教育の講師の皆様はぁ、私に色々教えてくださいましたよぉ? 私になーんにも教えてくれないのはぁ、王妃様だけですよぉ? 王妃様はどうして教えてくださらないんですかぁ? できないんですかぁ?」

「で、できるに決まっているでしょう!」

「本当ですかぁ? 課題を渡す以外にもできるんですかぁ? 課題を渡すだけなんてぇ、子供にもできるお使いですよねぇー」

「課題を考えているのは私です!」

「そうですかぁ?」

私は太々しい態度で、王妃様を見下すように薄ら笑いを浮かべて言いました。

「近々、実際にフリアデル王国の特使様がいらっしゃいますよねぇ」

私はもう家であくせく勉強をすることは止めました。

それで時間ができました。

時間さえあれば、王宮の公式行事の予定をあらかじめ調べるくらいのことはできるのです。

客人をもてなす晩餐会などの予定は、秘密でも何でもありませんからね。

「それって王妃様が考えた課題じゃなくてぇ、ただの王宮の予定なんじゃないんですかぁ?」

「……っ!」

「王妃様ぁー、お手本を見せてくださいませぇー。フリアデル王国の特使様がいらっしゃるんですからぁ、王妃様は当然、特使様にどんなご挨拶をするかお考えになっていらっしゃいますよねぇ。お手本にしたいのでぇ、ぜひぜひ教えてくださいませぇー」

「……」

王妃様は怒りの形相のまま、黙りこくってしまい、わなわなと震えました。

ああ、やっぱりね。

王妃様には、解らないんですよね。

私の回答をアテにしていたんですね。

「あ、そういえばぁ、王妃様に教えていただいたこと、一つだけありましたぁ!」

私はニヤニヤ笑いをしながら言いました。

「王太子妃になるなら、ルシアン殿下より良い成績をとってはいけない、でしたよねぇ? でもぉ、ルシアン殿下はどんどん成績が落ちていくのでぇ、ルシアン殿下の成績の悪さに合わせるのは難しすぎますぅ!」

私はわざとらしく困り顔をして、駄々をこねる子供のように口を尖らせてみました。

「私ぃ、ルシアン殿下より頭が良いみたいでぇ、気を抜くとすぐルシアン殿下より良い成績取っちゃうのでぇ、王太子妃になれませぇん!」

私はずっとその調子で、課題をやらず、イヤイヤ口調で駄々をこねました。

王妃様は悪魔のような形相で「もう知りません!」とキレて出て行ったので、これ幸いと、私も帰宅しました。

翌日はもちろんお休みです。

もう王妃教育には行かないと決めました。

さて、その後。

「お腹が痛ーい、これじゃ王妃教育に行けなーい!」

私は翌週から、仮病を使って王妃教育をさぼることにしました。

「フェリシア、いい加減にしなさい。一体いつまで王妃教育をさぼるつもりだ。王妃様がお怒りだぞ!」

さぼりが三回目になると、父が私を叱りつけに来ました。

「私、具合が悪いのでぇー、行けませーん」

私はベッドの上で、頭から毛布をかぶって抵抗しました。

「仮病だろう!」

「お腹が痛いですぅー」

「そんなことではルシアン王子殿下と結婚できなくなるぞ!」

「それが何か?」

「王妃になれなくなるぞ!」

「別にぃ、私はかまいませぇん」

「王妃様とルシアン殿下のご不興を買ったら、この先、我が家がどうなると思っているのだ! ルシアン殿下は王太子、次代の国王陛下なのだぞ!」

「それはどぉでしょーかぁ?」

私はかぶっていた毛布から頭を出すと、真顔で父に言いました。

「ルシアン殿下はたしかに王太子ですが、王妃様に似て、頭がとても残念なお方です。あれで本当に即位できるんですか? 貴族たちは反発するのでは?」

「それは昔の話だ。ここ二年ほどでルシアン殿下は大きく成長なさった。ルシアン殿下の政治に期待している貴族は多い」

「ラルベル公爵領の堤防とか? 織物産業の優遇政策とか? 市場の免税とか?」

「そうだ。お前も知っているのか。すべてルシアン殿下の発案だ」

「私の案です」

「はあ?」

「それらはすべて、私が、王妃様に提出した課題の回答です」

「何をふざけたことを……」

「それをこれから証明します。私がいなくなって、王妃様とルシアン殿下がどこまでやれるか……」

私は再び毛布を頭からかぶりました。

「私はベッドの上から、高みの見物をいたしますわぁ!」