軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

8 魔王封印システムの謎

「それで、アンナは獣人なの?ミルコの知り合いなんだよね?」サラに尋ねられ、アンナは驚愕しつつも観念した。

(聖女…サラ様は心が読めるんだわ。だって、何も言わなくてもミルコの名前を知っていた。これを言えば本当なら身の破滅だけど、サラ様はきっと、いいえ、必ず悪い様にはしない。だって、ミルコの事をかばって下さったもの)

「はい。私は獣人の血が入っています」

「でも、全然分からないね。それに男爵令嬢なんでしょう。この国で獣人は貴族になるなんて本当は出来ないんじゃないの」

「はい。私たち一族はサルの獣人なんですが、元々尾がすごく短い種族なんです。耳も人と変わらないので、人に擬態して生きてきました。男爵位は父の商売がうまくいって、お金で買ったんです」

「ミルコは知り合いなの?」

「ミルコと私は、私たちがまだ貴族になる前から同じ町に暮らしていました。ミルコはまだうんと小さかったので、私の事は覚えていないと思いますけど、私はミルコが赤ちゃんの頃から知っています。それがある日、街に人の奴隷商がやって来て、獣人家族を大勢連れ去ったんです。 私たちはまだ貴族でもなく、目を付けられるのが怖くて、何も出来ませんでした。貴族になってこの城で働くようになってから、ミルコがここにいた事を知りました」

「奴隷は、この国では違法じゃないの」

「獣人と魔族に関しては違法ではありません。人は奴隷商から安い値段で奴隷を手に入れて、働かせています。魔族は主に書類仕事や侍従、獣人は力仕事と違いはありますが」

ふうむ…とサラは考えて「でも、力は獣人の方が強いし、魔力は魔族が強いでしょ。なんで抵抗しないで従ってるの?それはやっぱり、魔王封印に関係あるのかな」

「そうです。私たちは、魔王様に忠誠を誓っているので、魔王様を危険にさらす事は出来ません。実際は過去に逆らった者もいたらしいですが、返り討ちにあって失敗したそうです。それと魔族は、魔力を魔道具で抑えられていると聞いています」

「やっぱりそうなのか」

サラは全く副音声の聞こえないアンナの話と、さっきの王様の本音、ルーカスやエイヴァの言う【数か月】という言葉から、何となく大体の構図が見えてきた気がした。

でも、まだまだ分からない事もある。

「アンナ。私、あの王様達の言っている事は全部嘘だって知ってる。私にはそういう力があるの。だから、アンナの話が全部本当だって事も知ってるし、信じる。

ここに召喚されてからずっと、色んな心の声を聞いて予想できた事もあるけど、分からない事もあるの」

「私が知っている事なら、なんでもお話します」

「王様は聖女が王族と結婚したって言ってたけど、本当は何か月か魔王の封印に力を注がせられて、最後は力尽きて亡くなってるよね?

聖女一人が持つ力全てが、封印百年分って事かな?」

「私たちには封印は百年しかもたないとしか、伝わっていません。異世界から呼ばれた聖女様については、結婚は分かりませんが、力を使い尽くして亡くなったと、一族の言い伝えにあります」

「つまり、聖女は魔王を百年封印することが出来るのは確かで、消滅させられるかははっきりしないってことか」

「そうですね。ただ消滅させられるかは別として、王家は魔王様の力を必要としているとは聞いています。封印の為の魔法陣で魔王様の魔力を吸い取り続けて、それを自分達の力として使っているんだそうです」

(胸糞悪いな、あいつらほんとに)サラは心の中で悪態をついた。

「本当は消滅させる事が出来るから、何か月もかけて力を注いでいるのかな。一気に力を使うと魔王が消滅しちゃうとかで、でも魔王の魔力が大事だから、聖女には少しずつ力を魔法陣に注げって命令して…」

サラがうーんと悩み始めると、アンナは「すみません。私は貴族と言っても一番下の男爵で、しかもなり立てなのでそういう知識が無いんです。魔王様の封印されている場所がどこかも知りません。

囚われている獣人や魔族に少しでも何か出来ればと思って、お城の侍女になりましたが、ここでも下っ端過ぎて出来る事がほとんど無いんです…」と情け無さそうに頭を下げた。

「大丈夫だよ。何と言っても聖女は私なんだから。私はあいつらじゃなく、あなた達の聖女になるって決めたから! アンナは、誰か封印とか魔法陣の事詳しく知ってる人はいない?」

サラが尋ねると、アンナはしばらく考えてから「あ、あの魔族の人なら」と顔を上げた。「王太子殿下の下に付いているイーサンという魔族がいます。彼なら、何か知っているかもしれません」