軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7 それで、あなたは獣人なの?

「では、封印っていうのはどうやれば良いんですか」サラが尋ねると「それはここにいるルーカスとレイモンド、そして二人の婚約者の令嬢達が聖女様にお教えする手はずになっている。やはり、年の近い者同士の方が話し易いだろう」

『お前に関わっているほど、わしは暇ではない』

肝心の聖女召喚理由を聞く時騙されてはいけないと、サラは王様が話している間中ずっと力を使っていたが、全ての言葉が真実暴露の副音声付になり、すごいなとある意味感心していた。

(この人、嘘ばっか…。私はホントの事が分かるから良いけど、今までの聖女は騙されたり、時には脅されたりしたんだろうな。それにしても聖女召喚・魔王封印って、この国の一番大事なところみたいなのに、自分で見届けなくて良いのか? ま、私はやり易そうだから良いけど)

「わかりました。ルーカスとレイモンドと、女の人二人、名前は聞いてないけど婚約者なんですね?四人から後で聞きます」

王が退室した後、ルーカス他三名がサラのところへ集まってきた。

さっき名前を知らないと王に言ったからか、婚約者という二人がやっと自己紹介をしてきた。

紺髪は「私はジャネット・ラングリー公爵令嬢、ルーカス様の婚約者ですわ」

ピンクは「私はマリアン・ホワイト伯爵令嬢、レイモンド様の婚約者よ」

二人共「聖女様。これからよろしくお願いします」と笑顔を作って見せたが、サラが「よろしく。ジャネット、マリアン」と答えると目が冷たくなった。

呼び捨てにしたから怒ったのだと分かっていたので、サラは特に二人の心を読まなかった。

それからルーカスが「聖女様。まずはドレスを作らなければなりません。これから採寸して制作に取り掛かりますが、完成までは少しお時間をいただきます。その間、この城にあるドレスでサイズの合いそうなものを、とりあえずお召しになっていてください」と言い出した。

それから、いつの間にか近くに控えていたエイヴァとアンナに向かい「衣装係が来たらすぐ採寸させて、ドレスを持ってこさせろ。お前たちがお手伝いして聖女様が着替えてから、この部屋を出るように。必ず着替え終わってから移動するんだぞ」と言いつけた。

そのまま四人は謁見の間から出て行こうとするので、サラは「魔王封印については、いつ話をするの」と呼び止めた。

レイモンドが「今日は聖女様もこちらに来たばかりでお疲れでしょう。着替えてお部屋に戻られたら、後はゆっくりお過ごしください。食事は時間になったら、お部屋に運ばせます」と答えた。

「そうね。今日いきなり知らない所に来させられたから、確かに混乱しているみたい。それじゃあ、お言葉に甘えてゆっくりさせてもらうわ。

でもこの侍女さん達は私とずっと一緒にいてくれるのよね? 初めての日に一人じゃ心細いわ」サラは、ルーカス達にエイヴァとアンナの事を尋ねた。

するとエイヴァがすかさず「恐れながら、王太子殿下。私は今日実家の伯爵家へ帰らなければなりません。ずいぶん前から、お休みをいただいております」と言い出した。

ルーカスはそれに反対しようと口を開きかけたが、サラは「あら。それじゃあエイヴァは帰らなきゃいけないわね。私の国では、お休みは労働者の当然の権利なのよ」と言い「でも、アンナは大丈夫なんでしょう」とアンナに確認した。

「はい。私は問題ございません」「それなら良かった。アンナがいてくれれば良いわ」

その返事を聞き、ルーカスは「では、我々はこれで。また明日ゆっくり封印の話をしよう」と言って四人そろって退出した。

それから衣装係がサラの採寸を終え、城に保管されているドレスからサイズの合うものを幾つか持って来てくれたので、サラはその中から一番動きやすそうな一着を選んだ。エイヴァとアンナがそのドレスをサラに着付けて客間へ移動し、エイヴァもそこで「それでは、これにて下がらせていただきます」といなくなった。

サラは自分を嫌っているエイヴァだから、ああ言えばきっと理由を付けていなくなると思っていたので、願った通りの状況になり満足だった。

後はアンナとゆっくり話をするだけだ。

部屋の外には護衛騎士が立っているが、室内はアンナとサラのみ。

しかし、一応サラは自分達の周りに小説で知っている防音の結界を施してみる事にした。

(イメージ、イメージ)

強靭で音を通さないシャボン玉を想像し、自分とアンナが包まれるように腕で円を描くと、何かに包まれたような感覚があった。

(結界、出来ているか見えないかな)見えろと願ってから一度目を閉じて開くと、二人の周りに透明な膜がゆらめいて虹色に輝いているのが見えた。

試しに膜を指で押してみると、弾力があり跳ね返される。

「出来た!これで私たちの話は誰にも聞かれないわ」サラは、アンナに笑いかけた。

アンナも結界を感じているようで、きょろきょろと辺りを見回していたが、サラの言葉にハッとして向き直った。

「聖女様」

サラは手のひらをアンナに向け「その聖女様っていうのはやめて。気づいてた?あの人達、一回も私の名前を聞かないのよ。自分達の名前は名乗っても、私の事は聖女様としか言わないの。きっと、道具の名前と一緒なんだよね」

「では、なんとお呼びすれば」

「サラって呼んで。私の名前はサラよ。あと、敬語も無しで。私は、ここに誘拐されてきただけの、日本の女子高校生。今は魔法が使えるみたいだけど、別に偉くもなんともない」にかっと笑ったサラに、あっけに取られていたアンナが「サラ様…」

とつぶやいた。

「それで、アンナは獣人なの?ミルコの知り合いなんだよね?」

サラの質問にアンナはすくみ上った。