軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6 呼ばれた理由…そうなんですねー

「さ、さようか。それならば、今回は聖女に免じて良しとしよう。しかし、ルーカス。早急に聖女のサイズに合うドレスを用意するように」

「御意」

指図する王様と畏まるルーカスに、サラはせっかくだからとお願いをした。

「ルーカスがドレスを用意してくれるなら、私もデザインを一緒に考えたいんだけど。正直言ってフリルとかリボンは趣味に合わないので、意見を言わせてもらいたい」

サラの言葉に二人とも一瞬あっけに取られたが、王様が「ルーカス、そのように」と言えばルーカスも「御意」と受け入れた。

部屋の隅に立っているレイモンドと二人の女からは『図々しいにも程がある』『なんでルーカス様を呼び捨てなの』『私もドレスが欲しいわ』という心の声が飛んできたが、サラは全く気に留めなかった。

「それで、聖女様を呼び出した訳なんじゃが」王が話し出したところで、サラはそれをさえぎって「私もそれを聞きたいと思ってるんですけど、その前に私も椅子に座って良いですか」と尋ねた。さっきから王様は玉座に座っているのだが、サラはルーカスと一緒にその前に立たされていて大いに不服だった。

(私は言わば無理やり連れて来られた客なのに、なんで【聖女様】は立たされてて、王様だけ座ってるわけ?頼み事のある人間のする態度じゃないよね)

王の心の声は『この小娘、本当にただじゃおかない。最後はどうやって始末するか、よく考えねばな』だったが、「おお、そうじゃった。これは失礼した。すぐに聖女様に椅子を持て」と周囲に声をかけ、サラの為にソファが運び込まれた。

ふかふかのソファにおさまったサラは、さあ、理由をと聞く体勢を整えた。

王は、一つ息を吐いていら立ちを押し隠すと、「今回聖女様にこの国に来ていただいた理由は…」と話し始めた。

今から三百年程前、この大陸には魔王がいた。魔王は魔族と獣人を従え、我ら人間を襲い、喰らい、虐げていた。我ら人族も懸命に抵抗していたが、いかんせん奴らの魔力、身体能力が高く、もう人は死に絶えるかと思われた。

「そこに、異界から一人の聖なる乙女が現れたのだ」

『そこで、異界から一人の女を呼び寄せたのだ』

乙女は聖なる力を持ち、我々人を助け共に戦ってくれた。運よく魔王の許まで我ら王家の王子と共にたどり着いた乙女は、魔王を聖なる力で捕らえ、封印した。ただ魔王の力も強大な故に、永遠の封印はかなわなかった。その為、百年に一度、再度封印を行う為、異界から聖なる力を持つ乙女をお呼びする事になっている。

「今年が百年の年に当たる為、聖女様をお呼びする栄誉に浴したという訳じゃ」

『運悪く百年目に当たったから、お前の様な小娘に大きい顔をされている訳だ』

「そうなんですねー」

副音声で聞くと、思っていたよりずっと自分勝手なこの国のやり方に、どうしようもない嫌悪感が募り、サラは完全な棒読みで相槌を打った。

自分達の危機に関係ない異世界人を呼び出して、一番危ない魔王の所まで行かせて、力を振り絞って完全では無い封印をさせた。そこで封印に力を全部使わされた乙女はどうなったんだろう。結局封印がかなわなくて、百年ごとに呼んでるという事は、搾り取られてやっと百年分ということだろう。

「その乙女は、魔王を封印してからどうなったんですか」

サラは、一応念のためと思い聞いてみた。

「乙女は共に戦った王子と結ばれて、一生幸せにこの王国で暮らしたという。つまり、我らの祖先だよ」

『女は力が全部無くなり、枯木みたいになって王宮の隅に放っておかれても、しばらくは生きていたらしいぞ。その後の二人も同じだから、お前もそうなるな』

「そうなんですねー」サラは答えた。

「それで、魔王は封印されて、魔族と獣人はどうなったんですか」

「魔族も獣人も、魔王がいなければ今までの様な力は使えん。だから、今は我々人族と友好関係を結んで、皆で仲良くやっておるよ。我々はいつまでも昔の遺恨を残し、無為な争いを続けるのは好まないからな。その為、今は魔族も獣人も、魔王の封印を維持するのは賛成しているのだ」

『あいつらは魔王を人質に取られているから、我らの言う事を聞くしかない。奴らの魔王への忠誠だけは立派なものだからな。おかげで王家は奴らの無限の労働力と、魔王から吸い上げる無限の魔力で貴族も民も支配できる』

「そうなんですねー」サラは遠い目になって、なんとかして魔王を解放する事を決意した。