軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

386.『エルフの村人を探せ!』

画面の右下の表示が1/25に変わる。

いや、うん。

すごくよくできてるけど、遠目ならともかく手の届くこの距離で 人形(ひとがた) にボコっとしてたら流石にわかるから。

叫んで広場にかけてゆく村人を見送る。会話もなく、擬態を解いて一言叫んで広場へ一直線である。階段も使わんのか。

エルフが身軽なのか、クエスト中の仕様なのか悩むところ。後ろ姿しかまともに見ていないが、マッチョでもなく、痩身のエルフらしい体型だった。痩身というか、標準的な人間と比べ、首や手足が少し長いのかな?

ホムラ:幹に一人いた

お茶漬:早ッ!

レ オ:こっちもみっけた!

レオの声と共に視界の端で数字が動く、3/25。

菊 姫:一度に2人でしか!

レ オ:ひゃっほ〜〜〜〜〜ッ って、あーッッ!!!!

シ ン:蔦に捕まったレオが今、視界を横切ってった

ペテロ:絶対最後落ちたか激突したでしょw

お茶漬:事故るの早ッ!

ホムラ:無茶するな

無茶をしないレオはレオではない気もするが。

ペテロ:村に入る者を狙える場所とかにいてくれたら割り出しやすいんだけど、趣味で隠れているだけじゃしらみ潰しにするしかないね

ホムラ:そう言えば、昨夜見つけた村人は同じ場所にいるのだろうか

お茶漬:クエスト始まる前から見つけてるのどうなの?

レ オ:いてて、俺もゆうべ2人みかけたな!

ペテロ:私も何人か

お茶漬:あんたらどうなってるの?

シ ン:まあ、村人も流石に帰って寝るんじゃねぇ?

ペテロ:うん、夜でリセットされるかもねw

菊 姫:ここのエルフの擬態方法からして、同じところにいくんじゃないでし?

シ ン:ギリースーツだっけ? おじさん、覚えた

レ オ:木の幹のスーツの人は、また木の幹にいるってことか!

木の幹のスーツの人……。妙な言い回しだが、レオの言う通りだ。木の幹の擬態の格好で葉の多い場所には行くまい。……問題は木の幹だらけなところだが。

お茶漬:ダメ元で確認お願い

ホムラ:ちょっとばらけてる。地図に位置情報つけるから近い人頼む

ペテロ:了解

パーティー共有にチェックを入れて、思い出せる限りの位置情報を登録。私が記入した以外にも光る点が現れる。ペテロとレオが記入したのだろう。

ホムラ:アルファベットの他、簡単なメモもつけた

ペテロ:レオ、誰がどこに行くか確認できるように何か振って

レ オ:あいよ!

私がアルファベット、ペテロが番号を振っている。何も記号がなかった印に☆だの△だのが現れた。

菊 姫:『2,枝20メートル位』行くでし

シ ン:じゃあ、おじさん『☆』行く〜

お茶漬:Fの、この『部屋の下』ってどういう意味……?

ホムラ:そのまま。家? 部屋? 床下というか床の裏側というか。エルフの家が特殊すぎてどう表現していいやら

お茶漬:そんなところに張り付いてるの。

ホムラ:張り付いてたなぁ

昨夜は思わず見ないふりをしてしまった。

ペテロ:じゃあそこは私が。確認はともかく札を貼るの大変でしょw

お茶漬:お願い

レ オ:おー!!! 昨日の地面にいる!

シ ン:マジか!

ホムラ:地面……?

レ オ:中身はユーデュスカさん!!!

ペテロ:www

ホムラ:すごく当たりっぽい何か

お茶漬:ミーディさんが普通に営業してる件

そんなこんなであっという間に残り1人。だがこれがなかなか見つからない。同じ場所を探し歩いて、だんだん集中が途切れてきた。

螺旋階段の一番上、立ち止まって見上げる。村の巨木の樹冠はまださらに上だ。

樹冠のモザイク。クラウンシャイネス、空に近い隣り合う枝葉と枝葉が少しの空間を残していっぱいに枝を伸ばしあい葉を広げている。

いかん、また人探しではなくただ風景を眺めるだけになるところだった。

一応、上空からも調べたが反応なし。まあ、飛べないプレイヤーのほうが大多数なので、村人が巨木の上から確認しないと分からない場所にいる可能性は低い。

ため息一つ。

他でならお茶でも淹れて気分を変えるところであるが、今は毒の地でアイテムに制限を設けている。つい易きに流されたくなるが、みんなと同じ条件で苦労してクリアするのも楽しい。

もう一度周囲を確認し、下に降りる。

お茶漬:ぐえっ! 毒がががが

ホムラ:どうした?

ペテロ:攻撃?

菊 姫:敵でし?

シ ン:我慢でできずにミーディさんとこでコーヒーとみた!

レ オ:わはははは!

お茶漬:ぐえっ。だって最後の一人見つからないんだもの

ホムラ:シンが当たりっぽい

菊 姫:あてちも気分転換にお酒が飲みたいでしよ

ペテロ:通常営業してる村人もいるんだね、私もコーヒー飲もうかなw

ホムラ:通常営業……。

あ。

走り出す私。向かった先は村長の家。

「ホホゥ、ギブアップですかな?」

「いや」

村長の問いを否定して、ぺたんと札を村長の胸に貼る。25/25に変わる表示。

《クエスト『エルフの村人を探せ!』をクリアしました》

「おやおや、わかってしまいましたか」

「姿を隠すわけでもなく堂々といること、そして課題を出した人物として、つい除外して考えてしまったが、あなたも村人に違いない」

面白そうに笑う村長に告げる私。

口調はお年寄りじみているが、エルフの美形。笑った顔にどこか「よくできました」的余裕が見える。

お茶漬:おお! クリア!

菊 姫:最後どこいたでし?

ペテロ:やっと終わったw

レ オ:わははははは!

シ ン:クリア!!!