軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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レオルドは気配を感じて目を覚ます。すると扉が音を立てずに開き、イザベルが部屋へと侵入してくる。

「……おはようございます、レオルド様。起こす前に起きるのはどうかと思うのですが?」

「だったら、気配を隠すような真似はやめたらどうだ?」

「気持ちよく眠っている主を不愉快な騒音で起こす訳にはいきませんので」

「足音もか?」

「足音を立てずに移動するのはメイドの嗜みですわ、レオルド様」

「どこがだ! 暗殺者の間違いだろうが!」

おほほほ、と上品に笑うイザベルにレオルドは疲れたように息を吐く。イザベルがメイドとして働くようになってから、屋敷は以前よりも活気がある。

イザベルが使用人を仕切っているようで、その手腕は見事なものだった。実に素晴らしい働きを見せてくれるのだが、少々お茶目な点が目に余る。

レオルドが一人歩いていたら音もなく忍び寄り驚かしたことがあるのだ。ビックリしたレオルドは思わず魔法で迎撃してしまったが、イザベルは華麗に避けて見せた。

他にもレオルドを起こす際に気配もなく部屋へと侵入して、ワザとレオルドの眼前に姿を見せて驚かしたりしている。

普通の貴族ならばクビにするか罰を与えるかだが、レオルドはツッコミを入れるだけでお咎めは無しにしている。

勿論イザベルも、しばらくレオルドの人となりを見て判断した上でからかっているのだ。

主人(シルヴィア) に似てしまったのかもしれない。もしくは、レオルドが影響を与えてしまったのかもしれない。

「はあ~。お前の相手は疲れる。それより、飯は出来てるのか?」

「相変わらずの食い意地ですね。既に朝食は準備できています」

「お前は一言言わなきゃ死ぬ病気なのか!」

「まさか! 私はレオルド様の為を思ってのことですわ」

「どの口がほざく!」

この朝のやり取りも慣れたもので、レオルドは着替え終わりイザベルを引き連れて食堂へと向かう。

用意された朝食を取り終わると、レオルドは執務室へと向かう。ベルーガに領主代理を任されてからは、毎日書類とにらめっこしている。

元々レオルドは、ベルーガの跡を継いで公爵領を取り纏めることになっていた。しかしそれがジークとの決闘で白紙となってしまい、レオルドが政務に携わる事はないと思われていた。

だが、モンスターパニックでの功績を認められ、ベルーガからゼアトのみにおいて全権を預かることとなってしまった。

面倒極まりなかったが、過去の勉強は無駄にならなかった。それに真人の記憶も保有しているおかげで数字にも強くなっており、意外と仕事は出来ていた。

「ギル。ここの計算間違っているから提出者に戻しておけ」

「は!」

ゼアトの商人から税金を受け取っているが、計算が間違っていたのでギルバートに頼み書類を返却する。

その様子を見ているイザベルはレオルドの為に紅茶を入れる。イザベルは最初、レオルドがほとんど一人で政務をこなしている事に驚いていた。

本来であれば文官を雇い、複数の人間で終わらせる作業を一人でこなしていたのだから驚くのも無理はない。

ちなみにこのことはシルヴィアに報告済みである。

「ちっ……イザベル。騎士団に魔物の駆除依頼が届いたと報告してくれ」

「対象は?」

「オークだ。数は不明。住民の畑を荒らしているのを確認したと書いてあるが、確認できたのは二体だけ。他にもいるかもしれないから注意するように伝えておけ」

「畏まりました」

書類の中には住民からの依頼も混ざっている。レオルドは領主代理になったおかげでゼアトに駐屯している騎士団のみならば出撃命令を出す事ができる。

こうして午前は書類仕事に追われて過ぎていく。

ひと段落ついたレオルドは凝った肩を解すように回して、首を鳴らす。

「あ~~~。疲れた……」

「ご苦労様です」

「うん、ありがとさん」

差し出され紅茶を口に含みながら、レオルドは外を眺める。

(やっぱ、人手が足りないわ。てか、パソコン欲しい! 文明の利器欲しい! メールで解決出来るようなことばっかだし、エクセルもあればもっと効率が……ないものねだりしても仕方がないか)

レオルドは真人の記憶にあった文明の利器が今こそ欲しいと切実に思っていた。

しかし残念ながら、運命48の世界はなんちゃってヨーロッパだ。日本人が考えた中世風ヨーロッパなのだ。

パソコンどころか電気もない。しかも、魔法という奇跡が存在しているおかげで科学の発展も普及もしていない。

だが実は、隣国の帝国では科学と魔法が融合している。その為時代の先駆者になっており、機関車まで存在している。まだ車は無いが、それも時間の問題だろう。

さて、レオルドは午前の仕事を終えて昼食をとった後は、いつもの 鍛錬(ダイエット) を始める。

ギルから体術を学び、バルバロトから剣を教わる。既にレオルドの実力はベイナードが認めるほどになっている。

今はまだ二人から一本も取れてはいないが、直に取れるであろう。そして近くにはいつも介抱の為にイザベルが控えている。

最初こそ、主であるレオルドに容赦なく拳を叩き込むギルに驚き、仕えているはずの騎士が罵声を浴びせながら木剣を叩き付けている姿に戦慄したが、今はもう慣れた。

むしろ今は少し楽しんでいる。なぜか、毎回吹き飛ばされる時は豚のように鳴くものだから、驚くと同時に笑ってしまう。

くだらないことではあったが面白そうなのでイザベルはシルヴィアに報告している。次に会う時、レオルドは覚悟しなければならない。

面白いネタを掴んだシルヴィアがどのように接してくるのかはまだ分からないが、レオルドは大いに悩む事になるであろう。