軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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レオルドはイザークに助けを求めるように視線を送るが、残念な事にイザークは意図を把握出来ない。まあ、二人は初対面でこそないが固い絆で結ばれた友達というわけでもないので目配せだけで互いの意図を理解することは不可能だ。

ただ、イザークも馬鹿ではないのでレオルドが困っているように見えるのでカルロスとブルーノを引き離してレオルドを安心させた。

(おお! 俺の思いが伝わったか!)

などと誤解しているレオルドはイザークへの好感度がアップする。狙ってやったわけではないが、なぜかレオルドからの視線が熱烈なものに変わったことを知りイザークは困惑していた。

「レオルド辺境伯。二人の事を悪く思わないで欲しい。二人は、いや、僕たちはみんな君に興味津々なんだ」

というのは本音三割、建前七割である。実際はレオルドと友好な関係を築こうと考えている。レオルドはまさに文武両道であり、これからの王国について考えるのなら決して手放してはいけない人材となっている。

それと同時に特大の爆弾扱いもしている。今回の新たな結界魔法の開発にレオルドが携わっているが、幾度となく研究所を爆破して国民から国王にまで多大な迷惑を掛けている。にも関わらずお咎めなしだ。

王家からすればレオルドはシルヴィアの為にやっているので文句は言えないし、そもそも国王がレオルドにお願いをした立場だ。ならば、レオルドを責めることなど出来ようはずもない。

確かに研究所を爆破して国民の不安を煽ったが、それで被害が出たということはない。精々、騒音騒ぎでしかない。これで犠牲者でも出ていれば多少は批難出来ただろうが、誰一人として死人は出ていないのだ。

「はあ、私に興味があると?」

「うん。そうだね。転移魔法の復活から戦争の終結にまで貢献した君に僕たちは興味が尽きない。良かったら、色々と聞かせて欲しいんだ」

怪訝そうな顔をするレオルドにイザークは偽りなく答える。ここで嘘をついて印象を悪くすればレオルドと話す機会はなくなるだろう。辺境伯という立場であるレオルドは忙しい身だ。いくら王子だとはいえレオルドに面会するのは時間がかかってしまう。

なら、ここは少しでもレオルドに好印象を与えておいて後々に面会がしやすくなる方がお得だろう。

「そうそう。イザーク兄さんの言うとおりだ。俺も辺境伯に興味があるんだよ」

そう言ってカルロスがレオルドに酒瓶を突きつける。レオルドは手に持っているグラスが空になっていたのでカルロスに酒を注いでもらう事にした。

「殿下に給仕のような真似をさせてしまい申し訳ない」

「ハハッ、これくらい気にするな。そもそも今日は身内だけの晩餐会だ。身分など意味はない」

「そう言っていただけると心が軽いですね」

「なら、その堅苦しい喋り方もやめたらどうだ? 結構、我慢してるだろ?」

見抜かれたことにレオルドは驚くが、カルロスがどういう人間なのかは知っているので、言われたとおり丁寧な口調をやめる事にした。

「じゃあ、そうさせてもらうわ」

「ハハハハハッ! やっぱいいな。そっちの方がしっくりくるぞ?」

笑い声を上げながらカルロスは上機嫌にレオルドの肩をバンバンと叩く。

「おい、カルロス。少しは加減してやれ」

それを止めたのはブルーノであった。レオルドの肩をご機嫌なカルロスが叩いていた手をブルーノが掴んで止めたのだ。

「これくらいただのスキンシップだって。なあ?」

「いや、普通に痛いから」

「ええっ!? そこは庇うところじゃねえの?」

「ほら、見ろ。やっぱり迷惑だったじゃないか」

得意げな顔をするブルーノを見てカルロスは渋い顔をする。

「うえ~、俺が悪いのかよ」

「まあ、ホントは痛くなかったんだけど」

「はあっ!? ちょっ、嘘ついたのかよ!」

「ちょっとウザかったんで」

「んなぁっ!?」

「ハハハハッ。これは一本取られたな、カルロス」

「ぐ、他人事だからって笑うんじゃねえよ!」

と、そのように三人で盛り上がっていると、レオルドの元に一人の男の子がやってくる。まだ幼い様子の男の子はどこかソワソワとしてレオルドに話しかける。

「あ、あのレオルド辺境伯!」

「ん? おや、これはエリック殿下ではありませんか。私になにか御用で?」

「は、はい! そのレオルド辺境伯とお話したくて、その、あの」

「落ち着いてください、殿下。私は逃げも隠れもしませんよ」

「は……はい」

エリックはレオルドの言われた通り、一度深呼吸をして緊張を解す。深呼吸をしたエリックは落ち着きを取り戻して、レオルドに再度話しかける。

「あのレオルド辺境伯。僕、強くなりたいんです! どうか僕のことを弟子にしていただけませんか!」

大きな声でしっかりと自分ののぞみを告げるエリックにレオルドは驚きを隠せなかった。まさか、自身に弟子入りを望まれるとは思いもしなかったからだ。しかし、よくよく考えてみればレオルドは今や国中に認められている英雄だ。弟子入りを望まれてもおかしくはない。

「ははは、これは驚いたな。まさかエリックがレオルド辺境伯に弟子入りを志願するとは」

レオルドの側にいたカルロスもエリックの弟子入り志願を聞いていたので当然のように驚いているが、面白いことになったと笑っている。

「驚いている場合ではないぞ、カルロス。エリックがレオルド辺境伯に弟子入りを志願する気持ちはわかるが、彼は領主だ。エリックに指南する時間は取れないだろう」

冷静にブルーノがエリックを止めようとしている。ブルーノの言う通りレオルドは領主であるので誰かを指南するようなことは出来ない。しかし、レオルドは普段から鍛錬を欠かさない男だ。ならば、一人くらい弟子を受け入れても問題はない。

ただ、それがある程度の基準に至っていればの話だが。

レオルドの目の前にいるのは、まだ小学生程度のエリックだ。流石に厳しいだろう。勿論、体格に合った鍛錬にすることは出来るが、レオルドは生き残ることを目的としており一秒たりとも無駄には出来ない。だから、レオルドは苦渋の決断を下す。

「申し訳ありません。ブルーノ殿下の言う通り、私は領主としての務めがありますので弟子を取ることは出来ません」

「そんな……どうしてもダメですか?」

中性的な顔をしており男とも女とも言えないようなエリックが瞳を潤ませてレオルドの懇願する。その目を見てレオルドも心が揺らいでしまうが、ここで許可をすれば今後も弟子が増えてしまうかもしれない。それは嫌なのでレオルドは心を鬼にして断る。

「大変心苦しいのですが、やはりお受けすることは出来ません」

「うっ……うぅ……」

(おおっとぉ!? そこで泣かれると非常に辛いのですが!)

折角、勇気を出してレオルドに弟子入りを頼んだのに断られてしまったエリックは泣きそうになる。我慢をしているようだが、決壊寸前で今にも滝のように涙を流しそうだ。レオルドはそれを見て焦り始める。流石にこの場で泣かれるのは非常に辛いと。