作品タイトル不明
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ゾフィーもといゼファーが泊まっている宿へやってきたレオルドは受付にゼファーを呼んでもらう。しばらくレオルドがロビーで待っていると、仮面を被った怪しげな格好の人物が歩いて来る。
その人物はレオルドの方へゆっくりと進むと、仮面を少し外してレオルドに顔を見せる。レオルドは目の前の人物がゼファーだと分かったので、場所を変えることにした。
レオルドはゼファーを連れて屋敷へ戻り、応接室に案内する。応接室に着いた二人はソファに腰を下ろして対面した。
「ここには誰もいない。だから、仮面を取ってもいいぞ」
「ふう〜〜〜。やっと楽になれる」
そこでようやくゼファーは仮面を取り、窮屈だった姿から解放されて大きく息を吐いた。
「それにしても酷いじゃないか。僕との約束を忘れるなんて」
「いや、まあ、その点についてはすまん。こちらも忙しくてな」
「なにかあったのかい?」
レオルドはここしばらくの間にあったことをゼファーに説明した。その説明を聞いてゼファーは納得したようにソファへしなだれる。
「そっか〜。大変だったんだね」
「ああ。それより、こちらも聞きたいんだがお前はどうして傭兵なんかをやってるんだ?」
「実は君達と別れてしばらくは無人島で自給自足の生活をしてたんだけど、流石に厳しくなってね。風魔法で陸地に飛んで近隣の村から色々と分けてもらってたんだよ。野菜の種や畑を耕す道具なんかをね。それのお礼として山賊や盗賊、それから魔物なんかを間引いてあげてたら、なんか知らない間に傭兵団になってたんだよ」
「どうしたらそうなるんだ」
「知らないよ。勝手に僕をリーダーにして傭兵団が出来上がってたんだから」
「ふむ。まあ、それは置いといて手紙に書いていた通り、必要な物資を渡せばいいか?」
「うん。ていうか、それは建前で本音は別なんだ」
「言っておくがあまり無茶な要求は勘弁してくれよ?」
「大丈夫。そこまで難しい話じゃない。僕たちの傭兵団を雇って欲しいんだ」
「はあ? 確かに無茶ではないが、騎士団がいるからいらんぞ」
「そうだけど、傭兵は騎士よりは融通がきくよ?」
「う〜ん、そうなんだが、そもそもゼアトにはそれほど武力は必要ない。お前も分かるだろ?」
「あー、確かに君を筆頭に強い人が沢山いるもんね。それなら、雇ってもらえないか……」
「すまんな。だが、口利きくらいはしてやれるぞ?」
「というと?」
「ゼアトの商売人達にだ。まあ、ついでに情報なんかを集めてくれると嬉しい」
「なるほど。表向きは僕達を商会の用心棒にして裏では情報集めってところかな?」
「察しが早くて助かる。今は俺の部下である餓狼部隊が情報収集を担当しているが、流石に領地が大きくなってきたんで警備に回してるんだ。そこでお前らだ」
「うんうん。話は分かったよ。それで雇ってもらえるなら喜んで従うよ」
「よし、契約成立だ。部下にも厳達しておけよ。裏切った場合どうなるかを」
「それくらいは当然するよ。じゃあ、僕は帰らせてもらっていいかな?」
「ああ。物資は用意しておく。部下にお前らが泊まっている宿へ届けさせよう」
「ありがとう。それじゃ、僕は行くね」
「またな」
ゼファーは再び仮面を被り直して応接室を出て行く。レオルドはゼファーを見送り、契約書を作成する。それを部下に渡して、ゼファーが率いる傭兵団が宿泊している宿へ向かわせた。
それからレオルドは一通りの仕事を終えて王都へ戻る事になる。
王都へ戻ったレオルドは早速研究所へ向かい、進捗を確かめる。ルドルフにレオルドがいない間のことを聞くと、未だに完成の目処は立ってないということだ。
「ふむ……しばらく休暇を取らせる。各自、休暇を取り、脳をリフレッシュさせろ。そうすれば何か妙案を思いつくかもしれん」
とのことでレオルドは研究者達に休暇を言い渡して、自身も実家の方に顔を出す事にした。
実家へ帰ったレオルドはベルーガの元へ挨拶をしに向かう。
「ご無沙汰しております、父上」
「久しいな、レオルド。ここ最近はずっと働き詰めだったのだろう?」
「ええ。ですが、少し休もうと思い、実家へ帰らせてもらいました」
「そうか。ならば、ゆっくりと休むといい。それに、いや、言わないでおこう」
「そこで止められると気になってしまうのですが?」
「……少々、やりすぎなのだ。お前は。なんで、毎回のように研究所を爆破させるのだ。そのせいでどれだけ陛下が頭を悩ませているかわかっているのか?」
「 義父(とう) さんには悪いと思いますが、俺は未来の妻の為にやっていることですから」
「お前というやつは……都合のいい時だけそのように呼びおって」
「まあ、陛下には私の方からなにかフォローしておきますので父上はお気になさらず」
「それが出来たら、どれだけ楽な事か……」
「では、私はこれで」
「あ、おい! まだ話は終わってはおらんぞ!」
ベルーガがレオルドを引きとめようとしたが、その前にレオルドはそそくさと逃げるのであった。一人になったベルーガは頭を抱えて溜息を吐く。
「今度、呑みにでも誘うか……」
王城の方で今も心労に疲れ果てている友を思い浮かべながらベルーガは、そう呟くのであった。