作品タイトル不明
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レオルドが神聖結界の代用品を開発し始めてから、数日が経過した。なんとその数日間で両手の指では数え切れないほどレオルドは研究所を爆破したのだ。
おかげで修理費は莫大なものとなったがレオルドの財産には大した影響はなかった。しかし、レオルドには大した影響はないが国は違う。レオルドが毎回のように爆破させるので国民からは不安の声が上がっており、国王はその弁明に頭を悩ませていた。
「ううぅ……、一体いつあの爆発は終わるのだ?」
研究所から届いた報告書で、レオルドが行っている事を知った宰相が怒って注意しに行こうとしたことがある。だが、不運な事に宰相が研究所に辿り着いた瞬間に研究者達が中から飛び出してきて、宰相の目の前で研究所が爆発した。
それに巻き込まれた宰相は怪我こそ負わなかったが、爆煙の中からケロッとした様子で出てくるレオルドに何も言えなかった。今では天に任せるしかないと完全に放置している。
ちなみにだが、子供達には大人気である。一種のエンターテイメントと化しており、一部の者達は今日も爆発するかどうかを賭けていたりする。
結界魔法を作っているのにどうして爆発するのだろうかと疑問に思うだろう。理由は簡単だ。混ぜるな危険を平然と四人が行うのだ。
本来であれば掛け合わせてはダメな術式も一部を組み替えて繋げば機能する。が、それは一つ間違えたら大惨事を招くことになる。その結果が爆発騒ぎである。
ストレスに禿げてしまいそうになる国王は窓から研究所の方を見詰めて大きな溜息を吐いた。
「はあ〜〜〜……」
国王がストレスに悩まされている頃、レオルドは今日も元気に結界魔法の改良に励んでいた。ルドルフと既存の魔法陣を組み替えて、小さな爆発を起こしながら開発を進めている。
「う〜む。やはり、反転術式だと相性が悪くないか?」
「しかし、性能が落ちてしまいますよ?」
「むむ、それはダメだな。神聖結界に負けず劣らずを作らねばな」
そう言ってレオルドとルドルフが唸りながら頭を悩ませているとフローラが二人に別の術式を提示する。
「では、こちらの術式はどうですか?」
「む? これだと暴走しかねないか?」
「いや、これですと理論上ならば可能ですね。ただし、失敗すると魔力が暴走して爆発しますが」
「ですです。ルドルフさんの言うとおりです。これとこれは本来ならば使用してはいけないのですが、こことここを組み替えれば理論上は発動します」
「おお! 試してみるか!」
「そうですね。何事もやってみなければわかりませんから」
三人は喜んで魔法陣を組み替えていき、新たな術式を刻んで構築していく。少しでも間違えてしまえば、魔力を流した時大爆発を起こしてしまうのだがレオルド達には関係ない。魔法の進歩に失敗はつきものなのだ。
「よし、早速試してみようか」
「ちょっと待ちなさい!」
ここでシャルロットが待ったをかける。魔力を流して発動しようとしていたレオルドは手を止めてシャルロットの方へ顔を向ける。
「どうした? なにかあったか?」
「フローラの考えは悪くないんだけど、ここをこうすればもっと良くなるわ」
「おおっ! 確かにこれなら効率が倍になります!」
「流石、シャルロット様。勉強になります!」
「ふふん。もっと褒めてもいいのよ〜」
キャッキャッと盛り上がっている四人ではあるが、側で見ている研究者達は気が休まらない。なにせ、少しのミスで爆発を起こすのだから死が隣り合わせになっているのだ。気が休まらないのも仕方がないことだろう。
「ようし! では、実験開始!」
魔法陣にレオルドは惜しみなく魔力を注入する。すると、魔法陣が輝きを放ち、成功に見えたが光の色が変色した。
「ぬぅ! 総員、退避ッ!!!」
レオルドの言葉を聞くよりも先に研究者達は行動を移していた。真っ先に外へ向かって飛び出していく研究者達を見てレオルドは感心する。よく訓練された動きだと。まあ、彼らが機敏な動きを出来るようになったのはレオルドの所為なのだが、知らなくてもいいことだ。
それから数秒後、研究所は爆発して吹き飛んだ。音こそ防げないがシャルロットのおかげで近隣への被害はゼロだ。そのおかげでレオルドも伸び伸びと開発が出来ている。
「ゲホッゲホッ。ふう。上手くいくと思ったんだがな」
「術式を間違えてしまったのでしょうか?」
「理論上では完璧でしたよ?」
「じゃあ、組み替える部分が間違っていたんじゃないかしら?」
爆煙が舞い上がり、研究所が吹っ飛んだというのに四人は平然としている。そこへ逃げていた研究者達も混ざり、話し合いは進んでいく。
一般的な研究者の視点と狂人かつ天才の視点で繰り広げられる話し合いが終わると、待機していた土属性の魔法使いが研究所を再建する。
「うむ。ご苦労」
形だけの最低限な研究所が出来上がると、レオルド達は中へ入っていく。その際にシャルロットが魔法の袋に保管してくれていた研究資料や実験データなどを取り出して、細かく分析していく。
それからも会議は続き、開発を行っていく。今日は三度も研究所を爆破して吹き飛ばしたレオルドは晴れ渡る空を見て笑う。
「良い天気だ」
爆風で吹っ飛びながらレオルドは空を舞い、放物線を描いて地面に落ちた。