軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

307

研究所へ着いた三人は早速、シルヴィアの神聖結界の代用品を開発すべく計画を立てる。まずは、プロジェクトチームの立ち上げからだ。リーダーはレオルドが務め、副リーダーにルドルフを採用。そして、シャルロットは特殊な立ち位置でレオルドの相談役であった。

ひとまず、レオルドは今までシルヴィアの神聖結界を解明し、代替品となる魔法を開発しようとしていた研究者達へ会いに行く。

研究者達と顔を合わせたレオルドはこれまでの資料を受け取り、ルドルフ、シャルロットと共有する。分かった事は再現不可能ということ。

そこで、ルドルフが提案したのは模倣ではなく改良をすべきということ。確かに、模倣が出来たら魔物と魔法を完全に防ぐ事が出来るが、今の魔法技術では到底不可能である。

なので、現存の結界魔法を改良した方が手っ取り早いとなった。そうと決まれば話は早い。レオルドは研究者達の中からプロジェクトチームへ引っ張っていく。

その時、研究者の一人に見覚えのある女性がいた。レオルドが見覚えあるといえば、もう考えられることは一つしかない。そう、ジークフリートのハーレムメンバーである。

「ん? お前は確かフローラ・フィリップスか」

「え? どうして私の名前を辺境伯が……?」

「名札に書いてあるだろう」

そう言ってレオルドは自身の胸を指差すと、フローラは自分の名札が胸についていることを思い出す。

「あ、そうでした。これは失礼しました、辺境伯」

自身の物忘れで思わずレオルドへ聞き返してしまったフローラはペコリと頭を下げた。

「ふむ……」

対するレオルドはフローラについて考える。見た感じではレオルドに対して嫌悪感を抱いているようには見えない。フローラは強くはないが研究者なので頭は良い。今回のプロジェクトに是非とも参加して欲しい所なのだが、果たして彼女がどう反応するかわからないのでレオルドは悩む。

しかし、エリナのように嫌われているように見えないので、とりあえずレオルドはフローラをチームに誘う事にした。

「フィリップス嬢。お前さえよければプロジェクトに参加してみないか?」

「ええっ! いいんですか!? それならば是非!」

「お、おう」

フローラは最初渋ると考えていたレオルドだったが、まさか目を輝かせて迫り来るほど乗り気だとは思いもしなかったので怯んでしまう。

「やけに乗り気だが、どうしてだ?」

「え? だって、レオルド辺境伯に加えてルドルフさん、それに世界最強と謳われるシャルロット様までいるんですよ!? むしろ、二つ返事で了承するのは当然です!」

「お、おう。そうか。まあ、やる気があるならこちらとしても有り難い」

「はい! フローラ・フィリップス! 不肖の身ながら誠心誠意頑張らせていただきます!」

「よ、よろしく」

こうしてレオルドを中心としてシルヴィアの神聖結界に代わる結界魔法を開発するメンバーが揃った。

メンバーも揃った事なのでレオルドは早速、既存の結界魔法について調べていく事にした。まずはどのようなものを目指すかだ。理想はシルヴィアの持つ神聖結界だ。だが、それは現存の魔法では不可能なので妥協案を見つけることから始める。

そこでレオルドは会議を開き、どのようなものを開発するかを協議するのであった。多くの案が飛び交い、会議は長々と続いた結果、深夜にまで及んだ。そして、その結果生まれたのが深夜テンションで考えられたアホな結界である。

「よし! じゃあ、僕が考えたさいきょうの結界! これで決まりだ!」

『おー!!!』

一同ノリノリである。テーブルに敷かれた大きな用紙にそれぞれの案を合体させて、子供のような答えに至った。それで良いのかと誰もが問いたくなるが、残念な事にこの場にまともな思考を持っている者は一人もいなかった。

そのまま、研究所で仮眠を取ったレオルド達は結界魔法についての資料を集めて開発へ移る。当然、一度しっかりと脳を休めたので全員が正気に戻っている。だから、メンバーのほとんどが困り果てている。どうして、あのような結果になったのかと。

確かに当初は素晴らしいと考えていたが、冷静に考えてみれば後悔しかない。なにせ、現存している魔法にシャルロットの持つ古代魔法やレオルドの持つ現代科学の応用。もはや、実現不可能レベルだ。

しかし、レオルド、ルドルフ、シャルロット、フローラの四人は張り切っている。自分達ならば出来ると信じきっているのだ。ただし、フローラはこの機会に三人から学べる事を沢山学んでおこうというハングリー精神だが。

それからはひたすらに実験の繰り返しである。レオルド、シャルロット、ルドルフを中心に新たなる結界魔法が生み出されるが、完成には及ばない。

「うわああああああああっ!!!」

「きゃああああああああっ!!!」

「ぐわああああああああっ!!!」

当たり前のように実験は失敗すると大爆発を起こして、研究所を吹き飛ばす。その際に毎回どこぞの悪役のように三人は吹き飛び星となる。ちなみにルドルフだけ毎回死に掛けているのでシャルロットが回復させていたりする。

「やっぱり、あそこの術式がおかしかったのか?」

「魔法陣の構造も見直すべきね」

「こちらの術式を試してはどうでしょうか?」

レオルド達が作ろうとしている結界は複雑怪奇な構造になっているのでかなりの試行回数が必要になってくる。しかし、完成さえすれば既存の結界魔法を大きく上回る性能を秘めている。

「す、すごい……! あれだけ死に掛けていながら、諦めない精神! 見習わなくちゃ!」

一緒に実験を見学しているのでフローラも爆発に巻き込まれている。今は瓦礫の下敷きになりながらも三人を尊敬の眼差しで見詰めている。

「お前、いいから早く出て来い!」

同僚達がフローラを助ける為に瓦礫の撤去作業をしているのだが、当の本人が動こうとしないので怒って頭を叩いた。

「あいたっ! あ、ごめんなさい!」

ようやく救助されていた事に気がついてフローラは瓦礫の下から抜け出した。