作品タイトル不明
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第一回戦第二試合が終了し、ジークフリートは控室へと戻る。
かなりの苦戦を強いられたのでジークフリートは疲労困憊であった。控室に戻ったジークフリートは用意されていた椅子に座り、体力の回復に務める。
ある程度の体力が回復したら、ジークフリートは今日の試合は終わりということを聞いて応援に来てくれている友達の元へと向かうことにした。
控室を出て、ジークフリートは 貴賓席(きひんせき) へと向かう。ヒロインの一人である王女ことクリスティーナが友達の分まで席を用意していたのだ。だから、ジークフリートと関わりの深い女性は身分問わず貴賓席にいる。
一応、男友達のロイスとフレッドもいる。ただ、その二人以外は女性ばかりなので居心地が悪い二人は隅っこの方でひっそりと息を潜めていた。
「う〜ん。来ると思うか?」
「いや、来るだろ。今日の試合は終わったし、もう後は見てるだけでいいんだから」
ロイスが話しかけてフレッドが無難に答える。二人が隅の方でこっそり話を続けていたら、ジークフリートが現れる。
主役の登場により、 女性陣(ヒロインズ) がジークフリートを囲む。そして、一人一人が勝利を称える。もみくちゃにされたジークフリートは隅っこにいた二人の元へと近づく。
「よ、お疲れさん」
「一回戦突破おめでとう」
二人はありきたりな言葉で称えながら、片手をあげて友を褒める。そんな二人を見てジークフリートは笑い、ハイタッチを交わしてパンっと乾いた音が鳴り響いた。
その様子を見ていたクラリスはどうしようかと迷っていた。ジークフリートが次に戦う相手は因縁のレオルド。闘技大会に出る切っ掛けとなり、いずれは向き合わなければならない相手。
それは、なにもジークフリートだけではない。クラリスもだ。今回、闘技大会がどういう結末を迎えようともクラリスはレオルドと対面することになっている。
まだ会うのは怖いが、ジークフリートが一緒にいてくれるので不安はない。それに、今のレオルドなら、たとえ一人で会ったとしても問題はないだろう。
話しかけようかと迷っているクラリスに気が付いたジークフリートは近づいて話しかける。
「どうした、クラリス?」
「あ、えっと……その次の相手は……」
「……ああ、分かってる。大会が終わったら一緒に会いに行こうか」
「う、うん!」
伝えたいことは言わなくても分かってくれていたジークフリートにクラリスは笑顔で頷く。
その後、ジークフリートは応援に来てくれていた友達と試合を観戦することになった。
全ての試合が終わり、二回戦の出場者が決まる。明日の試合は逆から始まり、ジークフリートとレオルドは第四試合となった。
いよいよ、二人が再会する日が訪れる。
翌日、レオルドは貴賓席から試合を眺めており、二回戦第一試合を観ていた。
第一試合からリヒトーの戦いを見て、レオルドはゾクゾクと震える。
(さすがだな。王国最強は伊達じゃないか)
先程の試合をどれだけの人間が理解出来たのだろうかとレオルドは苦笑いを浮かべる。
恐らく、自分を含めても二桁はいっていないだろうと予測したレオルドは、王国最強の強さに呆れながらも、闘志を燃やす。
(いずれ超える。いいや、超えなければならない)
そう、レオルドはリヒトーに勝てないようでは運命に打ち勝つことなど出来はしないと思っている。だからこそ、やる気に満ち溢れる。
いつか、きっと超えてみせると。
それから、第二試合も終わったのでレオルドは試合の準備の為、控え室へと向かう。
控え室に着くと、レオルドは係員から貰っていた新しい腕輪を取り付ける。
軽い運動をして身体をほぐしながら、レオルドは自分の出番を待つ。
丁度、休憩がてらに水を飲んでいると歓声が聞えてくる。どうやら、第三試合が終わったようだ。
レオルドは控え室にいたジークフリートの方をチラリと見て、呼んでいる係員の下へと向かう。
二人が揃ったのを確認した係員は、二人を連れて試合会場へと向かった。
道中、二人の間に会話はなかったが試合会場に入る直前にジークフリートがレオルドに話しかける。
「レオルド。大会が終わったら話がある」
「お前がか?」
「いいや。クラリスがだ」
「そう……か」
「す、すまん! 試合前に余計なことを言って」
ジークフリートはレオルドが陰りのある顔をして俯くものだから、慌てて謝る。ジークフリートは試合前に余計なことを言って、レオルドの気を逸らしたくないから謝ったのだ。
そんなジークフリートを見てレオルドはクスリと笑う。
(ああ、そういう奴だよな。お前は……)
レオルドはジークフリートが 運命48(ゲーム) の時と変わらない性格に嬉しくて喜んでいた。ジークフリートとは確かに決闘をしたが、そこに恨みや憎しみといった感情はなかった。
勿論、気に食わないという気持ちはレオルドにはあったが、今はそんなことはない。あの時は、ジークフリートに邪魔をされたからであって今となっては止めてくれてありがとうと言いたいくらいだ。
そして、ジークフリートの方はレオルドに対してこれと言った特別な感情は持ち合わせていない。クラリスが襲われそうだった時は怒りに身を任せて殴ったりしたが、レオルドに対して憎しみや恨みなどなにもない。だからこそ、今ジークフリートは純粋に変わったレオルドと話がしてみたかったのだ。
もしかしたら、友達とはいかないがある程度の関係を築けるのではないかとジークフリートはそう思っていた。
試合会場の真ん中に歩いていくレオルドとジークフリート。二人は互いに向き合い、剣を構える。
「なんと言えばいいのだろうな……うまく言葉が見つからん」
レオルドは二年ぶりに向き合う因縁の相手に対して何を言えばいいのかと悩んだ挙句の果てに、おかしなことを口走ってしまう。
それを聞いたジークフリートは何を言っているのかわからない顔をして首を捻っている。そんなジークフリートを見てレオルドは呆れたように笑う。
「ふっ……ははは。すまんな。おかしなことを言って。まあ、なんだ。お互いにベストを尽くそう」
「っ……ああ! 本気で行くぞ!」
試合開始のゴングが鳴り響き、二人は同時に駆け出して剣を交じ合わせる。
戦いの火蓋は切って落とされた。
運命48(ゲーム) で運命に選ばれ世界に愛された主人公と運命に翻弄され世界に見放されたかませ犬の戦いが今ここに始まる。