作品タイトル不明
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自動車製造は順調に進むかに思われた。しかし、いざ始めてみればレオルドは自分がどれだけ浅慮だったかを思い知らされる事になる。
「うがああああああっ!!!」
「あー……またか」
レオルドが持つ真人の知識にマルコの発想があったおかげで、試作車は完成した。もっと、時間が掛かるように思えたが、現代日本の自動車製造の知識を持つレオルドに一から車を生み出したマルコがいたのだから時間は掛からなかったのだ。
ただ、やはり、形は出来ても中身は伴っていなかった。完成した試作車は駄目な部分が多く、商品として売る事は出来ない。
「やはり、耐久性がダメだな」
「うーん……」
もう何度このやり取りをした事だろうか。レオルドは他にも仕事があるので、自動車の製造にはあまり時間を割くことが出来ない。
折角、形にはなっているのに、どうしても上手くいかないのだ。苛立ちが募り、叫んでしまう気持ちも理解出来る。
「はぁ……」
部品などの耐久性をチェック出来れば完成は目に見えてくるのだろうが、そのような便利なものはない。では、作れば良いではないかと思うが作れる知識はない。
レオルドが持つ真人の知識には自動車の製造知識があっても計測器などを作る知識はない。どのような物かは理解していても作れないのだ。
「じゃあ、次を試してみようか」
「マルコ、お前は凄いな……」
「何言ってるんだ、レオルド様。レオルド様のおかげでここまで出来たんだ。後は、何が悪いか、何が良いかを考えるだけなんだから、大したことはないよ。失敗は成功の母だから、何度も試すんだ」
マルコの言う通りである。かつて、自動車を作った人達も試行錯誤を繰り返していたのだ。ならば、完成された知識を有しているレオルドが諦めるのは怠慢でしかない。
「そっか……俺が悪かった。続けよう、マルコ!」
「うん! その意気だ、レオルド様!」
その後も破損した部品を取り替えて何度も試運転を繰り返しては壊していく。それでも、一つ一つ何が間違っているのかを皆で相談して、修正を行い、試運転を繰り返す作業は辛かったが楽しくもあった。
皆でひとつの事をやり遂げようとしているのだから、楽しくないわけがない。辛いことも厳しい事も苦しい事も分かち合い、一丸となって自動車を作り上げていく。
春も終わりが近付き、夏の気配がゼアトに訪れる。
しかし、未だに自動車は完成していない。
「……またダメだったか」
「じゃあ、次はこっちを試そう」
「よし、やるか!」
今回も失敗に終わったが悲観にくれることはない。失敗する事が前提になっているのだ。上手くいけば儲けもの。
だから、諦めない。上手くいくまで何度だって試すのだ。どれだけの失敗を繰り返そうとも、成功するまでやればいいだけ。
そうやって、発明は生まれてきたのだから。
破損した部品を回収して、何がいけなかったのかを分析して次へ活かす。
次の部品を取り付けて、もう一度試運転を試してみるが、負荷に耐えられず部品は壊れる。
レオルド達が開発したのは、魔法と科学を融合させた自動車なのだが、動力源を魔力にしているだけで、後はレオルドとマルコが開発した科学の部品である。
問題は科学の部品が速度、重量、遠心力といった負荷に耐えられないのだ。そのおかげで、何度も壊れては修正を繰り返している。
レオルドも真人の記憶で形は覚えていても耐久性や品質などの数値は正確にわからなかった。そのせいで認識が甘かったとも言える。
「う~ん、こうしてみてはどうですかね?」
「うん? いや、こうだと思うんだが……」
「では、こういうのはどうですか?」
「試してみるか~」
マルコ以外の作業員とも仲良くなっており、レオルドは問題点を改善する。
その後も試行錯誤は繰り返されたが、結局完成することはなかった。それでも、作業員達は諦めることなく何度も挑戦を続けていく。
頼もしい仲間がいるおかげでレオルドも挫けることなく作業に没頭できる。
だが、レオルドもずっとは付き合うことが出来ない。まだまだ、仕事は山積みなのでレオルドはマルコに後を任せて屋敷へと戻ることになる。
屋敷へと戻ったレオルドは文官達に合流して、書類仕事を片付けていく。ゼアトでの収支に税金に住民達からの要望などの書類に目を通してレオルドは目頭を押さえる。
「ふう……」
「レオルド様。少し休憩をなさっては?」
「ん~~……少し仮眠を取るか」
イザベルに休憩を取るように促されてレオルドは仮眠を取る事にした。自室へと向かい、ベッドに倒れるレオルドは数分も経たないうちに寝息を立て始める。
どうやら、かなりの疲労が溜まっていたらしい。無造作に寝転がるレオルドをギルバートが起こさないようにレオルドをベッドに寝かせた。
それから、しばらくしてレオルドは目を覚ます。窓の外を見てみると既に夕暮れとなっていた。これは、寝過ごしてしまったとレオルドは慌てて飛び起きる。
残っていた書類仕事を片付けて、レオルドは夕食をとる。夕食後にはシャルロットの元で魔法の鍛錬と魔道具の開発。
シャルロットが持つ魔法の知識にレオルドの持つ異世界の知識を組み合わせた魔道具はいくつか完成している。
そのうちの一つが自動車に取り付けている 原動機(エンジン) である。化石燃料ではなく魔素を取り込み車を動かすのだ。
とんでもない発明であるのだが、まだ世には出ていないのでその価値は知られてはいない。
「車は出来ないの?」
「やはり、難しいな。俺の持ってる知識でも再現には時間がかかるだろう。元々、車の歴史が長いからそう簡単にはいかないだろう。俺の認識が甘かった所為だ。その所為でマルコや作業員達には苦労ばかりを掛けている」
「でも、完成すれば世界を驚かせられるんでしょ?」
「完成すればな。それに、帝国も魔道列車を小型化させようとしているはずだからな」
「ゲームではそうなっていたの?」
「ああ。完成には至っていなかったが、小型化にするという発想は出ていたからな」
「なら、負けないように頑張らなくちゃね」
「そうだな。必ず完成させてみせるさ」
意気込んだレオルドを見てシャルロットは微笑む。きっと、本当に完成させるのだろうと。その日が来るのを待ち遠しいと思うシャルロットであった。