軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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キイチ達と別れた第7部隊は、

その足で紋章カロア支部へと向かった。

受付にいたKは明らかに様子のおかしい第7部隊の面々を見て、心配そうに声をかける。

「どした? もしかしてキレン墓地で何かあった?」

それに答えるバーバラ。

「あ、いや、デュラハンは無事倒しました」

「お、流石だね。元最前線の二人もいるし大丈夫だとは思ってたけど……っと、これがクエスト達成報酬ね。まぁ少ないけどやらないよりはマシだから」

などとやり取りした後、バーバラはキイチ達が語った〝解放者〟なる者の話をしてみせた。

「……」

Kの表情が、明らかに曇りだす。

深いため息を吐いた後、Kはその解放者について知る事を全て話しはじめた。

「現在カロア城下町には大きく分けて二つの組織があるんだ。一つは我々紋章ギルド、そしてもう一つがその解放者の建てた新設ギルド〝解放軍〟。ここのギルドマスターが解放者って呼ばれてる人で、彼が『ログアウトする方法を知っている』と言い出したのが、つい数日前のことなんだよ」

解放軍は、マスターの解放者とその他二人のプレイヤーが所属する超小規模ギルドである。しかし彼等の話を聞いてログアウトを求める者は日に日に増加しており、確認が取れただけで370人ほどがこの世界からいなくなっている――と、神妙な面持ちでKは語る。

「解放者はログアウトを実演して見せるんだけど、誰が見てもログアウトできてるんだよ。だからタチが悪い……タチが悪いとか言ったらだめかもしれないけどね、まぁ俺から見たら胡散臭いことこの上ないよ」

Kが語り終わった後も、沈黙は続く。

地獄(デスゲーム) から抜け出すには、ゲームクリアという正規の方法を取るしか無い――というのが、全てのプレイヤーの常識である。

その上で、プレイヤー達は命を投げ打って危険な最前線へ向かい、あるいは後発組として最前線に加わろうと鍛え、あるいはクリアするのを最初の町で静かに待つという選択を取っているのだ。

その常識が、覆る。

喜ばしい事なのに、突然すぎていまいち現実味がない。皆が黙る中でただ一人、怜蘭が口を開く。

「帰還者殺人事件があったというのに、まだそんな危険な事を発信する人が現れるなんて」

苦虫を噛み潰したような顔で呟く怜蘭。

その声にはどこか怒りの色が見える。

泣きそうな顔でケットルが尋ねる。

「帰還者、殺人?」

怜蘭はデスゲーム開始から数日後、まさにここカロア城下町で起こった悲劇について語りだす――

当時はこの世界がデスゲームと化した事実を受け入れられないプレイヤーが多く、デマ説を唱える者も少なからず存在していた。

死んでも現実に戻るだけ。

ログアウト機能が故障しただけ。

ただ、どの道確かめようがないため確信が持てず、皆が徐々に〝LP0=現実での死である〟という世界のルールを受け入れつつあった。

そんな時、ある一人のプレイヤーが『俺はフィールドで死に現実に一度戻った。デスゲームなんかデマだ、ゲームで死んだら現実に戻れるぞ。それを言いに戻ってきた』と言い出したのだ。

彼の言葉は、正に希望となった。

信じる者は多く、そのまま自らの命を絶つものがでてきた。

しかし誰かが言う――

『それならば一度皆の前で死に、またこの広場に戻ってきてみろ』と。怜蘭はその時、酷く動揺する男を見て嘘だと確信したという。

男はその後、様々な話をしてその場を繋ごうとしたが、現実に戻りたい人は耳を貸さない。彼はプレイヤーによって瞬く間にPKされ、そして二度とこの世界に現れなかったのだった。

「――皆に一筋の希望を持たせようと付いた、短絡的で愚かな嘘だったのかもしれない。けれど、死んだ人が二度と戻ってきていないのも事実。もし解放者が同じ轍を踏んでいるのなら、決して許される行為じゃない」

怜蘭の言葉に、バーバラも同意する。

しかしラオとキョウコの様子は違っていた。

「春カナタ……まさかアイツ……」

「ログアウト、できる――」

そしてショウキチとケットルもまた、元いた場所に帰れる可能性があると聞いてから心が揺れ動いているようだった。

「あのう、すみません。アリストラスに帰る際の護衛を頼みたいんですが」

第7部隊を邪魔そうに避けながら、六人のプレイヤー達が受付にやって来る。バーバラは「一旦離れよう」と皆を移動させ、Kはそのパーティの対応に移った。

「護衛ね。第6部隊の人達が暇そうだから護衛を頼んでくるよ。ちょうど本部に向けた伝言もあったし――」

「まじすか?! ガルボさん達が護衛に付いてくれるなら安心っす――」

受付でのやりとりを背中で聞きながら、バーバラは真剣な表情で、特に怜蘭と修太郎以外の四人に向けてハッキリと伝える。

「とにかく、百聞は一見にしかず。私達もその解放者とやらを近くで見ればいいわ。諸々考えるのはそれからよ」

一行は先ほど男が演説していた場所に向かう。第7部隊の後ろ姿を、Kは心配そうに見送った。