軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

868 クマさん、髪の色を決める

わたしはノアとミサに説明する。

リバーシの大会参加者を増やすために、体験コーナー及び対戦コーナーを作ったことを。

興味を持った人が参加してくれるのではないのかと。

「そうなんですね」

ノアは興味津々に見ている。

カリンさんの準備が終わると、さっそくリバーシの席に座る親子がいる。

隣の席には兄弟が座る。

あっちは友達かな?

中には奥様同士で始めるところもある。

「カリンさん、順調みたいだね」

準備を終えたカリンさんに声をかける。

「はい。今では待っている人もいるんですよ」

「そうみたいだね」

席を用意した瞬間、座り出し始めた。

「つまり、わたしたちもあの席に座れば、対戦ができるってことですね」

カリンさんは声を出したノアを見て、驚いた表情をする。

「もしかして、ノアールちゃんとミサーナちゃん?」

「そうです。気付きませんでしたか? わたしの変装は完璧みたいですね」

「どうして、そんな格好しているの?」

わたしたちはノアたちがリバーシ大会に参加すること、貴族だと知られると相手が困るので、普通の服を着ていることを説明する。

「ああ、確かにそうですね。貴族だと知ったら相手は困りますね」

「変装はどうでしたか?」

「遠くからだと、ノアールちゃんとミサーナちゃんだとは分からなかったです。ユナさんが新しい女の子を連れているって、思ったぐらいです。だから声をかけなかったんだけど」

カリンさんは、わたしたちが店内に入ったときに気付いて会釈したけれど、近づいてこなかったのはそれが理由だったみたいだ。

でも、新しい女の子ってなに?

まるで、わたしがいろいろな女の子を連れてきているみたいに言わないでほしい。

まあともかく、遠くから気付かれないってことは、ノアたちの変装はうまくいったみたいだ。

でも逆にいえば、近くならバレるってことだ。

対戦は向かい合ってする。気付かれる可能性がある。

「ノアって顔は知られているの?」

初めから知らなければ、気付かれることはない。

街を出歩いているみたいだけど、わたしは領主の娘ですって感じで出歩いているのを見たことがない。

護衛もお付きの人もいない。(隠れているかもしれないけど)

どこかの令嬢ぐらいに思われているだけかもしれない。

「これでも一応、この街の領主の娘なので、知っている人はいると思いますよ。でも、領主の令嬢として表だって顔は出したりはしてませんので、知らない人がほとんどかと。買い物するときだって、領主の娘ですって、わざわざ言いませんし」

「わたしは、この店を作るときにノアールちゃんのことを知りましたから、参考にならないかと」

カリンさんを見ると、そう言われる。

つまり、紹介されなかったら知らなかったってことになる。

「でも、たまにノアールちゃんが店に来たときに、小さい声で『領主の娘さん?』『ノアール様かしら?』って声は聞きますね」

「やっぱり、知っている人は知っている感じなんだね」

「年齢や容姿は知っている感じですね。だから、知っている人には気付かれる可能性はあるかも」

「うぅ、服装だけじゃ、ダメですか?」

カリンさんの言葉にノアは自分の服装を見る。

「う~ん。それなら、髪を染めるといいかも?ノアールちゃんの綺麗な金色の髪は知られていると思うんですよね」

わたしもそれは思っていた。

服が普通でも髪が綺麗だから、どこかの令嬢に見える。

ミサも綺麗な銀髪と雰囲気から、令嬢に見える。

「だから髪を染めれば、この街の領主の娘のノアールちゃんだとは、気づかれないと思うんです」

年齢と雰囲気は変えることはできないけど、髪の色だったら変えることはできる。

「いいアイディアだと思うけど、貴族の娘が髪の色を変えても大丈夫?」

「勝手に髪を染めたらお父様に叱られると思いますので、お父様の許可が必要ですね」

対戦リバーシに参加したそうにしていたけど、ノアはクリフから髪を染める許可をもらうために家に帰る。

どうしてか、わたしも一緒だ。

そんなわけで、わたしたちはクリフがいる部屋に向かう。

「そこまでする必要があるのか?」

話を聞いたクリフが呆れたような表情をする。

「お父様が、貴族として分からないようにするなら参加してもいいって言ったんじゃないですか」

「確かに言ったが」

「わたしも、領主の娘だと知られて、わざと負けられても嫌です」

「参加しないって話にはならないんだな」

「なりません」

「それで、ミサもか?」

一緒にいたグランさんがミサに尋ねる。

「はい。ノアお姉様とお揃いの色にしたいです」

「分かった。許可は出すが、大会が終わったら、すぐに戻せ。それが約束だ」

「はい」

クリフとグランさんの許可をもらったノアたちは自室に戻り、ララさんに髪染めの件を伝える。

「本当に染めるのですか? わたしたちがお嬢様の髪をどれだけ丁寧に手入れをしていると思っているのですか? それはミサーナお嬢様も同様です」

ララさんはクリフ以上に難色を示した。

「大会までです。ララ、お願いします」

ノアは上目遣いでララさんに頼む。

「はぁ、約束ですよ。大会が終わったら、すぐに戻すって」

クリフと同じ条件なので、ノアは了承する。

「ララ、ありがとうございます」

「それで何色に染めるのですか?」

「ユナさん、何色が似合うと思いますか?」

ノアは自分の金色の髪を見ながら尋ねる。

ノアに一番似合うのは、やっぱり金色の髪だと思う。

でも、ノアが聞いているのは染めた色のことだよね。

「う〜ん、ミサみたいに銀髪も似合うと思うよ」

「そうしたら、本当の姉妹みたいになりますね」

ミサは嬉しそうだ。

「目立たないようにするなら、フィナみたいな髪の色がいいかも」

フィナの黒茶の髪は一般的だ。

「今回は目立たないのが目的です。フィナと同じ髪の色にしましょう」

髪の色も決まり、ララさんが髪染めの手配することになった。さすがに、今日すぐにとはいかなかった。

翌日、わたしはフィナと一緒にノアの家にやってきた。

「わたしの髪を参考にするって」

ノアがフィナと同じ髪の色がいいと言い出したので、フィナ本人を連れてくることになった。

ノアの家に到着すると、部屋に通される。

「ユナさん、フィナ、いらっしゃい」

「フィナちゃん、お久しぶりです」

「ミサ様」

フィナは2人のところに移動すると、少し嬉しそうにする。

「それではさっそく、髪を見せてください」

ノアはフィナに近づき髪に触れる。

「ノア様!?」

「近くで見ると綺麗ですね」

「サラサラです」

反対側からミサがフィナの髪を触る。

「えっ、ちょっと待ってください」

フィナは顔を赤くして、離れようとする。

「フィナ、動かないでください」

「本当に、わたしと同じ髪の色にするんですか?」

「金色の髪だと、領主の娘であるノアールだと気付かれる恐れがありますので」

「ミサ様は、色を変える必要はありませんよね」

「わたしも、フィナちゃんと同じ髪の色にしたいです」

ミサにそう言われると、フィナも諦めたようで、素直に髪を見せることにした。

ララさんはフィナの髪の色を確認して、髪染めを用意する。

「ララさん、それが髪染め?」

テーブルの上にはいろいろな色の液体が入った瓶がある。

「はい。この液体を髪に塗るようにすると髪の色が染まります」

ララさんはフィナの黒茶の髪の色をした液体が入った小瓶をもってくる。

「ノアール様、座ってください」

ノアは椅子に座る。

ララさんは瓶の中にクシを入れる。クシに液体が吸い込まれていき、液体が少し減る。

「クシが液体を吸い込んだ?」

「クシが液体を吸い込んで、髪を梳かすと色が変わります」

ララさんがそう言うと、そのクシでノアの金色の髪を梳かす。

おお、梳かしたノアの髪が黒茶色に変わる。

不思議な現象だ。

クシには小さい魔石が埋め込まれている。

普通のクシとは違うっぽいから、魔道具なのかもしれない。

「この髪染めって、一般的なの?」

「これですか」

「そんなに簡単に色が染まって、不思議だったから」

「申し訳ありません、わたしも特別な髪染めぐらいしか分かりません。この液体で染めると、色が落ちにくいのですが、こちらの液体を使えば、簡単に色が落ちます」

ララさんは透明の液体を見せてくれる。

色落としもちゃんとあるんだね。これらも薬草とかで作るのかな。

ララさんがノアの髪を梳かすと、どんどん黒茶色に変わっていく。

しばらくすると、ノアの髪はフィナと同じ髪の色になった。

最後は髪を乾かして完成する。

「ふふ、不思議です。まるで、自分ではないみたいです」

「金色の髪もいいけど、新鮮だね」

ノアは鏡に映った自分を見て、不思議そうに髪に触る。

「ノアお姉様、似合っています」

「ノア様が、わたしと同じ髪の色に……」

髪形や髪の色が違うだけで、別人に見えるから不思議だ。

「これだったら、ノアのことを知っていても、すぐにはノアって分からないね」

普通の服を着れば、知り合いでないかぎり、ノアって分からないと思う。

「それでは、次はミサの番ですね」

ミサは椅子に座る。

「よろしくお願いします」

ララさんは、ノアにしたようにクシを液体が入った瓶に入れ、クシに液体を吸い込ませると、ミサの髪を梳かしていく。

ミサの銀色の髪がフィナと同じ黒茶色に変わっていく。

そして、しばらくするとミサの銀色の髪もフィナと同じ髪の色に変わる。

「これで、3人とも同じ髪の色です」

ノアとミサはフィナの左右に立つ。

「3姉妹だね」

「それでは、わたしが長女ですね」

「フィナちゃんが次女で、わたしが末っ子ですね」

髪の色は同じでも、顔が似ていないので、姉妹と言われると、違うと言うしかない。

でも、3人が楽しそうだから、余計なことは言わない。

あと、簡単に髪染めや色を落とせるなら、金髪や銀髪にしてみたい気持ちになる。