軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

767 クマさん、氷の街を探索をする

あれから冒険者ギルド内を調べたけど、現状を確認するものはなにもなかった。

正確には、あったかもしれないが、確認ができなかったが正しいかもしれない。

情報を得ることはできなかったわたしたちは冒険者ギルドから出る。

「さて、ほかの場所に行っても状況的に同じじゃろう。もちろん、奇跡的に確認できる物もあるかも知れぬが」

でも、探すのは大変そうだ。

水に浸かってもインクが滲まない紙、もしくは鉄などの金属に今回のことが彫られているとか、そんな都合が良い物があるわけがない。

「あとは、氷の影響を受けていない場所かのう」

「氷の影響を受けていない場所……街の外?」

街から離れれば、影響は少ない。

距離が離れれば離れるほど、氷の影響は無くなる。

簡単に言えばクリモニアや和の国には影響はない。

まあ、他の場所まで影響が出るようだったら、この世界は終わりだけど。

「あとは地下室じゃな」

確かに、深くなればなるほど、影響を受けないはずだ。

「それじゃ、地下室を探す?」

「探すと言っても簡単じゃない。問題点はいくつかある。一つ、地下室がどこかにあるのかどうか。二つ、地下室があったとしても、今回のことが書かれている資料があるかどうか。地下室に資料を置くのは卑しい人物だけじゃ。本来は穀物や武器などを置くことが多い。あるいは、人が逃げられないようにするために」

閉じ込める場所。

「牢屋ってことだね」

自分で言って、嫌な想像してしまった。

もし、地下牢が無事だった場合、食事は? と考えてしまった。

こんな状況じゃ、誰も食事なんて運んでくれない……。

「それに地下室があったとしても地下まで凍っている可能性もある。それだけ、この氷が普通の氷とは違うってことじゃ」

地下室が凍っていなくても、凍っていても、悲惨な光景しか浮かばない。

ただ、カガリさんの言う通りに地下室が、この街にあるのか、あったとしても、どこにあるのか。探すだけでも大変そうだ。

「それに、地下室を作るのは面倒じゃろう。理由がない限り、地下なんて作らないじゃろう」

地下室は何かを隠すために作られることが多い。

建物を建てる土地があれば普通に建てればいいだけだ。

狭くて人口密度が高い東京だったら、地下室を作る理由はたくさんあるが、目的も理由もなく広大な田舎に地下室を作る人はいない。

「それで、どうするのじゃ?」

カガリさんは自分の考えを話し、行動の判断はわたしに任せてくれるみたいだ。

「とりあえずは、他の場所を調べつつ、地下がないか確認だね」

地下室がないとは限らない。

凍ったのが最近なら、生きている人もいるかもしれない。

もっとも、地下に閉じ込められている人がいたとしても、地上の現状のことは知らないと思う。

それから、わたしたちは情報が得られそうな建物に入っては確認したが、新しい情報を得られることはなかった。

「もう、日が暮れる。同じ質問になるが、どうする?」

クマの転移門を使って和の国に帰る。

もう、諦めて、クリモニアに帰る。

明日以降も調べる。

「カガリさんは?」

「お主に付き合うつもりじゃ。お主が諦めるというなら探索は終わりじゃ。じゃが、明日以降も探索をするなら付き合う」

「ありがとう。それじゃ、今日はここに泊まることにするよ」

「この街に泊まるじゃと?」

「和の国に戻ってもいいんだけど。夜になにか起きる可能性もあるでしょう」

ゲームだと夜に起きるイベントもある。

それに、夜になると氷漬けの原因が起きる可能性もある。

「そうなのか。体が冷えたから、温泉に入って温まりたかったのじゃが」

保温魔法を使っていても、寒かったみたいだ。

それとも魔力が籠もった氷のせいかな?

「温泉に入りに戻ればいいよ」

わたしは周りを見て、道の真ん中にクマハウスを設置する。

「どうして、道の真ん中に建てるんじゃ?」

「普通はできないことだから?」

王都やクリモニアの道にクマハウスを置くことはできない。

もし、置くようなら、目立ち、人が集まり、見せ物状態になる。何より、迷惑になる。それ以前にすぐに撤去命令が出ると思う。

でも、現状、この街なら誰にも迷惑がかからないし、撤去命令は出ない。逆に撤去命令する人がいてくれたら助かる。

「それに、もし仮に人がいたら、目立って気づいてくれるでしょう?」

カガリさんの話じゃないけど。地下があって、そこに人がいて、夜になると出てくる可能性がある。

想像したら、それはそれで、怖いかも。

「確かに、このクマの家は目立つからのう。人がいれば、近寄ってくれるかもしれぬ」

カガリさんも納得したので、わたしたちは夕食の前に冷えた体を温めるため、和の国に移動し、温泉に入る。

「カガリさん、結局のところ、どういう状況か分かる?」

湯船に浸かっているカガリさんに尋ねる。

「分からん」

「カガリさんでも、分からないことがあるんだね」

「この世の全てを知っている者なんていないじゃろう」

神様ぐらいかもしれない。

「分かることといえば、あの氷には微量だが魔力が込められておる。それが街全体に広がっておる」

「微量な魔力ってことは、誰かの仕業ってこと?」

魔力を奪う魔法陣もあった。街を凍らせる魔法陣もあってもおかしくはない。

「まあ、自然に起きたことではないのは確かじゃろう」

なにか、面倒ごとに巻き込まれそうだ。

関わらないのが一番いいのは分かっている。

でも、「クマの道しるべ」が示していたということが気になる。

その「クマの道しるべ」も役目を終えたのか、あれから一度も光っていない。クリモニアに帰っても、光りっぱなしってことにならずに済むみたいだ。

「カガリさん、ありがとうね」

「乗りかかった船じゃ。暇つぶしもあるが、気になるからのう」

それには同意だ。

どうして、あんなことになったか、気になる。

気になって、夜しか眠れないと思う。

わたしたちは氷の街に戻り、何かがあってもいいようにカガリさんとくまゆる、くまきゅうと一緒に眠りに就く。

くまゆるとくまきゅうには、何かあったら、起こしてもらうように頼む。

そして、朝になったら起こしてもらうことも頼む。

便利なクマ目覚まし時計だ。

そして、夜に何かが起きることもなく、朝になるとくまきゅうに起こされる。

その隣ではくまゆるがカガリさんの体を揺らしている。

「もう、朝か。起きるから、体を揺らすのはやめんか」

カガリさんは、目をさすりながら起き上がる。

「何も起きなかったね」

「そうじゃな。じゃが、妾たちが気づかなかっただけで、何かあったかもしれぬ」

確かに。

わたしたちは朝食を食べ終えると、クマハウスは片付け、氷の街の探索を開始する。

探索すると言っても、どこを調べたらいいのか分からないので、適当に街の中を歩く。

昨日、通った道だ。冒険者ギルドがある。

脇道などを通っていたら、戻ってきてしまったみたいだ。

昨日、確認したので、冒険者ギルドの建物の前を通り過ぎようとする。でも、カガリさんが、くまゆるに止まるように言う。

カガリさんは冒険者ギルドを見ている。

なにか気になることでもあるのかな。

わたしも冒険者ギルドを見る。

なにか、違和感を感じる。

なんだろう?

「扉が氷っておる」

本当だ。

カガリさんが魔法で溶かした氷が元に戻っている。

「どういうことじゃ?」

カガリさんはくまゆるから降りて、氷った扉に触れる。

「一晩で氷ったのか?」

「夜になにかあったってこと?」

「分からん。修復しただけなのかもしれん」

「修復?」

「夜に吹雪いたとしても、お主のクマの家は凍っていなかったじゃろう。なのに、凍っている」

確かに、クマハウスは凍っていなかった。

クマハウスが特別なのか、吹雪いていなかったのか分からない。

クマハウスを極寒の中に放置したことはないので、どうなるかは判断がつかない。

カガリさんは冒険者ギルドに近づくと、扉の一部の氷を火の魔法で溶かす。

「あとで、来てみれば分かるじゃろう。何かしらの影響なのか、人為的なことなのか」

考えられることはいろいろとある。

昨日、吹雪が吹き、凍った。クマハウスは特別なので凍らなかった。

凍らせる魔法陣みたいなものがあり、氷を溶かしても時間が経つと凍ってしまう。

あと、可能性が低いが、人や魔物が凍らせている。

分からないことばかりだ。

わたしたちは冒険者ギルドから離れ、探索を再開する

わたしとカガリさんを乗せたくまゆるとくまきゅうは、街の中心部辺りにやってくる。

「なんじゃこれは?」

噴水があったと思われる場所は壊され、周辺の建物は崩れ落ち、地面もえぐられている。

「戦いがあった?」

激しい戦いがあったかのように、周辺は壊されていた。その壊された光景も時間が止まっているように凍っている。

「昨日、上から見たとき気付かなかった?」

「街の外を見ていたからのう。それと周りの建物も高いし、どこも凍っていたから、遠くからじゃ、分からんかった」

それじゃ、昨日の夜とは限らないってことになる。

「嫌な予感がするのう」

カガリさんは周りを見ながら言う。

カガリさんの予感は当たりそうなので困る。

なんたって妖狐だ。(わたしが勝手に言っているだけだけど)

カガリさんはくまゆるから降り、周辺の凍っている地面や建物に触れる。

「なにか分かる?」

「他の場所より、魔力を強く帯びているぐらいじゃな」

「それじゃ、この凍った街の原因の中心部ってこと?」

この近くに魔法陣がある?

それとも別の原因?

カガリさんは、浮かび上がり、壊れた建物を確認する。

そして、後ろを振り向いた瞬間、驚いた顔をする。

「どうしたの?」

「嫌な予感が適中したかもしれん。お主もこっちに来い」

わたしはジャンプして、建物の上に着地する。

そして、カガリさんが見ているほうを見る。

激しい戦いで穴が空いたと思っていたところは、巨大な足跡のようなものだった。