軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

732 ノア、サクラとお話しをする

ユナさんが扉を開くと、広い部屋でした。

床は緑色っぽい不思議な色をしています。

そして、部屋にはわたしと同じぐらいの女の子が座っていて、その近くにユナさんぐらいの年齢の人と、部屋の奥に綺麗な少女がいました。

わたしと同じぐらいの女の子の名前はサクラ。本人は違うとは言いますが、この国の王族の女の子でした。そんな女の子が、どうしてここに?

とりあえずはわたしはサクラと呼ぶことになり、サクラはわたしのことをノアと呼ぶことになりました。

サクラは薄い桃色の見たことがない服を着ています。

たたずまいが綺麗で、口調も普通の子供ではないことは分かる。

継承権はないのかもしれませんが、王族の血筋を持つ者。

それから、この中では一番の年長者だと思う女の人。

名前はシノブ。サクラを護衛する人みたいだ。

そして、一番奥にいた女の子。

彼女がユナさんが言っていた女の子。

わたしより年下なのに、ユナさんは「カガリさん」、王族の血筋を持つサクラが「カガリ様」と呼んでいた。

ユナさんとサクラの話によると、かなりの重要人物みたいです。

こちらにやってくる前に言っていたユナさんの言葉を思い出す。

あまり、深く追求はしないでと。

知らないほうがいいことがあることぐらいは、わたしでも知っています。

だから、彼女のことは尋ねないことにします。

挨拶も終わり、これからどうするかの話になり、窓の外を見ると、大きな湖が広がっていました。

ユナさん曰く、今日はこの家に泊まることになりました。

湖に行きたいと思ったわたしですが、まずはミサとフィナ、シュリを連れて家の中を探索することにした。

でも、すぐにサクラのことが気になり、声をかける。

「サクラも一緒に行きませんか?」

「よろしいのですか?」

「うん、だって、くまゆるちゃん、くまきゅうちゃんが好きな人は、わたしたちの友達です」

サクラは驚いた顔をしましたが、すぐに笑顔になるとわたしたちのところにやってくる。

「はい。ご迷惑でなければご一緒させていただきます」

サクラはわたしたちの横を歩き出す。

「フィナ、シュリ。あらためて、お久しぶりです」

「はい、お久しぶりです」

「うん、サクラ姉ちゃん」

フィナとシュリは嬉しそうに再会を喜びます。

「ユナさんだけではなく、フィナとシュリとも知り合いなんですね」

「はい、フィナにはシノブがお世話になり、シュリとも先ほど外に見えた湖で食事をしたり、一緒に泳いだりもしました」

そんなことが……。

クマさんファンクラブとして、知らせなかったことにフィナとシュリに抗議したいところですが、流石のわたしも今回のことは話せないことだとは分かるつもりです。

内緒にされていたことは悲しいですが、しかたありません。

貴族同士であれども秘密なことはあります。

簡単に情報を話す人は信用を無くします。

たとえそれが親しい人でも……

秘密を話すような人は信じられません。

だから、フィナとシュリのことを責めることはしません。

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに乗って、遊んだんだよ」

シュリが楽しそうに話してくれる。

「ふふ、そうでしたね。くまきゅう様、くまゆる様とも一緒にお遊びになりましたね」

くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんとまで、あの湖で遊んだなんて。

羨ましいです。

それから、サクラは建物の案内をしながら、ユナさんとの関係を話してくれる。

この国が困っているところをユナさんが救ったそうだ。

もし、ユナさんが助けてくれなかったら、恐らくサクラは死んでいたと……

ユナさんはサクラだけではなく、多くの人を救ったと説明する。

そのお礼として、この国の国王様が、この建物をくださったということだ。

ユナさんが国を救ったことも驚きだけど、この建物を与えられたことにも驚いた。

建物は大きく、三階建てになっており、大きなお屋敷といっても過言ではなかった。

こんな大きな建物をもらったなんて、それだけユナさんが凄いことを、この国でしたのだろう。

「あのう、ユナお姉様はなにをしたのですか?」

わたしが尋ねたかったことをミサが尋ねてくれます。

「申し訳ありません。このことは機密になっており、わたしの判断でお話しすることはできません」

「そうなのですね。お聞きして申し訳ありません」

「いえ、気にしないでください。気になるのはしかたないと思いますので。あの扉のことをお話しなさった皆さんになら、ユナ様にお聞きすればお話しになってくださると思いますよ」

だったら、嬉しい。

「ちなみにフィナとシュリは知っているのですか?」

「わたしは知らない!」

「えっと、わたしは知っています」

「ユナさんは、なんでもフィナにだけは話すんですね」

フィナが羨ましいです。

それだけ信用されているってことです。

詳しいことはユナさんに聞くとして、建物を見回ります。

三階は大きな部屋があり、豪華な感じでした。サクラが言うには偉い人が泊まるために作られたそうです。

二階は使用人が泊まる部屋があり、一階はキッチン、食堂、倉庫などがありました。

そして、驚いたことに各階には大きな温泉のお風呂がありました。

ユナさんが温泉に入りたいと言っていましたので、後でみんなと入ります。

それにしても、違う国とは聞いていましたが、色々な部分で違うことに驚いた。

部屋の多くは畳と言うものが床に敷かれており、なんともいえない感触だった。

ミサも不思議そうに何度も踏んでいました。

シュリはゴロゴロと転がったりして、フィナに怒られていた。

それを楽しそうにサクラが見ている。

まだ、少ししか話していませんが、どこか大人びていて、温かい目で見守られている感じがします。

ちなみに、フィナ曰く、この畳の部屋はユナさんの家にもあるらしい。

二階に上がることはないので、知りませんでした。

今度行ったときに見せてもらいましょう。

建物の中を見回ったわたしたちは湖に行くために外に出る。

建物の周りは森林に囲まれていました。

でも、道があり綺麗に舗装されており、馬車が通れるようになっている。

わたしたちは裏手に移動して湖に向かう。

建物の中から見えた湖だ。

綺麗だ。

ミサも、みんなも見ている。

「ここで、食べたり、遊んだりしたんですね」

「はい」

「くまゆるちゃんやくまきゅうちゃんに乗って、遊んだよ」

シュリが楽しそうに話します。

うぅ、羨ましい。

わたしたちは湖の周りを歩く。

気持ちいい。

クリモニアにいても街の外に出ることは少なく、森の中に入ることなんてほとんどないので、新鮮な気持ちになる。

「空気が美味しいです」

ミサが深呼吸をしている。

わたしも真似をして、深呼吸をする。

綺麗な空気が体に入ってくる。

「フィナは、よく森には行くのですか?」

「最近は行くことがなくなりましたが、ユナお姉ちゃんに会う前は、よく森に行っていました」

「そうなんですか?」

ミサが驚く。

「はい。お母さんの薬になる薬草を摘みに」

聞いたことがある。

フィナのお母さんは病気だった。でも、ユナさんが治してくれたとか。

今では、元気に働いている姿を見ている。

わたしもお父様を助けていただき、ミサも魔物に襲われているところを助けてもらった。

みんなユナさんに救われたんだと思う。

シュリは枝を拾って、振り回しながら楽しそうに歩く。

なんとなく、わたしも枝を拾ってしまう。

「この森は危険はないのですか?」

「大丈夫ですよ。魔物を見かけた報告を受ければ、冒険者や兵士が動きます。それに、今はカガリ様がいますので」

サクラの言葉にわたしたちは驚く。

「カガリ様って、あの部屋にいた綺麗な子ですよね。あの子が魔物と戦っているってことですか?」

「はい。わたしたちに報告するのが面倒くさいみたいで、自分で倒してしまうみたいです。なので、カガリ様のお世話をしているスズランが困っていると言っていました」

「あの女の子、わたしたちより年下ですよね。それで、魔物と戦っているのですか?」

「はい。詳しいことはお話できませんが、カガリ様は特別なお方で、魔物と戦うこともできます」

最近、魔法の扱いの勉強をしている。

ユナさんから基本的なことを教わり、あとは自主練や先生に教わっている。

でも、いざ魔物と戦えと言われたら、足がすくんで戦うことはできないと思う。

魔法さえ使えれば、魔物と戦えると思っていましたが、違うことがわかりました。

1人で魔物と遭遇したことを想像しただけで、怖い。

ユナさんも先生も言っていましたが、経験、自信、いろいろなものが必要だと言います。

魔法が使えて、魔物と戦える自信がつけば、怖く無くなる。

それには経験が必要です。

でも、その怖さを知っていることは大切だと言います。

自分の実力も知らずに、無謀に戦い、多くの人が亡くなったと聞く。

妖精のときだって、ユナさんがいたから、怖くなかった。

「あのう、サクラさんにお聞きしたいのですが、あの女の子。カガリさんは、どうして、こんなところに1人でいるのですか?」

ミサが尋ねる。

「カガリ様は、人と関わりを持つのを嫌います。多くの善意、悪意の目を向けられてしまいます。だから、一人になりたいのでしょう」

子供1人でいるなんて、なにかしら理由があるんだと思います。

気になりますが、深く尋ねないことにします。

それが、ユナさんとの約束でもあります。

「でも、寂しがり屋なんですよ」

サクラは微笑む。

「サクラは、ユナさんが来ることを知っていたのですか?」

扉を開けたらすでに待っていた。

「はい、連絡をいただいていまして、来ることが分かっていましたので」

「連絡って、クマさんの形をした遠くの人と話せる魔道具ですか?」

「ノアもご存じなんですね」

「はい、持っています」

わたしはアイテム袋からクマさんの形をした魔道具を出す。

妖精のプリメさんのお姉さんを探しに行ったときに、ユナさんが貸してくれた。

そのときから、持ったままだ。

なんとなくだけど、返し忘れていた。

「確認なのですが、みなさんはユナ様の秘密をご存知ですか?」

ユナさんの秘密ってなんだろう。

隠していることが多いので、どれのことなのか分からない。

「ちなみに、ノアとミサは契約魔法を行っていますか?」

「契約魔法ですか?」

聞いたことがない。

わたしとミサは首を横に振る。

「ユナ様が、お二人のことをフィナとシュリと同様に信用しているってことですね」

サクラは羨ましそうに話してくれる。

なんでも、ユナさんの秘密を守るために契約魔法をしたそうだ。

だから、あの移動できるクマの門のことや、遠くの人と話せるクマの魔道具のことは話せないことになっていると言う。

でも、相手が知っていれば、契約を破ったことにはならないらしい。

その辺りのことは詳しく分からないらしいが、契約魔法を破ると笑い出して、話すことができなくなるらしい。

「そんな契約魔法をしていたのですね」

「あのときは緊急事態で、シノブがユナ様のことを国王に報告しそうだったのでしかたありません。それに、わたしも会って二日目でしたので、ユナ様の信用は得られていませんでした」

わたしはユナさんと知り合って、数ヶ月。でも、あの門のことも遠くの人と話せる魔道具も最近知った。

それだけ、緊急だったんだと思います。