軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

693 それぞれの思い

※騎士A※

冒険者ギルドの情報の下、俺たちは魔物討伐を行なっている。

今日も、いつもと同じように魔物討伐に向かうが魔物が討伐された後だった。

「通りかかった冒険者の方が討伐してくださいました」

「冒険者?」

「はい。男性1人と女性3人の4人パーティーです」

街の周辺で魔物討伐する冒険者はいなくなった。

その理由は役立たずな魔法使いの冒険者たちがいなくなり、一緒に他の冒険者もいなくなったからだ。その冒険者の代わりに俺たちが魔物討伐をしている。

だから、言葉どおりに偶然に通りかかった冒険者なのかも知れない。

俺たちは次の村に向かうが、同じように討伐された後だった。

「通りかかった冒険者が倒しただと?」

「はい」

偶然か?

隊長は黙って考え込んでいる。

そして、男に尋ねる。

「どんな冒険者だった?」

「男1人と女性3人の冒険者でした。わたしたちが困っている話を聞いて、すぐに魔物討伐に行ってくださいました。お礼をしようとしたのですが、急ぐと言って村を出ていってしまいました」

前の村でも同じだ。

間違いなく同じ冒険者だ。

男と女一人が剣を持ち、残りの女二人が魔法使いだったと言う。

「あと……」

「あとなんだ」

「3人の女性は、男性に好意をもっている感じでした」

最後の情報は、どうでもよい情報だ。

ただ、男としてはぶん殴りたくなる情報だ。

もし、どこかで見かけることがあれば、女の前で恥をかかせてやるのもいい。

それに俺たちの倒す魔物を横取りして、ただで済ませるつもりはない。

それからも、俺たちは魔物討伐に向かうが、魔物に遭遇することはなかった。

※門番※

冒険者のギルドマスターに冒険者たちのことを頼まれ、いつ冒険者が戻ってきても大丈夫なように街の出入りには気を付けている。最悪なのは冒険者と騎士がかち合うことだ。俺たちは街の内と外で気にかけながら仕事をする。

街の入り口に立っていると騎士たちが街の外から帰ってくる。

「どこの冒険者だ!」

「領主様に、どう報告するんだ」

いらつきながら、騎士たちがやってくる。

「ありのまま報告すればいい」

「隊長、ですが……」

「それに、この街の近くで魔物が討伐されたのであれば、この街の冒険者ギルドに来る可能性が高い。お前たちはこの後、冒険者ギルドに行って確認をしろ」

「はい」

どうやら、魔物討伐ができなかったみたいだ。

つまり、あの冒険者たちが、先回りに成功したってことだ。

いい気味だ。

心の中で笑っていると、騎士の一人が近づいてくる。

「おい、この街に冒険者は来たか」

「この街のことを知っている冒険者なら、来るわけがないことは、皆さんがよく分かっているのでは? 来るとしても、商人の護衛ぐらいですよ。それだって、すぐに出ていってしまいますよ」

「本当だな」

嘘だよ。

おまえたちに本当のことを言うつもりはない。

「疑うなら冒険者ギルドに尋ねてみればいいのでは? なにも知らずに街に来た冒険者なら、冒険者ギルドには行くと思いますから」

冒険者ギルドに行ったとしても、情報を得ることはできない。

みんな騎士団と領主を憎んでいる。

「もし、冒険者が来たら必ず報告しろ!」

騎士は怒鳴りつけると街の中に入っていく。

本当に、あの冒険者たちが、この街を救ってくれるなら、このぐらいの嘘なら何度でも吐いてやる。

※カーラ視点※

ユナやギルマスたちはプリメちゃんのお姉さんを取り戻すために動いている。でも、わたしといえば、いつもどおりに冒険者ギルドの受付で仕事をしている。

依頼を受ける冒険者がいないと言っても、魔物が消えたわけではない。依頼を頼む者たちはいる。わたしはその対応と、近隣の村からの依頼や、仕事で他の街から来た人たちが魔物を見かけた情報をまとめる仕事がある。

でも、それが終われば、暇なのは事実。

本日の仕事も終わり、のんびりしていると騎士たちが入ってくる。

いつもと様子が違う。

「おい、ここに魔物討伐をした冒険者が来たか!?」

いきなり、わたしのところにやってくると怒鳴りつけてくる。

息が臭いから近寄らないでほしい。

でも、冒険者って、ブリッツたちのことを言っているの?

どっちにしろ、わたしは知らないフリをする。

「こんな寂れた冒険者ギルドに来ませんよ。みなさんが知っているように仕事はできませんから」

少し、嫌味っぽく答える。

「本当だな」

「それよりも、魔物を出してください」

「今日はない」

機嫌が悪い。

「どういうことでしょうか? まさか、わたしたちの情報が間違っていましたか?」

魔物の情報は騎士団に渡している。

ムカつくが、嘘の情報は渡していない。

そんなことをすれば、困るのは魔物に困っている人たちだ。

「いや、見知らぬ冒険者が先に魔物を討伐していった」

ブリッツたちだ。

ブリッツたちにも騎士たちと同じ情報を渡している。

「それでは今日は、解体の仕事はないのですね」

このままブリッツたちが魔物を討伐すれば、明日もない。

「魔石のお渡しはできませんね」

魔物の解体がなければ、魔石を渡すことはできない。

笑いが込み上げてくるが、表情には出さないようにする。

「もし、その冒険者がここに来ることがあったら報告しろ!」

騎士はそう怒鳴ると、鬱憤を晴らすかのように近くの椅子を蹴っ飛ばして出ていった。

「ふふ、久しぶりに、あの悔しそうな騎士たちの顔を見たわ」

ブリッツたちが先回りして、魔物の討伐に成功したみたいだ。

実力があると分かっていたけど、連戦は大変なはずなのに、騎士たちよりも先回りして魔物討伐をしている。

もちろん、強いのはブリッツだけじゃなく、他の3人の女性たちも強かった。

あの男についていくなら、自分の身を守れ、あの男の背中を守れるぐらい強くないと、一緒にいることはできないでしょうね。

ギルマスと戦う姿はカッコ良かった。

「どこかにいい男、いないかしら」

今回のことが無事に終わったら、男でも探そう。

それにはプリメちゃんのお姉さんをどうにかしないといけない。

この街から妖精がいなくなれば、未来がある。

※ギルドマスター※

まさか、あんなクマの格好した少女に負けるとは。

あの動きはなんだ。俺の攻撃は余裕で避けるし、俺の攻撃も怖がらない。

相手の目を見れば大概のことは分かる。

恐れている。悲しんでいる。怒っている。何か企んでいる。目は口ほどにものを言う。

だが、あのクマの嬢ちゃんはどれも違った。

普通、剣を振り回せば、怖がったり、近づくのも戸惑うものだ。

でも、嬢ちゃんの目は怖がりも戸惑うこともなかった。

観察。

俺を観察する目、どんな攻撃をするのか、癖を探しているのか、全てを見透かされているようだった。

嬢ちゃんは俺の攻撃を躱していく。最初は手加減していたが、あまりにも上手に躱すので、ムキになって力を込めて攻撃をしたが当たらなかった。

何より驚いたのが、俺の剣を見切ったのか、小さいナイフで受け流し始めたことだ。

嬢ちゃん曰く「力の流れが分かれば、簡単だよ」

いや、そんな芸当、簡単にできるわけがないだろう。まして、少し見ただけで。

まるで幾度も危険な戦いをし、命の危機を乗り越えたベテラン冒険者と戦っているような錯覚になる。

一流の冒険者は、危険を察知し、相手の弱点を即座に見抜き、戦わないといけない。

それを、年端もいかない少女がやってみせている。

これだけでも凄いことなのに、魔法も使ってみせた。

ブリッツたちが、この嬢ちゃんに敵わないって言葉が理解できる。

だから、ノアールというあの少女と2人だけで、街に来られたのも理解した。

どこから来たのか分からないが、世界は広い。

あのクマの嬢ちゃん。ユナがいれば街は救われるかもしれない。

※ローザ視点※

わたしたちは魔物討伐を終えて戻ってくる。もちろん、全ての依頼をこなすことは人数的にも時間的にも不可能だ。だから、わたしたちは街の近くの依頼をこなしてきた。

カーラさんの話では近隣の箇所から魔物討伐をする傾向があると教えてくれたからだ。だから、わたしたちは騎士たちが立ち向かう場所を予想して、先回りをして魔物を討伐をした。

「久しぶりにベッドで眠れるな」

「お風呂に入りたいわ」

街の入り口に近づくと、門番がわたしたちに駆け寄ってくる。

「おい、不用意に街に近づくな。外に騎士たちはいないだろうな」

「ああ、周囲を確認しながら来たから大丈夫だ」

ギルマスから「騎士たちには気づかれないようにしろ」と言われている。

わたしたちは遠目からでは冒険者と分からないように、フードを被っている。

「馬は預かるから、早く入れ」

わたしたちはお礼を言って街の中に入る。人通りが少ない道を選んで、冒険者ギルドに向かう。

そして、裏口から冒険者ギルドの中に入る。

目をつけられている可能性があるので、冒険者ギルドに入るときは裏口からと言われた。

冒険者ギルドに入ると、ギルド職員が無言でカーラさんのところに案内してくれる。

「お帰りなさい」

「ただいま」

「依頼の方は?」

「周辺の魔物討伐は片付けてきたわ」

「優秀ね」

わたしたちは魔物討伐の報告をする。

「こんなに?」

「ユナちゃんに比べたら、大したことじゃないわよ」

「あの子って、本当に何者なの? あの格好もそうだけど、クマを連れているし」

「わたしたちも、どうしてあんな格好をしているのかは知らないのよね。確か、クマの加護を受けているとか言っていたけど」

「クマ好き」

ランが、それしかないという感じに答える。

まあ、クマの格好しているし、クマを連れているし、クリモニアにあったユナちゃんの家もクマの形をしていたし、ユナちゃんがオーナーするお店もクマだらけだった。

ランの言うことも、間違っていないかもしれない。クマの加護と言われるよりは、そっちのほうが納得できる。

「まあ、俺たちも何度か一緒に依頼を受けたり、噂を聞いたぐらいだからな」

わたしの言葉に、ラン、ブリッツが続ける。

「ただ、言えることは、ユナちゃんは見た目と違ってとても強く、見た目通りの優しい女の子よ。でも、怒らせると怖いから、気をつけてね」

「……ええ」

魔物だろうが、人だろうが、ユナちゃんを怒らせれば、ただでは済まない。

でも、困っている人がいれば手を差し伸べる優しい女の子だ。