軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

600 クマさん、クマハウスを出す&ミア、お風呂に入る

「それじゃ、野宿の準備をしましょう」

「野宿か」

すっかり忘れていた。

ミアたちと一緒に行動するってことは、一緒に野宿するってことだ。

「もしかして、ユナたちが住む村が近くにあって、泊まらせてくれるとか?」

残念ながら、カガリさんの嘘なので村はない。

「えっと、近くと言っても、すぐにはいけないかな?」

「そんなに遠いの?」

「うん、まあ」

「それじゃ、この子たちはどうするの? もしかして、こんな幼い子供たちも一緒に野宿をさせるつもりなの? 家に帰らないと親御さんが心配するわよ」

ミアはカガリさんとフィナを見ながら心配そうに言う。

「妾を幼女扱いか」

いや、それは仕方ないと思うよ。

フィナはどうするのって表情をわたしに向ける。

う~ん、どうしよう。

クマハウスを出すべきか、出さないべきか。

ミアたちは、わたしたちが、どこに住んでいるかも知らないし、現状では教えるつもりもない。

「ミア、キャロル、ちょっといい?」

「なに?」

「快適な野宿を提供する代わりに、質問の受付はなし、誰にも話さないって約束できる?」

「何をもったいぶっているの? 黙ってほしいと言われたら、誰にも話さないわよ。……それに話すような友達もいないし」

最後は小さい声で聞こえたけど、悲しいことだ。

でも、わたしも元の世界には友達はいなかったので、その気持ちは分かる。

「わたしも誰にも言いません」

「家族にもお願いね。まあ、言ったとしても、信じてもらえないと思うけど」

わたしは周りを見て、クマハウスを出せる場所を確認する。

「ここでいいかな」

クマハウスが置ける場所を確認するとクマハウスを出す。

「……クマの家?」

「……クマさんの家です」

ミアとキャロルは呆けるようにクマハウスを見ている。

「まあ、初めて見れば、驚くじゃろう」

「はい。わたしも、初めて見たときは驚きました」

カガリさんとフィナはミアとキャロルの表情を見て、頷いている。

いつまでも、外にいるわけにはいかないので、

「それじゃ、家に入って、今日は休もう」

わたしはフィナとカガリさん、それからくまゆるとくまきゅうを連れて、クマハウスの中に入る。

後ろを見ると、クマハウスを見上げたままの2人がいる。

「ほら、ミアとキャロルも入って」

「な、なんなの!?」

「質問は受け付けないって言ったよね。それとも、2人は外で野宿する?」

ミアは少しだけ考えて、口を開く。

「これだけは、聞かせて」

「なに?」

「どうしてクマなの?」

「ノーコメントで」

クマの形にすると強度が上がるとか説明しても、理解できないと思うし。わたしだって、詳しいことは分からない。

「これ以上尋ねると、本当に野宿してもらうよ」

「うぅ」

「それは……」

ミアとキャロルは尋ねたそうにするが、野宿はしたくないみたいで、言葉を飲み込む。

ミアとキャロルは顔を見合わせると、クマハウスの中に入ってくる。

「本当に家だわ」

「信じられないです」

「そもそも、こんな家がアイテム袋に入るの?」

「こんな凄いアイテム袋を持っているなら、ユナさんが魔道具に興味がない理由が、なんとなく分かった気がします」

ミアとキャロルは部屋を見回しながら感想を呟く。

そんなミアとキャロルに声をかける。

「それじゃ、ミアとキャロルはお風呂に入ってきて」

「お風呂?」

「だって、数日間、お風呂に入っていないんでしょう? そんな汗を掻いたまま、布団に入られても困るし」

布団のシーツなどを洗濯をするのはわたしだ。

汗の臭いがついたシーツや汚れたシーツを洗うのは面倒臭い。

こういうとき、たまに見る小説や漫画にでてくる洗浄魔法が欲しくなる。

「布団……」

「お風呂……」

わたしはぶつぶつ言っている2人を風呂場に案内して、お風呂の扱い方を説明する。

そのときに、2人がお湯が出るクマを見て、なんとも言えない表情をしていたけど、気にしないことにする。

「タオルも用意してあるから、自由に使っていいからね」

わたしは2人を風呂場に残し、フィナとカガリさんがいるところに戻る。

2人がお風呂に入っている間に、やることがある。

「カガリさんは家に帰らなくても大丈夫?」

「スズランが来るのは数日後だったはずじゃ。だから大丈夫じゃ」

「それじゃ。あとはティルミナさんにフィナの外泊の許可だね」

わたしはクマフォンを出すと、シュリが持つクマフォンに向けて通話する。

ドワーフの街に行ったときに渡したままになっている。返してもらうのも可哀想だったし、今回のようにフィナと出かけることもあると思い、渡したままにした。

まもなくしてシュリのクマフォンと繋がる。

『ユナ姉ちゃん?』

「うん、そうだよ。えっと、悪いけど、ティルミナさんにお願いできる?」

『うん、ちょっと待って』

トコトコと走る音がクマフォンから聞こえてくる。

『シュリ、どうしたの?』

『ユナ姉ちゃんがお母さんにって』

『ユナちゃん? これに話しかければいいのよね?』

「ちゃんと聞こえていますよ」

『どうしたの? そろそろ夕食だから、フィナを』

「そのことなんだけど。今日、フィナにうちに泊まってもらってもいい?」

『それはいいけど』

「もう少し早く連絡ができればよかったんだけど」

『いいのよ。多く作ってもゲンツに食べてもらうから。それで、そこにフィナはいるのかしら?』

わたしはクマフォンをフィナに向ける。

「うん、いるよ。お母さん」

『ユナちゃんに迷惑をかけないようにするのよ』

「うん」

『それじゃ、何をしているか分からないけど、楽しんでいらっしゃい』

「お母さん、ありがとう」

通話が切れる。

ティルミナさん、もしかして、クリモニアに居ないことを知っていたのかな?

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ミア視点

「タオルも用意してあるから、自由に使っていいからね」

ユナはお風呂の使い方を説明すると脱衣所からでていく。

「いったい、なんなの?」

あのメンバーの組み合わせがよく分からない。

年長であるユナはクマの格好をしているし、次に小さいのはフィナって子だ。それでも、10歳ぐらいだ。そして、一番よく分からないのが、カガリと名乗った女の子だ。

うちの一番下の妹と変わらないのに、口調はしっかりしているし、物事の考え方が大人と話しているようだ。

わたしの妹なら「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お腹空いた」とか「お姉ちゃん、一緒に寝ていい」とか「お姉ちゃん、大好き」とか言って、子供らしい可愛さがある。

でも、あのカガリって女の子は、可愛いけど、可愛らしさがない。

それにフィナって子は、年下のカガリに「カガリお姉ちゃん」って呼んでいるし、ユナも「カガリさん」って敬称を使っているし、本当に訳が分からない。

「ミアちゃん。クマさんの家も驚いたけど、お風呂があるとは思わなかったね」

わたしが考え事をしていると、キャロルが服を脱ぎだす。

「なに、脱いでいるのよ」

「だって、服を脱がないと、お風呂に入れないでしょう」

キャロルは当たり前のことを言う。

「そうだけど。不思議に思わないの?」

「思うけど。悪い人たちじゃないと思うよ」

「わたしもそう思うけど」

何度も助けてくれた。実際に危なかった。助けてくれなかったら、怪我、もしくは死んでいたかもしれない。

食事もご馳走してくれたし、お風呂と寝床も用意してくれた。

ただ、会ったばかりのわたしたちに、こんなに優しくしてくれる理由が分からない。

裏切られたときのことを考えると怖い。

「ミアちゃん、そんなに思い詰めなくてもいいと思うよ。わたしには人を見る目だけはあるんでしょう?」

「……キャロル」

キャロルはわたしを安心させるように笑顔を向ける。

わたしは、そんなキャロルの笑顔を見て、いろいろと考えている自分がバカらしくなる。わたしは、ため息を吐くと服を脱ぐ。

いろいろと疑問に思うことはあるけど、ユナたちを信じることにしたのだ。

「今は、ありがたくお風呂に入らせてもらいましょう」

「そうだね」

わたしたちは服を脱ぎ、裸になる。

そして、体を洗い、数日ぶりに湯船に浸かる。

「ミアちゃん、気持ちいいね」

「うん、こんな場所でお風呂に入れるとは思わなかったよ」

「うん」

「だけど、このクマはセンスが悪いわね」

湯船にクマの石像がある。そのクマの石像の口からお湯が出ている。

「そう? わたしは可愛いと思うけど」

「それにしても、ここまでクマ尽くしだと、驚きを通り抜けて呆れるわ」

クマの格好、黒と白のクマを従え、クマのアイテム袋から、クマの家を出し、お風呂にまでクマがいる。

「どれだけ、クマが好きなのよ」

「きっと、クマが大好きなんだよ」

「そうね。自らクマの格好するほどだもんね。人の趣味をとやかく言うつもりはないけど」

わたしだって、自分の好きなことをバカにされたら怒るし、ムカつく。だから、ユナの格好をバカにするつもりはない。

「それにしても、ユナさんのクマの格好も可愛かったけど、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんも可愛かったわね」

「あんなに懐いているクマは初めて見たよ」

「うん、普通なら、怖くて近寄れないもんね」

幼女は謎だし、ユナはクマの格好しているし、まともなのがフィナって子ぐらいだ。

それだって、得意なことは魔物や動物の解体だって言うし、本当に謎が多い3人組だ。

「それにしても、気持ちいいわ。このまま眠りそう」

いろいろと考えるが、答えはでない。

それよりも、久しぶりのお風呂が気持ちよくて、どうでもよくなってくる。

「このまま寝ちゃダメだよ」

「分かっているわよ。でも、凄く気持ちいいから」

「そうだね」

「うはぁ~~」

「はぁ~~」

わたしとキャロルは肩まで沈むようにお湯に浸かる。

気持ちいい。

そして、お風呂から、なかなか上がってこないわたしたちを、ユナが様子を見に来てくれたりして、迷惑をかけてしまった。

そして、お風呂から上がったわたしたちを待っていたのは、温かい布団だった。

家の中だから危険はないし、もし魔物が襲ってくるようなことがあればユナのクマのくまゆるとくまきゅうが教えてくれるらしいから、気にしないで寝ていいと言われた。

部屋の光を消すと、わたしとキャロルは久しぶりの布団に入る。

太陽の匂いがする。ふかふかで気持ちいい。

このまま誘惑に負けて、寝てしまいそうだ。夜はキャロルと一緒に明日のことを相談をしようと思っていたけど、布団に入った瞬間、睡魔が襲ってくる。

部屋が暗いことも眠気を誘う。

「うぅ、眠い」

「ミアちゃん。わたし、もうダメ」

「ダメよ。明日のことを話さないと」

返事がこない。隣のベッドから気持ちよさそうなキャロルの寝息が聞こえてくる。

わたしも数日間の疲れが溜まっていたのか、明日のことを考えることもできず、眠りについてしまった。