軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

601 クマさん、探索を開始する

翌朝、中々起きてこないミアとキャロルをフィナに見に行ってもらい、その間にわたしは朝食の準備をする。といっても、クマボックスからパンを出すだけだ。

ただ、カガリさんがお米がいいと言うので、ごはんに梅干しを乗せて、和の国で買った豆腐とワカメが入ったお味噌汁と、たくあんを出してあげる。

みんなの朝食の用意ができると、フィナがミアとキャロルを連れて階段を下りてくる。

「うぅ、眠い」

「夜更かしでもしていたの?」

「していないわよ。お風呂に入って、すぐに寝たわよ」

「疲れていた体に、久しぶりのお風呂に、柔らかい布団のせいで、朝までぐっすりでした」

「それなら、よかったよ」

ミアとキャロルを起こしてきてくれたフィナにお礼を言って、朝食を食べ始める。

「朝食も美味しい」

「ユナさん、朝食まで用意してもらって、ありがとうございます」

「たくさん、食べていいからね」

「うぅ、こんな快適な冒険なんて、聞いたことがないよ」

ミアはそんなことを言いながら、パンを口に入れる。

そして、朝食を食べたわたしたちは、出発の準備を整え、探索を開始とする。

ミアたちが乗ってきた馬は、昨日と同じ場所に居てもらう。

わたしたちは、昨日の続きで、大きな建物に向かう。

ミアとキャロルの話によると、道を迂回などをすれば、甲冑騎士を避けることができるらしいが、逃げ道を確保することを踏まえて、迂回はせずに甲冑騎士を倒しながら進むことにする。

フィナとカガリさんは、それぞれくまゆるとくまきゅうに乗り、わたしは、なにかあった場合、すぐに対応できるように歩く。

「でも、お宝ってなにがあるのかな?」

「技術者はお互いの技術を磨き合い、素晴らしい魔道具が作られたと言われているわ。きっと、誰も見たことがない魔道具があるはずよ」

くまゆるに乗っているフィナの独り言に、ミアが答える。

「お宝、あるといいね」

「絶対に見つけるわ」

ミアは、フィナを見てから、わたしに視線を向ける。

「その……本当にお宝を見つけたら買い取ってくれるの?」

ミアが遠慮がちに尋ねてくる。

「まあ、その見つけた物が、わたしが欲しいって思う物ならね」

「あんな凄いアイテム袋や家を持っているあなたが、欲しいと思えるものなんてあるか疑問だけど」

「ユナさんが買い取ってくれなくても、冒険者ギルドや商業ギルドに渡せば、高く引き取ってくれるよ」

「そうかもしれないけど」

まあ、買い取ってあげたいところだけど、欲しくない物を買い取ってもゴミになるだけだ。

「その前にお宝を探さないとね」

お宝を見つけないことには買い取る云々の前の話だ。

「あ、騎士がいるよ」

フィナが前の方に指を差す。

通路に甲冑騎士が立っている。

わたしは、みんなに待つように言うと、1人で甲冑騎士に近づく。目の前まで来ても動かない。まあ、一応、電撃魔法で壊しておく。

それから、動く甲冑騎士と動かない甲冑騎士に関係なく、電撃を纏ったクマさんパペットで甲冑騎士に触れていく。甲冑騎士は崩れ落ちていく。

「本当に簡単に倒すわね」

「魔法ですか?」

「……」

「雷魔法の一種じゃろう」

わたしが返答をどうしようかと思っていると、カガリさんが答えてしまう。

「雷ですか?」

「あの、雨が激しいときに、空に光る?」

「そうじゃ。まあ、詳しい説明は面倒だからしないが、体の内部に隅々まで行き渡らせることができる」

カガリさんも雷魔法を使う。実際に雷について、どこまで知っているのか分からないけど、わたしの代わりに説明をしてくれる。

「確か、雷って木に落ちたりすると、燃えたりするんですよね?」

「それじゃ、火の魔法ってこと?」

「少し違うが、まあ、炎系の高度な魔法と思えばいいじゃろう」

カガリさんは面倒なのか、説明が雑になる。

まあ、電気とか電撃と言っても理解できないと思うし。実際に雷に触れることはできないし、できたとしても、死ぬことになる。

雷に打たれて生きているのは、よほど運が良くないとダメだ。

自ら、雷に打たれようと思う人は、まずいないと思う。

「そんな、魔法があるのね」

「それで、甲冑騎士のどこにあるか分からない魔石を破壊しているんですね」

「そうじゃ。初めてユナが使っているところを見たときは、驚いたがな」

「わたしは、幼女のあなたが、そんなことを知っていることに驚くわよ」

「幼女って言うな」

「幼女でしょう」

カガリさんは、反論が面倒なのか、それ以上は言い返さなかった。大人バージョンは秘密にするのかな?

大人バージョンへの変身は、わたし以上に非常識だし、なるべくなら知られたくないのかもしれない。

その気持ちは分かるので、わたしから話すことはしない。

「しかし、この国の住民はこんな重そうなものを着て、戦うのか。妾の国では、こんな鉄の塊を着て戦う者なんておらぬぞ」

カガリさんは、崩れた甲冑騎士を見て、そんな感想を漏らす。

日本の甲冑も重いとは聞いたことはあるけど、実際に着たことはないから、比べることはできない。でも、見た感じ、こっちの西洋甲冑のほうが遥かに重そうだ。

「妾の国って、あなた、どこに住んでいるのよ」

「妾の村と、言い間違えただけじゃ」

「まあ、確かに、村に騎士はいないわね」

カガリさんの噓にミアは納得する。

「でも、確かに、動きにくそうよね」

機動力を取るか防御力を取るかだろう。

一概にどちらが良いとはいえない。それは、戦う相手次第で変わってくる。なんでもそうだけど、万能装備なんて存在しない。何かに強くて何かに弱いのは、ゲームではよくあることだ。魔法に強い防具、打撃に強い防具、または属性に強い防具もある。だから、どの属性にも強く、魔法にも強く、打撃にも強い防具は存在しない。

いや、一つだけ万能装備が存在している。

自分の着ているクマ装備を見る。

耐久性もあって、防御力もあって、魔法にも耐えて、さらには魔法を強化してくれて、重たい物も持てるようになって、弱点がない。弱点があるとしたら、見た目がクマってことだけだ。

わたしたちは通路を進み、ミアたちと出会った付近までやってくる。

「確か、この先がミアたちが、襲われたところね」

「わたしたちが、迂回して時間をかけてやってきたところまで、あっという間に来ちゃったわ」

まあ、ほぼ直進で来た。

「仕方ないよ。ユナさんみたいに、甲冑騎士を倒すことなんてできないんだから」

そんな愚痴をこぼすミアを無視して、先に進む。

遠くから見たときは通路が続いているのかと思ったけど、下り階段になっていた。

でも、真っ暗だ。

「そこの魔石で光が点くんじゃない?」

フィナの指差す先には魔石が取り付けられている。

家の部屋にある光の魔石を灯すようなスイッチみたいだ。

「そう思うわよね。わたしもそう思って、魔石に触れたら、甲冑騎士が動き出したのよ」

「わたしはやめようって止めたのに」

「だって、暗かったら、先に進めないでしょう」

「それで、光は灯ったのか?」

「光らなかったわ」

なぜか、ミアは自慢気に言う。

ミアはもう一度確認するように壁に付けられている魔石に触れるが、階段は明るくならない。

「かなりの年月が経っているんだから、壊れているんじゃない?」

「魔石に魔力が残っていれば点くはずなんだけど」

「お主たち、忘れておらぬか、魔道具が使えないことを。魔石を使っておるなら、通路の光もそうじゃろう」

「そうだった」

ミアは魔道具とは手に持てるものだけと思っていたらしい。

まあ、わたしもそうだけど。

だけど、光が点かないと、先に進むことはできない。

でも、この世界には魔法という便利なものがある。

「わたしが魔法で光を出すよ」

「ユ、ユナお姉ちゃん!」

わたしが光魔法を出そうとすると、フィナが声をあげる。

「うん? どうしたの?」

「わ、わたしがやってもいい?」

「光魔法?」

「わたし、戦うことはできないから、わたしができることはしたいです」

もしかして、自分が役立たずと思っているのかな。

ソロは気楽でいいけど。寂しい気持ちもある。

だから、今回はフィナと一緒に冒険しているみたいで楽しい。それが、なにもできずに、ついてきてくれるだけでもだ。

だから、ここはフィナの気持ちを受け入れる。

「それじゃ、お願いしてもいい?」

「はい!」

フィナは嬉しそうにする。

フィナは、手に魔力を集めると、「光って」って声をあげると、わたしたちの上に光る小さなクマが浮かび上がる。

「クマ?」

「クマですね」

「クマじゃのう」

3人は光っているクマを見て、感想を漏らす。

「フィナ。別にクマの形にしなくても、いいと思うんだけど」

「その、クマさんで何度も練習していたから、クマさんがイメージしやすくて」

「でも、可愛いわね」

まあ、光れば問題はない。

わたしたちはフィナが作ったクマの光に照らされながら階段を下りていく。

「ミアたちは魔法は使えないの?」

「わたしは使えないけど、キャロルは使えるわよ」

「はい、少しだけですが。だから、もし、ユナさんやフィナちゃんが言いださなかったら、わたしがやろうと思っていました」

「そうなると、この中では魔法が使えないのは、ミアだけになるのう」

「あなただって、使えないでしょう」

「ふふ、お主が可哀想だから、そういうことにしておこうかのう」

10歳ぐらいまでは魔法が使えないのが常識の世界だ。幼女のカガリさんが魔法を使えないのは当たり前だ。

だから、ここでカガリさんが魔法を使いでもしたら、説明が面倒くさいので、確かに控えたほうがいいと思う。

今回は、わたしよりカガリさんの秘密をかくすことが多いような気がする。