軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

582 クマさん、フィナにプレゼントする デゼルト編 その4

わたしたちは街を周り、カリーナの家に戻ってくる。家にはすでに、ムムルートさんが戻っていた。どこに行っていたのか尋ねると、「昔の友に会ってきた」と言う。

なんとなく分かったので、それ以上は尋ねなかった。

それから、ムムルートさんはカリーナの母親のリスティルさんに挨拶をしたいと言うので、わたしたちも会いにいく。

リスティルさんの部屋には赤ちゃんがいた。

小さくて、可愛らしい赤ちゃんだ。

わたしはクマさんパペットを赤ちゃんの目の前でパクパクさせる。赤ちゃんは笑いながら、手を伸ばしてくる。

「笑いました」

「ユナお姉ちゃんを見てかな?」

フィナの言うとおりにわたしのほうを見ているような気がする。わたしが場所を移動すると、目が追いかけている。

「やっぱり、ユナお姉ちゃんを見ています」

赤ちゃんの目の前でクマさんパペットをパクパクさせると笑う。

わたしが離れると、表情が変わり始める。

「あっ、泣きそうです」

「ちょ」

わたしは慌てて近づき、クマさんパペットをパクパクさせると、笑い始める。

「ユナさんが気にいったみたいですね」

わたしより、クマさんパペットが気に入っただけと思う。

「でも、ユナさんが離れると、泣き出すと困りますね」

「大丈夫ですよ。わたしがあやしますから」

リスティルさんがそう言うが、泣かれるのは申し訳ないような気がする。

でも、クマに反応しているなら、対応策はある。

わたしはクマボックスから、くまゆるぬいぐるみを出し、赤ん坊の前に置くと、くまゆるぬいぐるみに反応する。

「クマさんを見ています」

わたしの考えは正しかった。赤ちゃんは小さい手でくまゆるぬいぐるみに手を伸ばす。くまゆるぬいぐるみを渡すと、赤ちゃんは嬉しそうにする。

そして、わたしが離れても、興味はくまゆるぬいぐるみに移り、泣くことはなくなった。

「わたしと同じでクマ好きになりそうですね」

カリーナはくまゆるぬいぐるみに抱きついている赤ちゃんの頬を突っつく。

それから、わたしは赤ちゃんの隣にくまきゅうぬいぐるみも置いておく。片方だけでは可哀想だからね。

リスティルさんは申し訳なさそうにしていたけど、在庫はあるし赤ちゃんが産まれた祝いのプレゼントとして受け取ってもらった。

そして、夕食の時間になるまで、リスティルさんと話をした。

ムムルートさんを連れてきてくれたことに感謝していた。

テーブルの上に黄色のスープが並ぶ。

ラサさんがカレーを作ってくれた。

「ちょっと辛いですが、美味しいです」

ルイミンはパンにカレーを付けて美味しそうに食べる。

「そうじゃのう。村だとあまり、このような辛いものは食べないから、美味しいのう」

「そう言っていただけると嬉しいです」

少し辛さが控えめだったこともあって、フィナもシュリも美味しそうに食べている。

「ムムルート様、シアン様とクアト様はどんなお方だったんですか?」

「わたしもお聞きしても」

カリーナとリスティルさんがムムルートさんに尋ねる。

「シアンとクアトか? シアンは行動的な女性だったのう。魔法の扱いもうまかった。ただ、興味があるとなんでも首を突っ込む性格じゃった。あのピラミッド攻略もシアンが言い出したことじゃった。そんなシアンの尻に敷かれていたのがクアトじゃ。好いていたこともあって、いつも言いなりじゃったな」

惚れた弱みってことかな。

「そして、そんな行動的なシアンを中心にピラミッドの迷宮の奥まで行くことができた」

「あの迷宮を水晶板の地図もなしで、最深部まで行くなんて凄いです」

「その水晶板を見つけたのもシアンじゃった。シアンのやつ、あれほどたくさんの罠があったのにもかかわらず、いきなり触れるから、みんな慌てたのは懐かしい思い出じゃな」

ムムルートさんは笑いながら言うけど、罠があったら大変だよね。

「それで、シアン様が水晶板の管理者になったのですね」

「そういえば、水の魔石もあったんでしょう。持って帰ろうとは思わなかったの?」

普通なら、お宝の大きな魔石をゲットすると思うんだけど。

「詳しい文言は覚えていないが、水の魔石を発動させると、湖ができると書かれていた。『砂漠に湖?』と笑ったが、シアンは『砂漠に湖ができたら最高だね』と言ったんじゃ。その一言で、わしたちは魔石は取らずに、魔石を発動させることにしたのじゃ」

なにか、面白そうな人だったんだね。

「それで、ピラミッドの外に出ると、砂漠に水が湧き出しておった。シアンは『取らなくてよかったね』と言っておった。あのときのシアンの考えは正しかったんじゃと思う」

そのシアンさんのおかげでこの街がある。歴史を聞いているようで、面白い。

「そして、シアンは水晶板を扱えるのが自分だけと知って、この場所に残ることにしたのじゃ。あやつのことを好いていたクアトも残ることになった」

それからしばらく、人が住めるように手伝ったが、シアンさんとクアトさんの言葉に従って、ムムルートさんは湖を離れたそうだ。

「ムムルート様、お話を聞かせてもらい、ありがとうございました。二人の話が聞けて嬉しかったです」

「いや、わしも二人の遺志を継ぎ、この街を守ってくれているお主たちに、感謝の言葉もない。ありがとう」

ムムルートさんは頭を下げる。

「頭を上げてください。わたしたちは、自分たちの役目をしっかり守ってきただけです。これからもしっかり守っていきます」

リスティルの言葉に、ムムルートさんは嬉しそうにする。フィナの誕生日プレゼントのついでだったけど、本当に連れてきてあげてよかったと思う。

「それで、一つ頼みがあるのじゃが」

「なんでしょうか」

「あのピラミッドに連れていってはもらえないじゃろうか。久しぶりに中を見てみたい」

「それは構いませんが」

「お母様、お父様、わたしに案内させてください」

カリーナが手をあげる。

「もう、何度も行っていますから、案内はできます」

バーリマさんとリスティルさんはお互いの顔を見て、頷く。

「それじゃ、ムムルート様の案内はカリーナに頼もうか」

「はい。任せてください」

「あのう、先ほどから言っているピラミッドって、なんですか?」

ルイミンが尋ねる。

「街に来るときに、大きな三角形の形をしたものを見ませんでしたか?」

カリーナが逆に尋ねる。

そうだ。街に来るとき、ピラミッドが見えていた。でも、今回はクマの転移門を使って、街の中に入ったので、ピラミッドを見ていない。

「ああ、それは、ルイミンもフィナもシュリも、街についたときには、くまゆるとくまきゅうの上で寝ていたからだよ」

フィナやシュリまで、変なことを言い出さないように、眠っていたことにする。フィナはシュリの口を塞ぎ、フィナとルイミンもとっさに「はい、寝てました」「寝てましたから、気づかなかったです」と口裏を合わせてくれる。そんな姿を見て、ムムルートさんは微笑んでる。

「そうだったんですね。くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんの上は気持ちいいですからね」

そして、ルイミンやシュリもピラミッドが見たいと言い出した。水晶板とかは秘密になっているから、わたしはダメと言ったが、バーリマさんは、わたしとムムルートさんの関係者ってことで、一緒に行く許可をくれた。

いいのかな?

それだけ、わたしとムムルートさんを信じてくれているのかもしれない。

そして、食事の最後には、ラサさんがカモールの卵で作ったプリンを出してくれた。

工夫しているようで、とても美味しかった。

食事を終えたわたしたちは、お風呂をいただき、泊まらせてもらう部屋に戻ってくる。

部屋にはベッドが5つある。どうやら、カリーナが同じ部屋で眠ることを頼んだらしい。

「ふふ、くまゆるちゃん、くまきゅうちゃん、お久しぶりです」

カリーナと約束したので、くまゆるとくまきゅうを出してあげる。カリーナは大きいくまゆるとくまきゅうを撫でながら、久しぶりの再会を嬉しそうにする。

「ぬいぐるみもいいですが、やっぱり本物のくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんが一番いいです」

カリーナには前回来たときに、くまゆるとくまきゅうと別れても寂しくないようにとぬいぐるみをプレゼントした。ちゃんと、大切にしてくれているそうだ。

そして、その夜はカリーナがクリモニアのことやエルフの村のことを聞いたりして、フィナたちが楽しそうに答えていた。

「みんな、寝ちゃったね」

「はい」

わたしとフィナ以外の3人は、くまゆるとくまきゅうに抱きつくように寝てしまった。わたしは一人ずつベッドに運び、寝かす。

「フィナ、楽しんでいる?」

「はい。とっても楽しいです。数日で、こんなたくさんの経験ができるとは思いませんでした。ユナお姉ちゃん、連れてきてくれてありがとう」

フィナの表情は嘘も偽りもなく、お礼を言ってくれる。

「ユナお姉ちゃんに出会えてから、幸せなことばかりが起きて、たまに夢じゃないかと思うときがあるんです。元気なお母さんがいて、シュリも笑って、ゲンツおじさんがお父さんになって」

「夢じゃないよ。それに楽しいことはこれからもたくさんあるよ」

「ユナお姉ちゃん、ありがとうね」

「ふふ、わたしもフィナに会えて良かったよ。ありがとうね」

お互いに笑みが溢れる。

「まだまだ、行く場所はあるから、楽しもうね」

「はい!」

それから、わたしとフィナはベッドの上でおしゃべりをしながら、眠りについた。