軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

437 クマさん、かまいたちと戦う その2

わたしは銀色の毛をしたかまいたちに向かって走り、氷の矢を飛ばす。だが、銀色のかまいたちはかわす。

銀色のかまいたちは素早い動きで草木の陰に隠れながら移動する。わたしは確認のため探知スキルに目を向けたとき、右側の草が揺れ、風の刃がわたしに迫る。土の壁を作る。

だが、土の壁が切れた!

わたしはとっさに白クマさんパペットを前に突き出して、風の刃を防ぐ。

普通のかまいたちの風の刃は土の壁で防ぐことはできたけど、銀色のかまいたちの刃は防げなかった。シノブの言った通り、鉄も斬れるって話も嘘じゃないみたいだ。

そのシノブのほうに目を向けると、向こうも苦戦をしているみたいだ。少し離れたところで、木が倒れる音がする。

くまゆるとくまきゅうのことも心配だ。だけど、二人一緒だし、銀色のかまいたちと戦わないように言ってあるから、大丈夫なはずだ。

わたしは草木を分ける音がするほうに向けて、風の刃を放つ。草を切って、銀色のかまいたちを襲うが、避ける姿があった。

やっぱり、草木が生える森の中で戦うには不利だったかもしれない。探知スキルがあるから、大丈夫って考えは甘かった。いや、そもそも、普通のかまいたちより、上位種がいるなんて聞いていない。

銀色のかまいたちは、間違いなく、かまいたちの上位種だ。速度も攻撃力も数段上だ。なにより、やっかいなのが、感覚が鋭いところだ。攻撃を仕掛けてもかわされる。シノブが言っていた感覚が鋭くて、攻撃が当たらないって言葉がよく分かる。

小さくて、動きが速いと、こうも面倒なんだね。

さらに、戦う場所も面倒だ。草むらも邪魔だが、木が一番厄介だ。

移動するのも邪魔だし、切り倒すと、かまいたちの隠れ場所を増やすだけになる。実際にすでに数本の木が倒れ、かまいたちは倒れた木を利用して移動している。

地の利は完全に向こうにある。

これが視界が開けた場所なら、戦いようがあったんだけど、魔物相手に頼む訳にもいかない。

銀色のかまいたちは動き回りながら、風の刃を飛ばしてくる。わたしはクマの風の刃で防ぐ。

風の刃と風の刃がぶつかり合うと、風が巻き上がり、草や葉が舞い上がる。

うざい!

視界が塞がれる。チラッと探知スキルに目をやって、居場所を確認して、風の刃を放つ。木が倒れる。

このままじゃ、森林破壊が広がってしまう。

炎で焼くわけにもいかないし。

わたしは深呼吸して、考える。

……あれを使ってみるかな。

相手が小さいなら、こっちも小ささで勝負すればいい。

わたしは子犬ほどの大きさのクマの土のゴーレムをたくさん作り上げる。10体以上のちびクマたちが地面に並び立つ。わたしはちびクマゴーレムに魔力を込め、銀色のかまいたちにロックオンする。

「ちびクマたち、いけ!」

わたしが腕を振るうと、ちびクマたちが動き出す。

新しい魔法、ちびクマ軍団だ。

体が小さいため、攻撃力はなく、魔力もそれほど、込めることはできない。でも、数はたくさん作ることができる。

ちびクマたちは地面を駆け、銀色のかまいたちに向かっていく。銀色のかまいたちは逃げ出すが、ちびクマたちが猟犬のように追いかける。

銀色のかまいたちはちびクマに向けて、風の刃を放つ。でも、ちびクマは風の刃をかわしていく。的が小さく、数が多いから、命中率が下がる。たとえ命中して、一体ぐらい倒されても、次のちびクマが襲い掛かる。

かまいたちは草むらを駆け抜け、その周りをちびクマたちが囲むように追いつめていく。かまいたちが木に登って逃げる。そこにちびクマの一体が飛び付いて、抱き付く。

捕らえた!

土クマのゴーレムの重みで、銀色のかまいたちの動きが鈍る。動きが鈍くなった銀色のかまいたちに、別のちびクマが飛びかかり、木から落ちる。

あとは地面に落ちた銀色のかまいたちに、ちびクマたちが次々とのしかかり、銀色のかまいたちは動けなくなる。ちびクマが銀色のかまいたちを完全に押さえ込んだ。

わたしは銀色のかまいたちに近寄り、動きが取れなくなった銀色のかまいたちに止めをさした。

「ふぅ」

思ったより、てこずった。

くまゆるとくまきゅうは? あとシノブは?

周囲を見ると、離れた位置で音がする。わたしは探知スキルを使って、居場所を確認する。

かなりの離れたところにくまゆる、くまきゅうの反応がある。シノブのことも気になるが、わたしはくまゆるとくまきゅうのところに向かって駆け出す。

わたしは走る。そして、その周囲が酷い状況に驚く。

草木が切れ、木が倒れている。

なにが起きているの?

もしかして、銀色のかまいたち?

わたしがくまゆるとくまきゅうのところに駆け寄ると、くまゆるとくまきゅうが銀色のかまいたちと戦っているところだった。

どうして、戦っているの?

銀色のかまいたちが風の刃を放ち、くまゆるを襲う。くまゆるは素早い動きでかわす。かまいたちは連続で刃を飛ばしてくる。くまゆるは腕を振って、風の刃を切り裂く。

凄い。

よく見ると、くまゆるの首に巻いているリボンが、光っているように見える。

もしかして、クマモナイト?

くまゆるは、そのまま銀色のかまいたちを追いつめていく。銀色のかまいたちは逃げる。でも、そこには待ち構えていたくまきゅうがいた。

くまきゅうの首のリボンも光っている。

やっぱり、クマモナイト?

くまきゅうの爪が銀色のかまいたちを襲う。攻撃が当たり、かまいたちは地面に転がる。だけど、かまいたちは動き、逃げ出そうとする。でも、くまゆるが押さえ込んで倒した。

戦いを終えたわたしはくまゆるとくまきゅうに近づく。

「くまゆる、くまきゅう、銀色のかまいたちはわたしに任せてって言ったよね! なんで戦っているの?」

「「くぅ~ん」」

少し強めに叱ると、くまゆるとくまきゅうは項垂れる。

でも叱らないといけないときは、ちゃんと叱らないといけない。

もし2人になにかあったら、悔やんでも悔やみきれない。

「どうして、こんな無茶をしたの? わたし言ったよね。銀色のかまいたちはわたしに任せて、くまゆるとくまきゅうは普通のかまいたちを倒してって」

「「くぅ~ん」」

くまゆるとくまきゅうは答えない。

「それはっすね。別の銀色のかまいたちがユナに近づいていたからっすよ」

声のしたほうを見ると、シノブの姿があった。

「くまゆるたちは、ユナから銀色のかまいたちを遠ざけるために、攻撃を仕掛けたっす」

「そうなの?」

わたしはシノブの言葉でくまゆるとくまきゅうに確認する。

「「くぅ~ん」」

くまゆるとくまきゅうは小さく頷く。

わたしの命令に従わないで、わたしを守ろうとする召喚獣。わたしはそんな2人の気持ちが嬉しくもある。

理由が分かると、強く叱ることはできない。

「はぁ」

わたしはため息を吐いて、くまゆるとくまきゅうの頭を優しく撫でる。

「ありがとう。でも、危険なことはしないでね」

「「くぅ~ん」」

くまゆるとくまきゅうは嬉しそうに鳴く。

でも、2人の動きが速かった気がするけど、やっぱり、クマモナイトのおかげなのかな?

くまゆるとくまきゅうのリボンを見ると光っていない。

どれほどの効果があるか分からないけど、役にたっているようなら、よかった。

「それで、シノブのほうは?」

「倒したっすよ」

シノブが笑顔で答える。

でも、よく見ると、服の一部が切れている。

「服が切れているけど、怪我をしているの?」

「ああ、大丈夫っす。ギリギリでかわしたっすから」

シノブは服が切れた箇所を広げて見せてくれるが、本当に肌には怪我はない。これが紙一重って言うのかもしれない。

「服が台無しっす。追加代金を請求したいっす。まあ、銀色のかまいたちを倒したから、大丈夫っすけど」

銀色のかまいたちは価値があるみたいだ。

でも、シノブは銀色のかまいたちと戦いながら、わたしのほうを見ていたのかな?

くまゆるとくまきゅうの行動のことを知っていることを尋ねると。

「たまたまっす」

と誤魔化された。

本当にシノブってなんなんだろう?

「これでかまいたちは全部っすかね?」

「くまゆる、くまきゅう?」

わたしはくまゆるとくまきゅうに尋ねる振りをして、探知スキルで周囲を確認する。

いない。どうやら、普通のかまいたちはくまゆるとくまきゅうが倒したみたいだ。

「周囲にはいないみたいだよ」

「そうっすか。良かったっす。流石に銀色のかまいたちは面倒っすからね。ユナとくまゆると白クマがいて助かったっす」

「くぅ~ん」

くまきゅうがシノブに抗議の声をあげ、体をシノブに当てる。

「なんっすか?」

「くまきゅうだけ、名前を呼ばないから怒っているよ」

「それは、すまないっす。えっと、くまきゅう?」

「くぅ~ん」

くまきゅうは名前を呼ばれて嬉しそうにする。

「くまきゅうも可愛い名前っすね」

名前を褒められて、さらにくまきゅうは嬉しそうにする。

あまり、深く考えずに付けた名前だったけど、気にいってくれているようで、わたしも嬉しい。

それからわたしたちは、くまゆるとくまきゅうが倒したかまいたちを回収してから森を出た。

森が少し、大変なことになったけど、大丈夫かな?