軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

423 クマさん、シュリとおでかけする

焼肉パーティーをした翌日、わたしはタールグイの島にシュリと2人だけでやってきている。

クマハウスでビッグボアを解体しているときにシュリに「お姉ちゃんだけズルい」と言われてしまった。「わたしもどこかに行きたい」と言うので、シュリの小さなお願いを聞くことになった。

シュリの小さなお願いは「あの、果物がある島に行きたい」だった。なので、今回はシュリと2人でタールグイに来ている。

フィナは逆にティルミナさんと一緒にいる。こちらはこちらで、母親に甘えている。

まあ、フィナもまだ10歳の女の子だからね。そんなわけで今日はシュリと2人だけになる。

タールグイの島に来るとわたしはくまゆるとくまきゅうを召喚して、今すぐにでも走り出そうとするシュリに注意事項を伝える。

「くまゆるから、離れちゃ駄目だからね」

「うん!」

「くまゆるが行っちゃ駄目って言ったら、行っちゃ駄目だからね」

「うん!」

「わからない食べ物は採らない、食べない。もしくはくまゆるに聞くこと!」

「うん!」

「あと、なにかあったら、クマフォンでわたしを呼ぶこと」

「うん!」

「あとは……」

あと、注意することってあったっけ?

「うぅ、ユナ姉ちゃん。お姉ちゃんみたいだよ。ちゃんとくまゆるちゃんと一緒にいるし、くまゆるちゃんの話は聞くよ。ねえ、くまゆるちゃん」

シュリはくまゆるに抱きつく。くまゆるは「くぅ~ん」と鳴く。

「くまゆる、シュリをお願いね」

「くぅ~ん」

くまゆるにシュリのことを頼む。

「くまゆるちゃん、早く行こう!」

「くぅ~ん」

楽しそうにするシュリを乗せたくまゆるは駆けていく。

わたしはシュリの後ろから追いかけるように、くまきゅうと一緒に出発する。

トコトコと進んでいると、さっそくシュリがくまゆると一緒にオレンを採っている姿がある。

くまゆるの背中に乗って、一生懸命に背を伸ばしている。ちゃんと、靴を脱いでいるのが微笑ましい。

シュリは取ったオレンを普通の袋に入れる。果物は一定の数を溜めると、アイテム袋にしまうことになっている。

「くまゆるちゃん。ちょっと、右に移動して」

「くぅ~ん」

くまゆるはシュリの指示に従って、右に移動する。シュリはくまゆるの上で上手にバランスをとっている。

「ああ、行き過ぎだよ」

「くぅ~ん」

くまゆるは少し戻る。

シュリは手を伸ばす。

「採れたよ」

「くぅ~ん」

微笑ましい光景だ。

オレンはシュリとくまゆるに任せ、わたしとくまきゅうは先に進む。

マンゴー、バナナを手に入れていく。果物だけでなく、野菜もある。本当にいろいろな食べ物があるね。流石にお店に出すほどはないけど、わたしが楽しむには十分にある。

でも、数量限定なら大丈夫かな?

──────────────────────────────

今日はユナ姉ちゃんと一緒に果物がたくさんなっている島に来ています。

ユナ姉ちゃんの家にある扉を開けると、この島に来ることができます。

とっても不思議です。

わたしはくまゆるちゃんに乗って、果物を探します。

くまゆるちゃんに乗って、周りを見ているとオレンを見つける。わたしはくまゆるちゃんの背中に立って、美味しそうなところを採る。

それから、他の果物を探していると、くまきゅうちゃんと一緒にいるユナ姉ちゃんが果物を採っている姿があった。

ユナ姉ちゃんに負けないよ。

なにか、美味しそうなものはないかな?

あそこに黒い実がなっている。

「くまゆるちゃん。あれ、食べれるのかな?」

「くぅ~ん」

見たことがない物はくまゆるちゃんに聞くように、ユナ姉ちゃんに言われてます。

くまゆるちゃんは首を横に振る。

どうやら、あれは食べれないみたいです。

「あれは食べれる?」

今度は緑色や黄色の果実がなっているのを見つけた。少しオレンに似てる。でも、果実はオレンより小さく木も違う。見たことがないけど、これは食べれそう。

でも、一応くまゆるちゃんに聞く。

「くまゆるちゃん。これは?」

くまゆるちゃんは「くぅ~ん」と鳴いて、首を上げて下げる。

大丈夫みたいだ。

木はそれほど高くないので、わたしは手を伸ばして、黄色の果実を採る。

美味しいのかな?

わたしは黄色の果実をナイフで半分に切ってみる。色は違うけど、オレンみたいに果汁が多い。わたしはかぶりついた。

「うぅぅぅぅぅぅぅぅっ」

わたしは持っていた実を地面に捨てる。

スゴく酸っぱいです。

「うぅ、くまゆるちゃんの嘘つき。食べれるって言ったのに」

「くぅ~ん」

くまゆるちゃんが、悲しそうな顔をする。でも、嘘を吐いたのはくまゆるちゃんです。

口の中が凄く酸っぱい。くまゆるちゃんに騙された。

「どうしたの?」

わたしがくまゆるちゃんに怒っていると、くまきゅうちゃんに乗ったユナ姉ちゃんがやってきました。

「くまゆるちゃんが、嘘を吐いたの!」

わたしが言うとユナ姉ちゃんが周囲を見て、目の前の木を見る。

「もしかして、レモンを食べたの?」

「凄く、すっぱかった。なのにくまゆるちゃん食べれるって」

「まあ、このままで食べたりしないからね。普通は肉料理や野菜の味付けに使う果物だよ。だから、食べられないってわけじゃないよ」

「そうなの?」

「だから、くまゆるは食べられるって言ったんだと思うよ。だから、くまゆるは許してあげて」

わたしは黄色の果実とくまゆるちゃんを見比べる。

くまゆるちゃんは嘘は吐いていない。

「……くまゆるちゃん。怒ってごめんね」

わたしは優しく、くまゆるちゃんの頭を撫でた。

くまゆるちゃんは「くぅ~ん」と鳴いて、わたしに擦り寄ってくる。

許してくれたみたいです。

でも、今度は普通に食べれるものを聞くことにする。

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わたしはシュリが見つけたレモンを調理用にいくつか採る。レモンジュースを作っても良いし、レモンティーも作れる。

あと砂糖漬けにして食べたりするって聞いたことはあるけど、食べたことはない。美味しいのかな? 今度、作ってみようかな。

それから、今回のような間違いが起きないようにシュリと一緒に行動することにする。まあ、一緒に行くことになっても、わたしもこっちの知らない食べ物は見ても分からないんだけどね。

4人でタールグイの島を探索していると、トウモロコシがなっているのを見つけた。

うん? 右と左で種類が違うみたいだ。

片方はみずみずしく、生でも食べられそうに美味しそうだ。でも、もう片方は枯れている。タールグイの島で枯れるの?

わたしは枯れているトウモロコシを一つ手にする。これはもしかする?

ポップコーンを作るにはトウモロコシの品種があって、ポップコーンを作るトウモロコシは枯れるぐらいまで待ってから収穫するって、昔にテレビで見た記憶がある。収穫したあとは、しばらく乾燥させた実がポップコーンになるはず?

曖昧な記憶だけど、そんな感じだった。

もし、品種が違ったら、ポップコーンにならないんだけどね。

でも、確かめる価値はある。ポップコーンは小学校のときに、映画を見に行ったとき食べたぐらいだ。中学生になってからは、家に引き籠っていたから、この数年は食べていない。映画でも見ながら食べられたら、いいんだけど、残念ながら、この世界には映画館もテレビもない。でも、たしか王都には劇場があったよね。

劇を見ながら食べていいのかな?

まあ、食べる機会は無くても、ポップコーンの作り方をフィナやシュリに見せてあげたい。ポンポンと爆発して、硬い種が柔らかい白い食べ物に変わる。あれは初めて見ると驚くからね。

わたしは枯れかかっているトウモロコシを取る。

「ユナ姉ちゃん、そんな枯れているの硬くて食べれないよ。こっちのほうが柔らかいよ」

シュリは枯れたトウモロコシと、青々とした食べごろのトウモロコシを比べて見せる。

「ちょっと、試したいことがあってね。こっちの枯れたトウモロコシが必要なんだよ」

「試したいこと?」

「食べられるかわからないんだけどね」

「食べるの?」

シュリは枯れたトウモロコシを見て、少し嫌そうな表情をする。

まあ、こんな固そうな物を食べたいとは思わないよね。

「シュリとくまゆるは、そっちのトウモロコシをお願い。くまきゅうはこっちを手伝って」

「くぅ~ん」

わたしとシュリは分かれて、新鮮な食べごろのトウモロコシと枯れたトウモロコシを収穫する。

学生祭のときに作った綿菓子も良かったけど、ポップコーンでも良かったかもね。

まあ、あのときはポップコーンの種がなかったから仕方ない。これだって、まだ、ポップコーンになるかもわからない。

「ユナ姉ちゃん、お腹減った」

トウモロコシを採っているとシュリがそんなことを言い出す。たしかにそろそろお昼の時間だ。

「それじゃ、トウモロコシでも食べようか」

「うん!」

わたしはロージナさんのところで買った鍋を取り出して、水を入れて火にかけて茹でる。

その間にわたしたちはトウモロコシを採る続きをする。

そして、いい感じにトウモロコシは茹であがる。

「熱いから気を付けてね」

わたしは火傷をしないように、ハンカチに巻いてから、シュリに渡してあげる。

シュリは息を「ふ~ふ~」と吹きながらトウモロコシを食べる。

「あつっ」

「気を付けて食べて」

「でも、美味しい」

「採りたてだからね」

わたしは座っているくまゆるとくまきゅうの分も取ってあげる。

くまゆるとくまきゅうは両手で上手にトウモロコシを持ち、食べ始める。

トウモロコシだけじゃあれなので、採ってきた果物を切って、お皿に乗せる。

「うぅ、どれも美味しい。お姉ちゃんも来れば良かったのに」

今頃、フィナはティルミナさんに甘えているかもしれない。想像してみるが、甘えるってよりは一緒に仕事をするイメージしか湧かない。でも、嬉しそうにしているに違いない。

「それじゃ、お土産にフィナとティルミナさんに採っていってあげようね」

「うん!」

「あと、ゲンツさんにもね」

ゲンツさんを忘れると可哀想だからね。

トウモロコシを食べたあとも果物や野菜を採り、フィナや孤児院に持っていってあげた。