軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

422 クマさん、クマモナイトを装備する

ムムルートさんは魔法陣が描かれた絨毯の前に立つ。

「それじゃ、嬢ちゃん。真ん中の円のところに精霊石を置いて、右端にある円形の部分に触れて魔力を流してもらえるか」

魔法陣は中心に円形があり、あとは複雑な模様が描かれている。

わたしは手に持っている2つのクマモナイトを見る。

「……嬢ちゃん?」

「確認なんだけど、契約ってわたしじゃなくてもいいんだよね?」

「それはクマの精霊石なんだろう。嬢ちゃん以外に誰が契約すると言うのだ?」

普通に考えて、世界中捜しても、クマモナイトと契約できる人はわたしぐらいだ(他にいたら見てみたい)。

でも、人じゃなければ魔力を持っていて、クマ属性の持ち主はいる。

わたしは通常サイズのくまゆるとくまきゅうを召喚する。広い部屋だけど、くまゆるとくまきゅうを通常サイズで召喚すると狭く感じる。

「その契約って、この子たちでも大丈夫かな?」

クマモナイトは持っている者を強化してくれる。わたしはクマ装備のおかげで防御力も攻撃力も高い。

くまゆるとくまきゅうも他の熊に比べれば強い。他の魔物相手でも負けない。でも、タールグイでワイバーンと戦ったときのことを考えると不安になる。くまゆるがワイバーンの攻撃を受けたときのことを思い出すと、今でも恐い。くまゆるとくまきゅうはわたしを守ろうとする。もし、くまゆるとくまきゅうに何かあれば、わたしは堪えきれない。

それにくまゆるとくまきゅうにはフィナたちの護衛を頼むことが多い。そう考えるとわたしが多少強くなるよりはくまゆるとくまきゅうが強くなったほうがいい。

ゲームだって、召喚獣を成長させることは大切なことだ。

「さすがに、今までに動物と契約はしたことはないが、その嬢ちゃんのクマに魔力があって、属性がクマなら」

魔力はあるし、属性は間違いなくクマだよね。

「それじゃ、クマモナイト……じゃなくて、精霊石の登録はこの子たちでお願い」

「嬢ちゃんがそれで良いというなら、わしは構わないが」

わたしは魔法陣の真ん中にクマモナイトを一つ置く。

「それじゃ、先にくまゆるからね。そこに魔力を流して」

「くぅ~ん」

くまゆるは歩き出し、ムムルートさんが指示を出した場所に手を置く。そして、くまゆるが魔力を魔法陣に流すと魔法陣が光りだし、魔力が中心のクマモナイトに集まっていく。まるで、くまゆるの魔力がクマモナイトに入っていった感じだ。魔法陣の光は消える。

「これで終了?」

ムムルートさんは終わりと返事をするので、わたしはクマモナイトを拾い、入れ替えるようにもう一つのクマモナイトを置く。

「それじゃ、次はくまきゅうね」

「くぅ~ん」

くまきゅうはくまゆると入れ替わるように魔法陣の前に移動する。

そして、くまゆると同じように白い手を魔法陣に置いて魔力を流す。魔法陣は光り、くまきゅうとクマモナイトの契約も終わる。

わたしの手にはクマモナイトが二つある。片方の色が変わっている。くまきゅうのクマモナイトは白くなっている。白クマだから?

「これを装着すれば加護を得るってことでいいの?」

「はい」

わたしはクマボックスから、大きな紺色の布を取り出し、布の中にクマモナイトを入れ、くまゆるの首に結んでリボンみたいにする。

同じようにくまきゅうには赤い布を取り出し、白いクマモナイトを入れてくまきゅうの首に結ぶ。

「2人とも可愛いよ」

「「くぅ~ん」」

「それで、強くなった?」

「「くぅ~ん?」」

くまゆるとくまきゅうは首を傾げる。

強くなっていないのかな?

まあ、装備しただけじゃ、わからないか。わたしだって、クマ装備しているだけじゃ、強くなった感じはしない。魔法を使ったり、戦ったり、走ったりするとクマ装備の強さがわかる。なにもせずに着ているだけじゃ、クマ装備の強さはわからない。

「ムムルートさん、ありがとうね」

わたしはムムルートさんにお礼を言い、くまゆるとくまきゅうを送還させて家を出る。

ムムルートさんの家を出ると、疲れ切った顔をしたルイミンがやってくるところだった。

「ああ、ユナさん。戻ってきていたんですね」

「うん、ちょっと前にね。それにしてもルイミンは、なにか疲れているね」

「買ってきた物を一軒、一軒、届けていたら疲れました」

こういうときに、疲れが取れる魔法陣を使うのかな?

あの魔法陣がどれほどの効果があるか、気になるところだ。

「でも、みんな喜んでくれたので、嬉しかったです」

ルイミンは疲れを吹き飛ばすような笑顔をする。わたしが男だったら、ときめいていたかもしれない。残念だが、わたしは女だ。

でも、鍋はどこでも喜ばれるね。長年使ってきたものは使いやすく、愛着はあるけど。新しい物は嬉しい。

わたしも新しいパソコンを買ったときは嬉しかった。

元の世界にあるパソコンはどうなっているかな?

まあ、パソコンにはゲームしか入っていないけど。神様に大切な物を聞かれたとき、パソコンって言えば、パソコンもこの世界に持ってくることができたのかな?

まあ、お金と言ったおかげで、苦労せずに異世界を満喫することができている。そのことには感謝している。それに電源って問題もあるし、パソコンだけがあっても使えないからね。

「それでユナさん。リッカさんはどうでしたか? わたし、気になって」

「一応、王都でガザルさんのお店で働くことになったよ」

「それじゃ、付き合うことになったんですか!? 結婚は?」

「う~ん、それは、まだかな。これからの2人に期待ってところだと思うよ」

「そうなんですか」

ルイミンは少し残念そうにするが、ガザルさんは初めの表情は困ったような顔をしていたけど、最後は嬉しそうな表情をしていたように見えた。

あとは時間の問題のような気がする。

「でも、リッカさんがフラれなくてよかったです」

それに関しては同意だ。フラれたリッカさんをロージナさんのところまで連れていくことにならないでよかった。そんなことになったら、目隠しして、クマの転移門に放り込んだかもしれない。

「あと、フィナちゃんは帰っちゃったんですか?」

ルイミンはわたしの後ろを見るけど、いくらわたしの体の体積が大きいからと言って、後ろに隠れたりはしていないよ。ちなみに体積が大きいって、太っているって意味じゃないからね。

「いつまでも家族と離ればなれにしておくわけにはいかないから、フィナは先に家に送り届けたよ」

「わたしも一緒に王都に行けばよかったかな。そうしたら、久しぶりにお姉ちゃんに会えたのに。そして、そのままユナさんとフィナちゃんの街にも行ってみたかったです」

「今日は帰ってきたばかりだからね。クリモニアはまた今度だね」

「約束ですよ。絶対に連れていってくださいね」

わたしはムムルートさんにアイテム袋を返しに行くルイミンと別れ、村をでる。

帰りは子供たちに囲まれずに、村をでることができた。

エルフの村を出たわたしは森の奥、神聖樹の木の近くにあるクマハウスの転移門を使って、クリモニアに戻ってくる。

クリモニアに戻ってきたわたしは子熊化したくまゆるとくまきゅうを召喚して、ベッドにダイブする。

どうやら、子熊化すると一緒に装備している物も小さくなるみたいだ。ちなみに外したら、大きくなった。

数日ほどのんびりしたわたしはティルミナさんとの約束を守るために、わたしの家でビッグボアの解体をする。もちろん、解体をするのはフィナとシュリだ。わたしは見学である。

「それで、どうして、ゲンツさんがいるの?」

解体はフィナにお願いしたのに、なぜかゲンツさんの姿がある。

「ビッグボアを解体すると聞いてな。珍しいからな、俺も手伝うことにした。それにフィナも初めてじゃ、わからないところもあるだろう」

ちなみにフィナにお願いしたとき、イノシシは解体したことはあるから大丈夫だと言っていた。

「仕事は休みだから安心しろ」

なにを安心してよいかわからないけど。ゲンツさんは胸を張る。

まあ、三頭もあるから、いいんだけど。それに解体が早く終わることは助かる。お昼までに解体作業を終わらせて、孤児院で焼き肉パーティーをすることになっている。だから、ゲンツさんが手伝ってくれるのは助かる。

「それじゃ、お願いね」

わたしはクマボックスから三頭のビッグボアを出す。

「でかいな」

「おおきい」

「ユナお姉ちゃん、こんな大きな獣を倒したんですね」

ゲンツさん、シュリ、フィナとビッグボアの大きさに驚く。

「それじゃ、昼までに終わらせないといけないんだろう。さっさと、やっちまうか。フィナ、シュリ。 お父さん(・・・・) のやるところを、しっかり見ているんだぞ」

もしかして、仕事が休みだから、娘と一緒にいたかっただけかもしれない。それにフィナとしばらく離れていた。ティルミナさんとシュリはクマフォンで会話をしていたけど、ゲンツさんだけは話していないから、寂しかったのかもしれない。

それとも、お父さんらしいところを娘に見せたいのかな?

フィナとシュリは「はい」「うん」と返事をしているけど。数年後には「お父さん、臭い」「お父さん、近寄らないで」とか言うのかな。

「ユナお姉ちゃん、どうかしたんですか?」

わたしがフィナのことを見ていたら、尋ねてくる。

「なんでもないよ。フィナは今のままがいいなと思っただけだよ」

「…………?」

フィナは首を小さく傾げる。

解体作業はゲンツさんのおかげもあって、午前中に終えることができた。そして、わたしたちは解体した肉を持って孤児院に行く。

孤児院ではお店が休みのアンズやモリンさんが食事の準備をしておいてくれた。調理はそれぞれのお店のメンバーが料理を作ってくれる。

モリンさんが焼いてくれたパンに肉を挟んでも美味しいし、アンズが味付けした肉料理も美味しかった。

子供たちも美味しそうに食べてくれたので、焼き肉パーティーを開いて良かった。

あっ、ルイミンを呼べば良かったかな?