軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

349 クマさん、部屋割りを決める (1日目)

ミリーラのクマハウスはクリモニアや旅用のクマハウスのように座っているクマと違って、小さなビルのようにクマが立つ感じになっている。

クマハウスは四階建てのビルほどの大きさがあり、2つのクマビルがくっつくように建っている。2つのクマビルはそれぞれの階で繋がっているが、向かって右側のクマが女子、左側のクマが男子と一応分かれている。ちなみに後ろに回ると小さな尻尾も付いている。

そんなクマビルを子供たちは見上げるように見ている。

「ユナお姉ちゃん、ここに泊まるの?」

「そうだよ。もし、院長先生やリズさんと離れて迷ったら、ここに来るんだよ。たぶん、誰かに聞けばわかるから」

「うん、わかった」

今度はちゃんと聞いてくれたのか、返事をしてくれる。

子供たちは嬉しそうにしているが、大人たちの顔を見ると、微妙な表情をしている。

「ユナちゃん。わたしたちも、ここに泊まるの?」

「ちょっと、恥ずかしいわね」

「可愛くて、わたしには似合わないかも」

エレナやカリンさん、セーノさん辺りから、少し否定的な言葉が聞こえる。

「それなら、エレナたちは庭で野宿する?」

「ユナちゃん。冗談よ。うわぁ、こんな可愛いクマさんの家に泊まれて嬉しいな」

棒読みだよ。

でも、その気持ちは分からなくもない。もし、わたしがクマの能力を手に入れていない普通の女の子だったら、同様のことを思ったかもしれない。今となってはクマの能力は切っても切り離せないわたしの力となっている。

そんなクマビルを物欲しそうに見ている人物もいる。

「うぅ、ユナさん。なんですか。その可愛いお家は。わたしの家もクマさんにしてほしいです。作ってください」

「ユナお姉様。そのときはわたしの家も作ってください」

クマビルを見ているノアとミサがそんなことを口にする。クリフのお屋敷をクマハウスにしたら、わたしがクリフに怒られる。グランさんなんて、ショックで気を失って倒れてしまうかもしれない。

だから、わたしは二人にはこう言う。

「そうだね。もし、クリフとグランさんの許可が貰えたら、作ってあげるよ」

わたしは無理難題の条件を二人に付ける。あの2人が許可を出すわけがない。ここで、エレローラさんを条件にすると、あの人のことだから、ふざけて許可を出す恐れがある。でも、クリフなら絶対に許可を出したりはしない。グランさんもクリフと同様にしないと思う。

そして、わたしはクマビルを見ているみんなに声をかけて、クマビルの中に入ることにする。入口はクマの小さな足の間にある。左右に入口は2つあるが、わたしは右側のクマビルの入口から入る。

クマビルの一階はキッチンや食堂などがある。中は繋がっているので、かなり広い食堂とキッチンになっている。

「ここで食事をするから、食事のときは集まってね」

一階を簡単に説明すると二階に上がる。二階も廊下で二つのクマビルは繋がっている。

右の部屋が女子、左の部屋が男子の部屋になっている。部屋はそれぞれワンフロアになっているので、学校の教室より広い。20人が寝ても十分に余裕がある。

「一応、そっちが男子の部屋で、こっちが女子の部屋だからね。院長先生やリズさんも子供たちと一緒でいいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ」

ニーフさんも子供たちと一緒の部屋が良いってことなので、院長先生と一緒にこの部屋に泊まることになる。

「ギルも男の子たちと一緒でいい?」

「かまわない」

ギルの言葉に男の子たちは喜んで、ギルは部屋に連れていかれる。

「ユナちゃん。わたしは?」

ルリーナさんが尋ねてくる。

「こっちの女の子の部屋でいいですか?」

「ええ、いいわよ」

ルリーナさんは断ることもなく、了承してくれる。女の子はルリーナさんを連れていく。それから、布団が入っている押入れのことなどを説明する。

「部屋にある物は自由に使っていいからね」

「ユナさん、わたしたちもここで寝るのですか?」

「ノアたちは三階の部屋だよ」

二階の説明を終えたわたしはノアたちを連れて上の階に上がる。

三階には個別の部屋が数部屋ある。そのうちの一部屋にフィナたち家族四人に泊まってもらう。

「わたしたち家族が使っていいの?」

「今回は家族旅行って思ってください」

「ユナちゃん、ありがとうね」

ティルミナさんは娘とゲンツさんを連れて、部屋の中に入っていく。

「ノアたちは隣の部屋を使って」

ノアにミサ、シア、護衛のマリナにエルの五人は同じ部屋になってもらう。

そして、最後にくまさんの憩いの店のメンバーのモリンさん、カリンさん、エレナの三人にアンズたちくまさん食堂のセーノさん、フォルネさん、ペトルさんの七人が同じ部屋になってもらう。

全員部屋割りを終えたわたしは自分の部屋にやってくる。

わたしは寂しく一人ではなく。わたしの後ろを歩いていたくまゆるとくまきゅうと一緒に寝ることになる。

わたしは今日1日、フィナやノアの相手をして疲れているくまゆるとくまきゅうを部屋に置いて、部屋を出る。一階に降りると、モリンさんやアンズたち料理人が夕食の支度をするところだった。わたしは持っていた食材を出して、お願いをする。

「明日はクリモニアじゃ仕入れていない食材を買って、料理を作りたいですね」

たしかに、せっかくミリーラに来たんだし、食べたいね。食材の買出しはアンズに任せる。代金は商業ギルドに纏めて支払えるようにしてもらうようにお願いをする。

食堂でアンズたちと話し合っていると、子供たちがやってくる。

「ユナお姉ちゃん。海に行っていい?」

「今から?」

「うん!」

まだ、夕食には少し早い。これから、準備をするところだ。

子供たちは上目遣いで、わたしを見る。別に町の中だから、魔物などの危険はないけど。子供たちだけで海に行かせるのは不安がある。

どうしようかと思っていると、ルリーナさんがやってくる。

「ユナちゃん、わたしが一緒に行くよ」

「いいの?」

「ええ、ギルも誘って、海に行きたい子たちを誘って行ってくるわ。みんな、落ち着きがないから、一度海に行った方が落ち着くわよ」

わたしはルリーナさんの言葉に甘えることにする。海に行きたい子供たちはルリーナさんとギルに任せる。クマビルに残る子供たちは院長先生とリズさん、ニーフさんが面倒を見る。

子供たちが外に出ていくと、ノアたちがやって来る。そして、キョロキョロと辺りを見ている。

「なにをしているの?」

「探索です」

「シアも一緒に?」

「マリクスたちのお土産話にしようと思って」

いや、しなくていいから。

それに探索って、住んでいるわけじゃないから、珍しい物はなにも置いていない。空っぽって言ってもいいぐらいだ。

「ミサ、お姉様。まずは庭から探索です」

ノアはミサとシアを連れて、外に出ていく。マリナとエルはいなかったけど、部屋にいるのかな?

あとで、知ったけど。ミサが「マリナたちは部屋に居てください。ノアお姉様とシアお姉様と三人で探索をします」と言ったらしい。そのときのマリナの顔が見たかったね。

ノアたちを見送ったわたしはお風呂の準備をするために四階に上がる。前回、フィナと来たときは、準備が遅くなって、湯船にお湯を張るのに時間がかかってしまった。だから、今回は早目に準備をする。

風呂場にやってくると。そこにはフィナとシュリの姿があった。

「お姉ちゃん。お湯だすよ」

「いいよ」

「二人とも、なにをやっているの?」

尋ねなくてもわかる。フィナは掃除道具を持ち、シュリがお湯を出している。二人はお風呂の準備をしてくれているみたいだ。でも、尋ねずにはいられなかった。わたしは二人にそんなことは頼んでいない。

「その、前回来たとき、お風呂が間に合わなかったから、先にやっておこうと思って。ユナお姉ちゃんに許可をもらおうとしたんだけど。お話しをしていたから、邪魔をしちゃ悪いって思って。だから、勝手に準備をしていました。ごめんなさい」

どうやら、フィナもわたしと同じことを考えていたみたいだ。

「別に謝らなくてもいいよ。わたしもそのつもりで来たんだし、ありがとうね。それで男の子風呂の方はまだ?」

「はい、こっちが終わったらやろうと思っていました」

「それじゃ、わたしも手伝うから、一緒にやろうか」

「はい!」

「わたしも手伝うよ~」

三人でお風呂の準備をする。

「そういえば、ティルミナさんとゲンツさんは?」

「お母さんは食事の手伝いをしようとしたんですが、アンズお姉ちゃんに食事はわたしたちがするからって断られたみたいです。それで、お父さんと一緒に庭に出て行きました」

ティルミナさんとゲンツさんの新婚旅行にもなるから、楽しんでほしいね。

二人には男子風呂の簡単な掃除を頼み、わたしはそれぞれの脱衣所にある棚に、タオルやドライヤーを用意しておく。

そして、フィナたちも掃除を終え、クマの石像の口からお湯が出て、浴槽にお湯を溜めていく。

これで、お湯が少ない状態でお風呂に入ることは無くなる。

風呂場から出ようとしたとき、誰かが風呂場に入ってくる。

「ここはお風呂場ですね」

「ノア?」

「ユナさん?」

入ってきたのはノア、シア、ミサの三人だった。なんでも、庭から一階の隅々まで探検して、4階のお風呂場までやってきたそうだ。

「言ってくれれば、わたしも手伝いましたのに」

貴族の女の子に風呂掃除って、似合わないような。

「そうね。連れてきてもらっているから、掃除ぐらい手伝いますよ」

「はい。わたしも手伝います」

ノアの言葉にシアもミサも頷く。

それなら、お客様扱いはしないで、明日は三人にも手伝ってもらうことにする。

そして、夕食前に掃除をしたフィナとシュリ、わたしたちが一番風呂を頂くことにする。あと、明日から風呂掃除を手伝うことになっているノアたちも一緒に入ることになった。

「ユナさん、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんは一緒に入らないのですか?」

キョロキョロと見渡すノア。

くまゆるとくまきゅうは部屋で寝ているから、ここにはいない。そのことを伝えると、残念そうにする。それに一緒に入ると、ノアたちがくまゆるとくまきゅうに構って、くまゆるとくまきゅうが落ち着いてお風呂に入ることもできない。それなら、部屋で休んでもらった方がくまゆるとくまきゅうのためになる。

わたしは湯船に入って、身体を伸ばして、1日の疲れを取る。

そして、夕食前には海に行っていたルリーナさんたちが戻ってくる。子供たちはちゃんと約束を守って戻ってきた。夕食のときには、海が広かったとか、しょっぱかったとか、海で見たことを話して、盛り上がった。それで、行っていない子供たちも行きたそうになっていた。

「明日はみんなで行こうね」

食事を終えると、子供たちを先にお風呂に入れる。監視役に男の子たちにはギルとゲンツさんに頼み。女の子は院長先生、リズさん、ニーフさんが一緒に入る。あとの者は適当に入ってもらう。

最後に各部屋の魔石の光を消すことを大人組に頼んで、わたしは先に休ませてもらう。わたしが「魔力を使って、疲れたから」と言うと全員、了承してくれた。

白クマのおかげで疲れていないけど、眠い。朝は早かったし、一人でクマバスを運転していた。だから、今にも睡魔に襲われそうだ。

わたしはベッドに丸くなって寝ているくまゆるとくまきゅうの間に倒れると、そのまま眠りに就く。