軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

198 クマさん、クマさんと遊ぼうイベントをする

クマさんと遊ぼうイベントの当日になった。命名はノアだ。やるなら名前が必要だと言うのでノアに決めてもらった。変な名前じゃなければ問題はないのでそれでいくことになった。

イベント会場は中央広場で行うことになっている。みんなの広場をいいのかと思ったが、グランさんの指示により、確保してあるそうだ。

くまゆるたちはグランさんのお屋敷から召喚して出発する。くまゆるにはわたしとフィナ。くまきゅうにはノアとミサが乗る。

そして、フィナたちの格好だが、お店のクマの制服を着ている。

「ユナさん、お店のクマさんの服はないですか?」

いきなり、ノアがそんなことを言い出す。

「制服? どうして」

「なんなら、みんなでクマさんの格好をしましょうよ」

「ノアールお姉さま。クマの制服ってなんですか?」

そういえば、ミサはわたしのお店の制服のことは知らないんだよね。

ノアがミサにわたしのお店のことを説明する。

「そんなお店があるんですか! わたしも行ってみたいです」

ミサが羨ましそうにノアの話を聞いている。

でも、制服ね。残念ながらノアたちが着れるサイズの制服は持っていない。

「フィナは持ってる?」

フィナはたまにお店を手伝ったりするので制服をもっているはず。

ただ、問題は今持っているかだ。

「はい。一応三着は持っています」

フィナはアイテム袋からお店のクマの制服を取り出す。

持っていた。しかも三着も。聞いておいてあれだけど、なぜに?

「これがクマさんの制服ですか?」

ミサがウルフの毛皮で作られたクマの制服を手に取る。

「でも、どうして三着も持っているの?」

「普通は予備で二着なんですが、たまにシュリも手伝うことがあったので、わたしがシュリの分を持っています。大きさなら大丈夫です。わたしと同じサイズです。シュリには大き過ぎましたけど」

それなら、サイズは大丈夫かな。三人ともあまり変わらないし。ミサが少し小さいぐらいだ。

そんなことがあって3人はお店のクマの制服を着ている。

そして、クマの格好をした4人がくまゆるたちに乗って会場となる広場に向かっている。

街の中を歩いていると、くまゆるたちが人を集め、さらにわたしたちの格好を見た人がさらに人を集める。そして、その騒ぎを聞き付けて人が集まってくる。

一応、グランさんがイベントすることを告知してくれたおかげなのか、大事にはなっていない。

「皆さん、見てますね」

まあ、クマが街の中を歩けば、注目もされるよね。まして、クマに乗っている人物もクマの格好をしているんだから。

目立つのは慣れたと思ったけど。まだ、人の視線には慣れないね。

やっぱり、注目されるのは少し気恥ずかしい。

それに引き換え、ノアとミサは愛想よく手を振っている。さすがと言うべきか、一般人のわたしとは違う。わたしの前に座っているフィナは少し恥ずかしそうにしている。

これが一般的な反応だよね。

会場となる広場に到着する。広場は少し円の形になっている。わたしたちは中心に移動してくまゆるたちから降りる。

集まってきたお客?はわたしたちを囲うように円になるように並ぶ。交通整理及び、人の整備はグランさんの警備兵が行う。紐が張られ、一応、即席の観客席が作り上げられる。

そんな警備兵に住民たちは素直に従う。よく見ると、会場整理をしている冒険者の中にマリナたちまでいる。わたしと目が合う。

「楽しみにしているよ」

と、一言だけ言葉をかけると警備の仕事に戻る。

住民たちの顔には不安、恐怖、期待、楽しみ、いろいろな表情が見える。

準備もでき、グランさんがみんなの前に出る。

「今、街で騒ぎになっているクマだが、孫娘の誕生日パーティーに呼ばれたクマだから安心してほしい。先日は急ぎの用があったため、あのようなことが起きたが、人を襲ったりはしない。今日はそのクマと娘たちが一緒にいろいろとするので見て行ってほしい」

グランさんは一礼をすると下がり、わたしたちと場所を変わる。

まずは簡単なところから始める。

フィナとくまゆるが前に出る。

「お手」

フィナが手を差し出すとくまゆるがその上に手を乗せる。

それだけで客席が騒ぎだす。

「次は回って」

くまゆるはクルッとその場を回る。

さらに騒ぎ、拍手が出る。

もしかして、これだけで十分なんじゃない?

そう思わすほど、客席の様子は良い方向に騒いでいる。

次にわたしは土魔法で軽い障害物を作る。

それに対してくまきゅうとノアが登場する。くまきゅうに乗ったノアは坂を越え、高台をジャンプなどで障害物を越える。ちなみに網は用意できなかったので、網くぐりはない。

うーん、間違いなくサーカスだね。

そして、くまきゅうが障害物を越える度に拍手が起こる。

拍手はフィナのときよりも大きくなる。一番大きく手を叩いていたのはエレローラさんだ。もしかして、親バカ? クリフも嬉しそうにしている姿がある。

学芸会で子供が芸をするのを見て喜んでいる親のようだ。

それからミサとくまゆるが行い、わたしの番になる。と言っても大したことをする予定はない。

くまゆるたちにキャッチボールをしてもらうだけだ。

土魔法でサッカーボールほどの大きさのボールを作り、くまゆるに渡してあげる。くまゆるは両手を使って下投げでくまきゅうに投げ渡す。それをくまきゅうが受け止めて同様に投げ返す。

それだけでも客席は騒ぐ。たまに高く上げたりして、キャッチボールにも変化を付ける。

住人の顔は恐怖心は無くなり、純粋に楽しんでいるように見える。

一番前に座っている子供たちも笑顔で拍手をして喜んでいる。

次に用意したのは火の輪くぐりではなく。水の輪くぐりだ。わたしが水魔法で水の輪を作り、それをくまゆるに乗ったフィナ。くまきゅうに乗ったノアが飛んだり、くぐったりする。

わたしは水の輪を不規則に並べる。そして、空中に浮かんだ水の輪に向けて輪をくぐるくまゆるとくまきゅう。その様子をミサが羨ましそうに見ている。

初めはフィナが二人に譲ろうとしたが、ノアは平等でないと駄目だと言い出し、くじ引きで決めることになった。それを提案したノアも優しいし、受け入れたミサも優しいと思う。

貴族の娘なんだから、平民のフィナに命令するだけでいい。でも、それをしない二人は本当にフィナのことを友達と思っているのだろう。

フィナとノアはしっかりとくまゆるとくまきゅうに掴まり、水の輪をくぐっていく。

濡れても大丈夫だが、二人とも濡れないように上手に水の輪をくぐり抜けていく。そして、最後に高い位置にある輪を高くジャンプでくぐり抜けて、綺麗に着地をする。

それと、同時に今日一番の拍手がでる。

さらにミサとくまゆるによる相撲みたいな組み合いが行われるが、くまゆるがわざと負けて見せる。

それからいろいろと行われ、最後の見せ場も終わる。

ここまででも十分にくまゆるたちが安全だと分かってもらえたと思うけど。だめ押しの作戦を行う。

「誰かこの子たちに乗ってみませんか?」

と客席に呼びかける真似をしながら、先頭に座っている子供を見る。

そして、二人の小さな男の子を指す。

「君たち、乗ってみない?」

男の子二人は顔を見合わせて小さく頷く。

周りにいる人たちは不安そうにするが、男の子たちは怖がらずにくまゆるたちに近付く。そして、くまゆるたちに触れて、二人はそれぞれにくまゆるとくまきゅうに乗る。

そして、何事もないようにくまゆるたちを乗り回し、障害物を越えたり、水の輪をくぐり抜けることまでやってみせる。

初めは不安そうに見ていた客席も、拍手などが起きるようになった。

ちなみに、男の子たち二人の正体は。先日、ガマガエルの家から助けだした男の子二人だ。前もってお願いしておいたのだ。いわゆる、サクラっていうやつだ。

そのサクラのおかげで、次の子供の指名もすんなり行き、くまゆるたちに近寄ってくれる。

あとはくまゆるたちを安心させるために戯れるイベントと化した。

そして、時間も過ぎたので、終わりを告げると、くまゆるたちと遊んでいる子供たちだけでなく、客席からも残念がる言葉が出る。ここまで残念がるとは思っていなかったけど。

ノアが、

「そんなイベントをしたら、絶対にクマさんから離れない子がいます。わたしが保証します!」

と言い切ったのだ。確かにノアの言うとおりにくまゆるたちから離れない子供がいる。

その対策として、くまゆるたちと遊んでくれた子供たちには優先的にプリンを配ることにしたのだ。一人が食べれば、その感想に他の子供たちも気になり、くまゆるたちから離れて気持ちはプリンへと移る。

プリンを貰った子は一人で食べたり、親と一緒に食べたりしている。美味しい物を食べると幸せになるのはどこの世界でも共通だね。

集まってくれた人たちの表情を見ればわたしの狂気事件も大丈夫かな?

街の中をくまゆるたちを連れて歩くことはないと思うけど。わたしが歩くたび、驚かれるのは困るからね。

そして、クマさんと遊ぼうイベントは大盛況のうちに終わることになった。