軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

置く場所を見る

その頃。

クラウスは、北部方面との元領境にいた。

領都から見れば——中間。

まだ冷たさの残る風。乾き切らぬ地。

広がる、北。

「……」

馬を止める。視線は、前。

街道から少し離れた場所。なだらかな起伏。遠景。

「……どうだ」

短く問う。

控えていた文官が周囲を見渡す。

「街道から、遠過ぎません」

一拍。

「緩やかですが——こちらが高い」

「前方は、窪地」

言葉通り。

なだらかに落ちる地。大きくはない。

だが——流れは寄る。

クラウスは黙って地を見た。

高低差。見通し。距離。

「……使うなら」

ぽつりと漏れる。

「……ここか」

文官も、小さく頷く。

悪くない。

隠せるし、置ける。しかも届く。

「……問題は」

クラウスが目を細める。

「敵が、入るかだな」

そこだった。

場所が良くとも——通らねば、意味が無い。

文官が静かに答える。

「北部旧領都は……中間付近」

「……ああ」

「敵の進路次第ですが」

一拍。

「街道から、大きく外れる可能性は低いかと」

理屈は通る。

補給の速度。大軍。

わざわざ、崩れた道を好む理由は少ない。

なら。

「……南下するなら」

クラウスの指が、地図をなぞる。

北。中央。その下。

「……この辺り、か」

「恐らくは」

小さく息を吐く。

「……少し戻るぞ」

「はっ」

馬を返す。

「その辺りに、軽い拠点を置く」

偽装村ほどではない。

大きくもない。

だが——

「……残す」

低く言う。

「例の物は、そこへ隠す」

「……!」

文官の顔が引き締まる。

「直ちに」

クラウスは振り返らない。

街道。高低。流れ。

敵がどう来るかは——まだ確定しない。

「……来てから考えるな」

ぽつりと漏れる。

「……来る前に、置け」

短く、静かに。

準備は——戦が始まる前に、終えておくものだった。