軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

下がった先

「レオン」

エドワルドは地図から顔を上げた。

「どれほど集まった」

「八割ほどです」

即答。

「残りも、二、三日中には」

「……そうか」

小さく頷く。

なら——動ける。

全軍ではないが、見るには足りる。

「少数でいい」

立ち上がる。

「配置予定地へ行くぞ」

「……偵察、ですな」

「ああ」

短い返答。

「頭の中だけでは、限界だ」

「……はっ」

半日後。予定地付近。

「……ここか」

馬を止める。

風が吹いている、開けた視界。

遠くまで伸びる地。

地図を開く。

「北へ向かう三本」

レオンが周囲を見ながら言う。

「その内の一番左ですな」

一致はする。

「……何も、無いな」

ぽつりと漏れる。

遮る物は無い。

森も、丘もどれも薄い。

「……これは」

レオンも言葉を失う。

「騎兵が来たら——終わるな」

エドワルドが低く言う。

真正面から速度と数で押し切られる。

「機動力任せになります」

「……ああ」

否定出来ない。

ここで受けるのは——不利。

風が抜ける。

「……なら」

レオンが口を開く。

「先程の川まで、下がりますか」

「……」

エドワルドは視線を細める。

川は確かに、あった。

だが——

「……浅い」

歩兵でも渡れる。

騎兵も、完全には止まらない。

「……無いよりは、マシ」

それが現実。地図を見る。

線。高低。流れ。

考える。

ここの川と距離。

完全な防御地点ではない。

だが——

「……待て」

ふと、足元を見る。

僅か。本当に、僅か。

「……下っているのか?」

北へ向かって。緩やかに。

つまり——押し下ろされる形になる。

「……先程の川まで戻るぞ」

短く言う。

「……はい」

即答。

馬を返す。ここではない。

少なくとも——今は。

川そのものではない。その“手前”と“傾斜”。

少しでも削れる形を整える余地を。

完璧な地形など、無い。

なら——

「……少しでもマシな場所を選ぶ」

ぽつりと漏れる。

戦は、理想ではない。

今ある地で——少しでも、死ににくい場所を探すだけだ。