作品タイトル不明
偏りと選択
「始め!」
号令と共に、八つの小隊が一斉に動き出した。
エドワルドは腕を組み、その様子を見つめる。
……大分、偏った編成だな。ぽつりと呟く。
騎兵に寄った隊。槍に偏った隊。
実際にはそれが現実だ。
「……早いな」
動き出しは、速い。
各隊、自分の陣へと到達している。
「さて——どう動く」
視線を走らせる。
白紙を引いた二隊。
「慎重だな」
小さく呟く。
「情報が無いなら——まず探る」
偵察を出す。それでいい。だが——どうしても出遅れる。
ぽつりと漏らす。
「……」
敵陣二箇所を引いた一隊。
……騎兵に偏り過ぎだな。視線が止まる。
しかも、場所が林か。わずかに笑う。
「運が悪い」
木々の間では速度は出ない。その為、機動力は殺される。
進むが、遅い。
「……止まるな」
小さく呟く。
「……」
別の一隊。
「接敵で味方化、か」
視線が細くなる。騎兵は無し……槍が多い。
「……なるほどな」
足を止める。
無理に攻めない。引き込むつもりか。
戦い方が、違う。
エドワルドは全体を見る。
編成の偏り、地形との不一致、情報の差。
一つ一つ、噛み合っていない。
「……それが戦場だ」
静かに言う。どの隊も、同じ条件ではない。
「だからこそ——」
一歩、前に出る。
「どう使うか、だ」
どの小隊長も、迷っている。
「さあ」
小さく笑う。
「どう動く」
一拍。
「どう選ぶ」
風が吹く。まだ、均衡は崩れていない。
「もうすぐだな」
ぽつりと呟く。
「崩れる」
その言葉だけが——静かに、響いた。