軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

前提を壊す

エドワルドは腕を組み、訓練を眺めていた。

長槍の動き。

まだ粗いが——形にはなりつつある。このまま訓練を続ければものになるだろう。

ふと、思い出す。飛べなくすればいい。

あの農夫の言葉。小さく息を吐く。

「単純だが……本質だな」

ぽつりと呟く。

「エドワルド様?」

レオンが顔を上げる。

「どうしました」

「……敵は、何が強い」

唐突な問い。

「……は?」

「考えてみてくれ」

短く言う。

「何が、脅威だ」

「……」

レオンは少し考え、

「機動力……ですか」

と答える。

「騎兵の突撃、速度……」

「ああ」

エドワルドは頷く。

「速いから、強い」

一拍。

「なら——」

視線が細くなる。

「遅くすればいい」

「……?」

レオンが眉をひそめる。

「どういう意味ですか」

「そのままだ」

淡々と答える。

「動けなくすればいい」

空気が一瞬、止まる。

「戦う必要はない」

エドワルドは続ける。

「強みを使わせなければ、それで終わる」

「……」

レオンは言葉を失う。

「……では、どうやって」

「地形だったり……」

即答だった。

「足場を悪くしたり……ぬかるみ、障害物。速度を殺す。兄上は、障害物を使っていたな」

止まれば——ただの的だ。

静かに言い切る。

長槍を見る。

「そして、近づけさせない」

「……なるほど」

レオンが小さく頷く。

長槍と組み合わせ。

「ああ」

エドワルドは答える。

「届かせる前に、止める」

沈黙。

「……出来ますか」

レオンが問う。

「……さあな」

エドワルドは小さく笑う。

「だが——」

視線が鋭くなる。試す価値はある。

一歩、前に出る。

「準備しろ」

短く言う。

「地形を作る。戦場は平地だけでは無い」

「はっ!」

レオンが走り出す。

「……」

エドワルドは空を見上げる。

「飛べなくすれば、逃げない」

ぽつりと呟く。

「……なら」

目を細める。

走れなくすれば、攻められない。

その言葉だけが——静かに、響いた。