作品タイトル不明
流れを読む者
北部方面元領都。
「……報告です。隣国、王都から見て南東方面にて。各村、街で体調不良者が増加。それに伴い、死亡者も増えている模様です」
父は何も言わず、最後まで聞いた。
「村ごとに発生しておりますが位置に規則性は見られません」
一拍。
「……そうか」
静かに口を開く。
「かなり広がっているな」
「はい」
「……」
父は地図へ視線を落とす。
「……この辺りは」
指でなぞる。
「薪の自給が出来る地域だな」
「はい。基本的に外からの購入は不要かと」
「……だろうな」
小さく頷く。
「……念の為だ」
顔を上げる。
「この地域での、商人からの薪の購入を禁止しろ」
「……!」
文官が一瞬、目を見開く。
「不足が出た場合は、即座に報告させろ」
「……承知しました」
「各村へ通達致します」
「頼む」
文官が下がり扉が閉まる。
「……」
静寂。
「……これで」
父は小さく呟く。
「こちらに流れ込む事は無い」
「だが」
わずかに目を細める。
「完全には止められん。だからこそ、抑える」
低く言う。
「……クラウスめ」
ぽつりと漏らす。
「事前に一言あればもう少し、綺麗に制御出来たものを」
小さく息を吐くが、口元がわずかに緩む。
……やり方は、見事だ。金まで取って自ら運ばせ、ばら撒かせる。気付かぬまま、自分の首を絞めるか……悪くない。
低く笑う……だが、その目が静かに鋭くなる。
好きにさせるつもりも無い。
ここからは——ゆっくりと続ける。
「こちらの盤面だ」