軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

足りない一手

クラウスは机に広げた地図を見下ろしていた。

遅滞戦術。籠城。時間を稼ぎ、敵の補給線が伸びた所を叩く。理に適っている。

だが——

「……」

足りない。王都からの援軍。それが前提の戦術。今は無い。

北部は開けている。守りにくい。

攻められやすい。だからこそ、遅らせる。

籠もる。それしかない。

だが、決め手が無い。兵力はエドワルドの所は、約二千。

増えてはいるが、だが足りない。

ほとんどが徒歩なので、機動力に欠ける。

守り寄りの編成。

軍馬。あれば違うが、時間が無い。

育たない。間に合わない。

結局。現実は変わらない。

クラウスは小さく息を吐く。もっと、敵を弱らせたい。その一言に尽きる。

薪。

既に流している。効果は出ている。

だが——限界がある。これ以上は、自領に影響が出る。

沈黙。指が机を叩く。トン。トン。トン。

思考が巡り、線が引かれる。

消える。繋がらない。

その時ぽつりと、落ちる。

「……量ではないか」

空気がわずかに動く。

だが——まだ形にならない。

視線は一点に固定される。地図の上。何かを見ている。言葉にならない。

首を振る。否定。まだ足りない。

だが。確かに方向だけは見えた。

「……」

わずかに、口元が歪む。

「……準備だけ進めろ」

短い指示。内容は言わない。

まだ、言えない。

必要なのは。“次”。それだけだった。

再び静寂。まだ足りない。だが——確実に、一歩は進んでいた。