軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

届きかけた推測

エドワルドはゆっくりと領都を歩き、周囲を見渡していた。一通り、見終わる。

市場には、人の流れはある。

だが——少ない。

去年と比べれば、明らかに閑散としている。

不作。

その影響は、確実に出ている。それでも、人はいる。完全に止まってはいない。

それだけで、まだ持ち堪えていると言えた。

その時に、耳に入る声。

隣国での突然死。村の消滅に、流行病。

エドワルドの足が止まる。

流行病。隣国で……違和感が走る。

振り返ると商人達。

情報源としては、十分だ。

「……」

短く問いかける。

発生場所に、範囲と共通点。

返ってくるのは、曖昧な答え。

場所はバラバラで、距離も離れている。

一カ所から広がる様子ではない。

思考が一段、深くなる。

水。井戸。川。共通点は無い。

人の移動に、接点。それも無い。

沈黙。

情報は、揃っている。だが——形にならない。

「……そうか」

それだけを残し、離れる。

銀貨が一枚、手を離れ商人へ。

歩きながら、考える。離れた場所で同時発生。

「……流行病では無い」

仮説が一つ、消える。

では何か。人の移動。否定。同時性が合わない。

思考が巡るが、繋がらない。

その時、視界に入る。荷馬車の列。

積まれた荷に、刻まれた紋章。

隣国の商人。

目が細くなる。

戦時中だが、戦が無ければ往来はある。

物資は動く。

「……薪か」

積まれているのは、それだった。

一瞬、納得する。不足で補填。

それだけの話。

だが、足が止まる。

「……待て」

視線が鋭くなる。薪。それもまた——資源。

軍事にも関わる。

そして思考が、もう一段進む。

「……兄上は」

ゆっくりと、言葉にする。

知らないはずがない。その価値も、意味も。

沈黙。

あと一歩。だが——届かない。

何かが引っかかるが、繋がらない。

エドワルドは、荷馬車を見つめたまま動かなかった。思考だけが、静かに巡っていた。