軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

実戦でしか分からない

「……」

クラウスの前に、数種類の連射式クロスボウが並んでいた。

形状も機構も、わずかに違う。

試射の結果は、明確だった。

連射を優先すれば、射程と威力が落ちる。

威力を取れば、連射が落ちる。

いずれも単発式よりは早い。

だが——決め手に欠ける。

クラウスは指で机を叩く。

乾いた音が、短く響く。

量産するなら、一つに絞る必要がある。

「……」

視線を上げる。結論は出ない。

ならば——

「……現場で決めるか」

それだけだった。

小雨の中。一行は、国境線へと到達していた。

足元はぬかるみ、視界も悪い。

空気は重く、条件は最悪に近い。

だが、それでいい。むしろ——それがいい。

整った環境では、意味がない。

実際に使うのは、こういう場所だ。

「……」

試作品は全員が装備している。

クラウスは前を見据えたまま、短く指示を出す。

試射。それだけでいい。構える。

だが——動かない。弦が引けない。

雨水を吸い、抵抗が増している。

別の個体。今度は装填で止まる。

矢が詰まり、機構が動かない。

泥が入り込み、噛んでいる。

「……」

クラウスは何も言わない。

ただ、見ている。

記録する様に、残った一つ。

問題なく動く。矢が放たれる。

続けて、もう一射。

音は雨に消える。

敵国境守備兵が倒れたかどうかも、分かりにくい。

だが——撃てている。

それだけで十分だった。

カートリッジ交換。そこで、また止まる。

滑る。外れない。噛む。

手が止まる。

「……」

クラウスは一歩、前に出る。

試作品を手に取る。動かし確認する。

そして——理解する。

「……これだ」

短く、決める。残った一つ。

それだけが、条件の中で動いた。

他は——動かなかった。それで十分だった。

振り返る。指示は簡潔。生産開始。

そして——原因の洗い出し。

雨か。構造か。材料か。

一つずつ潰す。それだけ。引き返す。

雨は止まない。だが、選別は終わっている。

「……」

後ろで誰かが小さく呟く。

本当にやるのか、と。

クラウスは振り返らない。

「戦場で使えん物に価値は無い」

ただ、それだけを落とす。

その言葉は冷たい。

だが——あまりにも、正しかった。