軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

取り残された流れ

「ほぅ……ここか」

シュトライヒは周囲を見回した。

「確かに、若干寂れ始めているな」

建物はある。人もいるが——活気が薄い。

どこか“通り過ぎられる場所”になっている。

「その様な雰囲気ですな」

護衛役も同じ印象を抱いた様だった。

「恐らく対岸も似た様なものかと」

「ああ」

シュトライヒは頷く。

「まずは向こう岸に渡るとするか」

「解りました」

一行は渡し場へと足を向けた。

大橋が出来たとはいえ、まだこの船は動いている。

完全に消えた訳ではないが主流ではない。

「……大きな船だな」

水面に浮かぶ船を見て、シュトライヒが呟く。

「ですね」

護衛役も目を細める。

「人も荷も、そこそこ運べますな」

「良い風だ」

川面を渡る風が、帆を揺らしている。

その時だった。

「あんたら、初めてか?ここ通るの」

船頭が気さくに声を掛けてきた。

「ああ、そうだ」

シュトライヒは軽く応じる。

「中々良いだろ?」

「そうだな」

周囲を見回す。

川幅は広い。流れも速い。

橋とは違う、“ゆっくりした移動”だ。

「対岸に宿場はあるか?」

シュトライヒが何気なく聞く。

「ああ、まだあるぜ!」

船頭は笑いながら答えた。

「昔はもっとあったんだがなぁ。何せ、あの橋が出来ちまってからよ」

肩をすくめる。

「客を橋に取られたって訳か」

「まあ、そういうこった」

船頭は苦笑した。

「だから今はよ、観光地ってやつにしようと必死なのさ」

「観光、か」

「景色はいいしな。昔の名残もある。まあ……橋には敵わねぇけどな」

「成る程な」

シュトライヒは小さく頷いた。

流れが変われば、全てが変わる。

残る者は、形を変えるしかない。

「ほら、もうすぐ着くぞ」

船頭が声を張る。

「降りる準備しな!」

「はいよ」

軽く手を上げて応じる。

船が岸へと寄る。

板が渡され、乗客が降りていく。

シュトライヒ達もそれに続いた。

「……中々、こじんまりした村だな」

足を踏み入れ、周囲を見回す。

人はいるが、こちらも密度は低い。

どこか余裕のある空間。

「宿を取りますか」

護衛役が言う。

「ああ」

シュトライヒは頷いた。

「拠点は必要だ」

長居するかどうかは別として。

「おう!そうしてくれ!」

近くにいた男が声を掛けてきた。

「泊まっていってくれりゃ助かる!」

「……そうか」

シュトライヒは軽く笑う。

「それとよ」

男が続ける。

「観光地がどこかも聞いてくれや案内する連中もいるからよ!」

「観光地、か」

シュトライヒはわずかに目を細めた。

「分かった。聞いてみよう」

軽く答えるがその視線は——

既に別のものを見ていた。

流れから外れた場所。

人の少ない場所。

そして——変えられた場所。

「……面白いな」

小さく呟く。

ここもまた、“使える場所”だった。