軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第199話 休みの日

俺とゾフィーは昼間は仕事をし、夜にこっそり残業をするという作業を続けていき、休みの日になった。

ちょっと遅めに起きた俺はいつものようにエーリカの家に行き、朝食をご馳走になる。

「アデーレは?」

この場にはすでに朝食を食べ終えてコーヒーを飲んでいるエーリカと一緒に朝食を食べているレオノーラしかいない。

「もう食べられて、部屋に戻られましたよ。ヴァイオリンの練習をするそうです」

そういうことね……

「ヘレン、レオノーラ、実際のところ、アデーレって下手なのか?」

アデーレのヴァイオリンを聴いているのはこの2人だけだ。

「お上手でしたよ」

「うん、上手。それに姿勢も良いし、絵になるね」

ふーん……

「じゃあ、聴かせろよ。相変わらず、気にしいな奴だな」

「昔からそうだね。変なところで自信がない。急にネガティブになりだすんだよ」

「奥ゆかしい方なんですよー」

ふーん……

「まあ、気長に待つか」

「私も早く聴きたいですけどそうしましょう」

あいつも若干、完璧主義者なところがあるし、仕方がないだろう。

「ジーク君、ゾフィーは?」

レオノーラが聞いてくる。

「寝てる。あいつはお子様だから休みの日は昼まで寝てるんだ」

まあ、遅くまで仕事をしていたせいでもある。

「そっかー。ジーク君、暇ー? デートしようよー」

「そうだな。買い物デートをしよう」

ちょうどいいのを捕まえたぞ。

「買い物? 何買うの?」

「電話。さすがに迷惑をかけすぎたわ」

すまん、すまん。

「あー、電話かー。一門の人や本部長からかかってくるもんね」

「ああ。しかも、あいつら、常識がないから夜遅くにかけてきやがる」

まったく……

「まあ、本部は激務だし、仕方がない気もするよ」

「かもな。レオノーラは電話を売ってるところを知ってるか?」

「うん。ウチの電話はこっちで買ったしね」

「じゃあ、案内を頼むわ」

俺達が予定を決めていると、呼び鈴が鳴った。

「客か?」

「どうでしょう?」

エーリカが立ち上がり、玄関の方に向かうと、扉を開ける。

すると、そこには髪の毛が跳ね、眠そうな顔をしているゾフィーが立っていた。

「おはよー……」

「おはようございます。ジークさんが昼まで起きてこないって言ってましたけど、起きられたんですね」

「自分のベッドじゃないから起きちゃった……まあ、ベッドですらないけど」

ゾフィーは部屋に上がると、席につく。

すると、エーリカがスープとパンをゾフィーの前に置いた。

「どうぞー」

「ありがとう。あんたはできる女すぎてすごいわ」

ホントね。

それだけ徳を積めばきっと来世はお姫様に生まれると思う。

ソースは前世でもロクな生き方をしてこなかった俺が今世でも極貧で孤児だったところ。

「そんなことないですよー。それよりもゾフィーさんは今日、どうされるんです?」

「勉強かなー……あ、いや、せっかく遠方まで来たしな……ジーク、ちょっと町を案内してよ。この前はロクに町も見られなかったから見てみたい」

徳を積むか……

「いいぞ。ちょうどレオノーラと出かけるところだったし」

「デートだね」

「え……デートなら遠慮するけど」

「ただの買い物だ。レオノーラはデートって言いたいだけ」

釣りはともかく、おつかいでもデートって言うし。

「男女が一緒に出かければそれはデートだよー」

「はいはい。ゾフィー、ゆっくりでいいからなー」

「ホント、あんた達ってファミリー感が強いわね」

強いかねー?

俺はそれを判断できるほどの人間関係を築いたことがないからわからない。

「ウチはどうだったんだ?」

「ファミリーだったんじゃない? あんたとマリーと私以外は」

「テレーゼとクヌートも微妙だろ」

テレーゼは気が弱いうえに貴族が苦手。

クヌートはうるさくて女にちょっかいをかける。

「そう考えると、クリス以外はロクなのがいないわね……」

あいつはまともだが、使い魔のドロテーがなー……

「クリスが次の本部長は自分だって思うのも無理ないな」

「そうかもね……よし、御馳走さま。準備してくるわ」

ゾフィーは立ち上がり、そそくさと部屋を出ていった。

「ジークさん達も十分、ファミリー感が強いですよ」

「うん。ハイデマリーさんやテレーゼさん、それにクリスさんもだけど、兄弟姉妹にしか見えないね」

そうかー?

「仲良くないぞ?」

「兄弟姉妹はそんな感じですよ」

「だね」

ふーん……

「じゃあ、お前らは姉妹か?」

誰が姉弟子で誰が妹弟子だ?

「奥さんだよー。あと旦那様」

「お前だけバグってんな」

そのままエーリカが淹れてくれたコーヒーを飲みながら待っていると、準備を終えたゾフィーが戻ってくる。

「エーリカ、お前はどうする?」

「私は掃除とかありますし、午後からアデーレさんと料理をするんで遠慮しておきます」

アデーレは頑張るなー。

「わかった。じゃあ、行ってくるわ」

「お気をつけてー」

俺達はエーリカの部屋を出ると、レオノーラの案内で町を巡っていく。

仕事以外ではあまり出歩かないため、俺も初めて見るような場所もあって楽しかった。

それにやはり海を見ると、どこか懐かしく感じる。

前世も海になんて行くことはほとんどなかったが、やはり島国出身だと郷愁を感じるものなのかもしれない。