軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第127話 奈落ダンジョン百層

野営地にて羽毛の寝袋に 包(くる) まり、ぐっすり眠ったルクスたちは、九十一層から九十九層のスノウゴーレムたちを蹴散らしてレベリングし、平均レベルが百五十くらいになったところで、百層のボスに挑むことにした。

百層のボス部屋の重厚な両開きの扉を開け、ルクスたち黄金の導は中に入った。

扉が閉まり、壁に設置された複数のランプに黒っぽい紫の火が宿っていく。

黒紫の光に照らされた部屋の中央には、堂々たる威容を誇る角の生えた巨大な黒熊がいた。

ぐぉおおお!とルクスたちを威嚇するように大きな声を上げる黒熊。

ルクスは黒熊が動き出す前に鑑定した。

【 怠惰の魔王(ベルフェゴール) 】

最下層のダンジョンボス。邪神の眷属にして、七つの大罪の一つ【怠惰】を持つ魔王の分身。

詳細はこちら→

ルクスは鑑定結果に目を丸くした。

(ゲームでは奈落ダンジョンのボスはブラッディベアーキングだった筈……やっぱりゲームとは違うんだな)

ルクスは詳細を確認した。

【 怠惰の魔王(ベルフェゴール) (分身)】

種族:邪熊

性別:雄

年齢:???

レベル:130

???

ルクスは仲間たちに情報を共有する。

「相手は怠惰の魔王、ベルフェゴールだよ。俺たちより二十くらいはレベルが下だけど、油断しないでね」

「おう!」

「りょうかーい」

「分かった!」

「はい!」

「戦闘開始だよ!」

ラエティティアが歌い、小妖精二人と従魔三体のバフがルクスとアラン、クラーラを包んだ。

後衛陣を守るためにバートは水壁を展開した。

アランが挑発と不動の盾を発動して、黒熊のターゲットとなる。黒熊は挑発により、アランの盾目掛けて体当たりした。

不動の盾を発動しているにも関わらず、アランの身体は衝撃によって、少し後退した。

「ちっ!」

舌打ちしつつ、アランは黒熊を睨みつけた。

「【剛力】」

アランが二次職である重騎士になってから追加されたスキルだ。一定時間、筋力が三倍になる効果がある。

剛力によって、黒熊の巨体が大盾に突進してきても、後退することはなくなった。

「クラーラ!」

「任せて!【必中】!」

クラーラは黒熊の首、目掛けてオリハルコンの短剣を投げた。

必中はクラーラが二次職、暗殺者になってから追加されたスキルで、急所に必ず当たるスキルだ。

黒熊の急所である首にオリハルコンの短剣は刺さったが、半ばまでしか刺さらず、黒熊が首を振ると短剣は落ちてしまった。

黒熊の首から殆ど血が出ていないので、硬い皮膚や脂肪によって防がれてしまったようだ。

「なっ!……ルクス!任せた!」

「了解!クラーラさん!【魔法剣】!」

ルクスは走り、黒熊の背後に回って、魔法剣という剣豪スキルで、火属性魔法を剣に纏わせ、斬り下ろした。

ぐぉおおおお!という悲痛な鳴き声と共に、黒熊は倒れた。

黒熊の生命力は強く、深手を負っているのに、息があった。

「えっと、ベルフェゴール。君を従魔にするよ。【テイム】」

黒熊は光り輝いた。

[【 怠惰の魔王(ベルフェゴール) 】が邪神の眷属ではなくなりました]

[神熊(幼体)を従魔にしました]

[【奈落ダンジョン】を攻略しました。報酬として、【黒陽剣】を贈ります]

[神々が貴方に歓声を送っています]

光が収まると、そこには、小さく真っ白な可愛らしい熊がいた。

「!!可愛い」

クラーラが真っ先に幼い白熊を抱き上げた。

「まあ!本当に可愛らしいですね、クラーラちゃん」

「うん、そうだね、ラエティティアちゃん」

きゃっきゃうふふ、と女子たちが楽しく会話している間にいる幼い白熊は困惑しているようだった。

「えっと、ティア、クラーラさん……そろそろ、その子に説明したいんだけど……」

「あ、そうだよね」

「まあ、そうでしたね……」

二人は名残惜しそうだ。

「あの、抱っこしたままで良いよ」

ぱああ、という効果音が聞こえそうなくらい輝くほどの笑みを浮かべた二人。クラーラは幼い白熊を抱っこしたまま、ラエティティアは撫で撫でしたまま、ルクスの話に耳を傾けることとした。

ルクスは苦笑しつつ、幼い白熊に現状を伝えた。

「そうなんだ、邪神の眷属ではなくなったのだね……うん、結構良い気分だから、ありがとう」

「どういたしまして。じゃあ、名前を付けてもいいかな?」

「うん、勿論」

「君は目が黒いから、オニキスはどうかな?黒い宝石の名前なんだ」

「良いよ。気に入った」

幼い白熊──オニキスの身体が一瞬淡い光を帯びたが、すぐに消えた。

ルクスが鑑定すると、名前がオニキスに変わっていた。

「これから、よろしくね、オニキス」

「うん、よろしく、えっと……」

「俺はルクスだよ」

ルクスは右手をオニキスの前に差し出した。

「ありがとう、よろしく、ルクス」

女子たちにちやほやされつつ、オニキスは片手を上げルクスの右手に置いた。

ルクスはオニキスの片手を軽く握って、握手した。