作品タイトル不明
レベルアップと、未練と、クッズ販売
残り時間、ワイルドボアを着実に倒していくと、早くもレベルアップした。
『――影山 光のLVが7へ上昇しました。HP+9 MP+5 攻撃+3 防御+4 魔力+3 精神+4 俊敏+9』
影山 光 LV6→7
HP 54→63
MP 17→22
攻撃 10→13
防御 14→18
魔力 11→14
精神 13→16
俊敏 44→53
『おめ!』
『上昇値2が無くなっている! 3以上だ!』
『相変わらず俊敏すげぇな』
『レベルアップが早いね』
『当たり前のようにソロで格上狩りだからなぁ』
「ありがとうございます。今日はそろそろ引き上げようと思います。ブラックバードの時は、退屈にさせて申し訳ない」
『え。そんな謝ることじゃ』
『変なコメは気にするな』
『二キ真面目やな』
『コメントで精神病む人もいるから、無理しないでね』
そんなやり取りがありつつ、ダンジョンの出口付近で配信を切る。
その後で、ドローン越しに朝日へ向けて軽く質問した。
「あの。朝日ちゃん」
「なぁに? はっ! ま、まさか反省会!?」
「いや、そんなことしないけど……」
(ああでも、アーカイブ見返して、戦闘の反省は1人でしている)
「ネオファンの人達、みんなやっているみたいだよ? あの時こういうリアクションすればよかった……とか!」
「そっち……? って、そうじゃなくて。朝日ちゃんって、冒険者再開しないのか?」
「……え?」
「配信始めた頃とか、有名になりたいって、それが夢だって言っていたじゃないか。ネオ・ファンタジアと繋がりもてたし、今なら伸びやすいはず」
「その、私、才能ないから……」
「そんなことないと思う。朝日ちゃんなら輝ける」
むしろ才能の塊。
みんなに推される、眩しい朝日を見たいと、影山は思った。
「……それでも、この道を選んだから」
「本当にこれでいいの?」
「い、いいから。ほら、早くダンジョン出ないと、怒られちゃうよ」
「……わかった」
影山は機材を収納へ片づけ、ダンジョンを出た。
モニターの前で、朝日は切なさで涙がにじんでいたが、ダンジョンにいる影山にそんな姿は見えなかった。
☆
アパートへ帰ってからPCを立ち上げ、メールを確認する。
ネオ・ファンタジアから書類の確認依頼が来ていた。
『お世話になります。この度、壁破壊二キのグッズ販売が――』
「嫌です」
イラストの方の壁破壊二キのぬいぐるみ販売であったが、それでも恥ずかしい。
まるで自分の分身が、バラまかれるかのような感覚。
生き恥である。
影山はすぐさま、橘へ電話した。
「す、すいません。影山さんの性格的に、恥ずかしいですよね……取り下げるように、返事を伝えておきますので、はい。申し訳ございません」
これを許してしまったら、さらに次を要求してきそうなので、グッズ販売すらも許さない方針でいく。
「あっ。ところで、橘さん。お願いがあるんですけど」
「はい。なんでしょう」
「朝日ちゃんって、探索者としてネオ・ファンタジアと専属契約できないんですか?」
朝日のグッズなら、いくらでも買いたいと思う影山であった。