作品タイトル不明
二キ様、最後にウインクして♥
『本当に低レべ冒険者か?』
『ソロでこんなあっさりワイルドボア倒すとは……』
『さらに動きが良くなっている』
『ショットガン!?』
『透視以外でも高火力が出る手段を得たか』
朝日がすかさず、視聴者向けへ解説した。
「マガジンによって特性が変わる仕組みです。ベーシックマガジン、狙撃特化のスナイパーマガジン、近距離で威力を発揮するショットガンマガジン、目くらましのスモークマガジンです」
『ほえー』
『マルチな性能だな。さすがネオファン』
『オリハルコンじゃなくても高そう』
影山はじっとウォールブレイカーを見た。
使いやすいし、ショットガンマガジンの威力はかなりのものだ。
しかし実践だからこそ、わかることがあった。
(今の俺じゃ、オリハルコンの力を引き出せていない)
漠然とした手応えだが、不思議とそれを確信していた。
(俺のレベルがまだ低いせいか……戦い方も、未熟だしな。釣り合っていないんだろう)
『どうした?』
『ぼーっとしている』
「反省会をしていました」
『ストイックだなぁ』
『二キくん、今日もかっこいい♥』
『無理しないでね♥』
「あ、はい……次の敵を狙います」
影山はレベルアップでさらに上昇した俊敏の速度で、ダンジョンを駆ける。
新たな装備はより動きやすく、体力の減少も抑えられていた。
体がいつもより軽く感じる。
戦えば戦うほど、装備のクオリティが一気に高まったことを実感した。
快適さが段違いだ。
そしてワイルドボアをさらに1体、2体、3体と、テンポよく狩っていく。
ダンジョンのランクがDへ上がったというのに、Eランクの時よりもハイペースだ。
『すげぇ……』
『ソロとは思えん』
『待った。何者なの、この人』
『ネオファンが新人獲って、最初は「は?」ってなったけど、これは納得』
『透視スキル強いな』
『ワイルドボアがドンドン倒れていく……』
休憩を入れつつ、17時を回った時には100体以上のワイルドボアを狩った。
「今日はこれで切り上げます」
『おつ!』
『初配信おつかれさま!』
「まあ、企業勢でも、やることはそんなに変わらな……え、同接17231!?」
ものすごい数である。
スタート時から、一気に7000人も増加したのだ。
(こ、これがネオファンパワーか……)
「二キさんがサクサクワイルドボアを倒すからね~」
『またね!』
『オペレーターさんもお疲れさま!』
『二キ様、最後にウインクして♥ 2300円』
「っ!?!?!?」
『草』
『まさかのファンサ要求』
『スパチャ読もうか、壁破壊二キ(ゲス顔)』
『女さん、陰キャに無茶ぶりしてて草』
(そ、そんな、需要ないだろ……というか、冒険者ってこういうことする仕事なのか!?)
しかしスパチャを無視するわけにはいかない。
影山は顔を真っ赤にしながら……片目をパチンと閉じた。
だいぶ不格好なウインクであったが、べつにそれでもいいようで、女性ファンが湧いた。
『きゃああああ♥』
『二キくん、ありがとう 3600円』
『ウインク可愛いかったよ 5000円』
『二キくんを推します 1100円』
『大好き♥ 10000円』
「……ありがとうございます。でももう、ウインクはしません」
本気で恥ずかしかった影山は、最後にそう言って配信を終えた。