作品タイトル不明
第十四話
「王国はおしゃれですね~……少なくとも、私が行かされるような場所とは違います! それで、次のジークさんはどこに連れて行ってくれるんですか?」
エリカの案内した場所は俺も時々行くところだけど、間違ってもクレアのようにがっつりと食事をするようなところではなかったはずだ。
確かにメニューの中に、サンドイッチやパンケーキのような軽食は存在しているが、これまでクレアのようにそれらを片っ端から注文して全メニューを制覇した奴はいなかったと思う。
ちなみに、俺たちもそれぞれ軽食を注文したので、おっさんは少し顔を青ざめさせている。
「次は少し予定を変更して、ディンドランさんのおすすめのところに行くことにするぞ」
「私の? 別にいいけど……」
おっさんの青い顔を見て行き先を思いついたので、打ち合わせなしだが順番を変更させてもらうことにした。
そうしてディンドランさんが俺たちを案内したのは、
「……がっつり食事をするところだな」
「それも、食欲旺盛な人向けのね……」
王都の一部界隈で絶大な人気を誇っているという、デカ盛りで有名な食事処だった。
「安い、美味い、早い、デカすぎるで有名だな」
「最近足が遠のいていたけれど、学生の時から通っている店よ」
俺やエリカが学園に行っている時に知ったくらいの店だから、その先輩である二人も当然のように知っている。
まあ、俺はともかくとしてエリカには少し多過ぎるくらいの量が出てくる店だが、ディンドランさんとガウェインには余裕だろうし、クレアも満足できるだろう……ただし、先程の食事がなければの話にはなるだろうが。
「ジーク、流石にここは後に回した方がよくないかしら? 最初のクレアの予定通り、ジークの考えているところに行って時間を稼いだ方がいいと思うのだけど」
「俺もそうしたいところだけど、俺の奴は最後じゃないといけないんだよな……」
先に連れて行ってしまうと予定が崩れてしまうそうなので、俺のところが最後と言うのは変えたくない。
だから、ここはディンドランさんに場所を変えてもらうか、少しその辺りを散策でもするしかないか……と考えていると、
「おいしそうな匂いですね~……早く入りましょう!」
クレアはまだまだ腹に余裕があるようで、俺たちを急かしてきた。
「マジか……まあ、クレアがいいならいいけど」
確かここは食べきれなかった分は持ち帰ることが出来たはずなので、残った分は今日の夜食にでも回すか……などと、店に入る前は考えていたが結果的に、
「はぁ~……満足です!」
クレアは残すどころか、エリカが食べきれなかった分に加え、それだけでも足りないとか言って追加注文までしていた。
なお、クレアに触発されでもしたのか、ディンドランさんとガウェインまで追加注文をしてしまい、おっさんはさらに顔を青くしていた。
もしかすると、そろそろ手持ちの底が見えているのかもしれない。
「さてジークさん、次はいよいよあなたの番ですよ!」
偉そうにしてるクレアのそばで、おっさんはひどく青ざめた顔で俺を見ている。
俺が連れて行く場所次第で、おっさんの 金(ライフ) がゼロになるかギリ残るかの瀬戸際だからだろう。
「その前に聞いておくが、クレアは聖女であると同時に、聖国のシスターでもあるんだよな?」
「そうですね。一応そうなっているはずです。まあ、掃除なんかより、お祈りさせられることの方が多いですけど」
下働きをせずに、聖女としての仕事ばかりをやらされているということか。
だが、シスターとしての自覚が少しでもあるのなら、次の目的地はクレアにぴったりの場所だ。
「よし、分かった。ついてこい!」
「はい! ジークさんの本気を見せてもらいますよ!」
何故かエラそうなクレアだったが、気にせずに目的地へと向かうと、
「ジークさん……本当にここがおすすめの場所なんですか?」
クレアはその場所を見つめながら、がっかりとした様子で俺に確認してきた。
「ああ、ここが俺のおすすめの場所で間違いない。天聖教のシスターであるクレアにはぴったりの場所だろ?」
俺が目指した場所、それは王都でヴァレンシュタイン家が度々お世話になっているシスターマルゲリータのいる 教(・) 会(・) だ。
クレアは不満そうだが、俺がここを選んだのはちゃんとした理由がある。それは、
「おっさん、今日の宿は決まっていないんだろ? クレアがらみで部屋を使わせてもらえないか、俺が交渉してやる。部屋が無理でも、庭先ぐらいなら大丈夫だろう」
「マジか! 助かる!」
男であるおっさんは教会内で寝泊まりできるか不明だが、クレアは天聖教の重要な関係者なので、無下に断られることは無いはずだ。
「シスターマルゲリータは居ますか?」
天聖教に関してあまりいい印象を抱いていない俺ではあるが、王都の教会に関しては天聖教でありながら王国寄りの考え方をしており、全く違う宗派と言えるので王国の貴族が利用することが割と多い。
もっとも、それらの教会でも派閥はあるらしく、完全に王国寄りで聖国とは距離を置いているところや、王国寄りではあるものの聖国の影響を残しているところなど、それぞれ違う考え方をしていて、シスターマルゲリータのいる教会は聖国と完全に距離を置いているというわけではないものの、王国で生活する人を第一に考えている王国の教会と言った感じだ。
ヴァレンシュタイン家は、特にサマンサさんがシスターマルゲリータの考えに共感し個人的に親しくしていた為、信徒ではないものの政治的な意味合いも含めて付き合いがあるのだ。
ただヴァレンシュタイン家のように、信徒でないものの教会と関りのある貴族がいる一方で、当然ながら信徒であるから教会と繋がっている貴族もいる。
そう言った貴族の中には、自身の影響力を強める為に聖国と繋がりを持ちたいと考える者もおり、そんな奴らの中から俺にクレアを篭絡させようという馬鹿な考えを持つ貴族が出てきたというわけだ。
なので、あまりクレアと王都で親しくしているとそいつらを勢い付かせてしまう為、俺のクレアへのおすすめの場所として、信頼のできる教会にクレアを押し付け……預かってもらおうと考えたのだ。
「これはヴァレンタイン子爵様、何か御用でしょうか?」
入り口でシスターマルゲリータを呼んでもらうと、丁度時間が空いていたようですぐに来てくれた。
そこでクレアを紹介し、事情を話して宿代わりに部屋を貸してもらえないか頼むと、
「聖国の聖女様を当教会にお迎え出来るのは大変名誉なことでございます。早速お部屋にご案内いたしましょう。お付きの方も、こちらにどうぞ」
「ありがとうございます」
シスターマルゲリータは笑顔で二人を案内し始めた。
クレアは聖国の聖女と呼ばれて歓迎された以上、断ることは出来ないと観念したらしく笑顔で礼を言ってシスターマルゲリータの後に続き、おっさんはお付きと言われたのが少し引っかかったみたいだったが、宿が確保出来ておまけに部屋を貸してもらえることになったので、笑顔を作ってクレアに続いた。
そんな二人を見送りながら、俺は最初に対応してくれたシスターに、
「これを後でシスターマルゲリータに渡してください」
布に包まれた五枚の金貨を手渡した。
寄進の額としては少し多い気もするが、仮にも俺は貴族であるし二人も押し付けるのだから、もしかすると逆に少ないという可能性もあるが……シスターが一瞬だけ驚いたような顔をしたので、多かったのだと思うことにしよう。
「お~い、ジーク。嬢ちゃんはちょっとここのシスターたちに捕まって身動きが取れそうにないから、帰るなら今の内だぞ」
「そうか、じゃあ、俺たちはもう帰るな。それと、今度の話し合いが終わるまで、俺たちに合おうとするなと伝えておいてくれ。その辺りの説得は任せるぞ」
「めんどいな……まあ、ジークには借りが出来たから、やるだけやってみるかな?」
ちゃんと理由を教えて説得すれば、クレアもそこまで馬鹿ではないから理解すると思うが、同行者だけでなく、親衛隊まで置き去りにして単独で王都に来ようとしている時点で、期待薄かもしれないけれど……そこはおっさんを信じるとしよう。
「出来なかったら、全ての責任はおっさんな。もしくは、クーゲルとの連帯だな」
「ちょっと待て!」というおっさんの叫びを無視して、俺たちは教会を後にした。
「それで、予定通り武器を見に行くのか?」
「いや、今からだとついてすぐに日が暮れそうだから、次の機会だな。エリカも送り届けないといけないし」
「まあ、武器は逃げないから仕方がないわね。流石にクレアを連れて武器を見に行くわけにはいかなかったから、楽しみはまた今度ね」
「ええ、仕方がないわ。まあ、その次の機会に団長がいるとは限りませんけどね」
エリカに返事をしてから、その流れでガウェインをけん制するディンドランさんだが……まあ確かに、今回ガウェインはかなり強引についてきたので、次はカラードさんかランスローさんに止められる可能性はある。
それに対して、ディンドランさんはエリカへの配慮として女性の護衛の方がいいというのと、エリカ自身がディンドランさんと仲がいいということで次も付いてくる可能性はかなり高い……と言うか、それらしいことを並べ立てて強引についてくるだろう。
「ぐぬぬ……」
流石のガウェインも、団長という立場にある自分がいくら俺がヴァレンシュタイン家の嫡男だからと言って、当主であるカラードさんよりも優先して連続で護衛に就くことは難しいと分かっているようだ。
「残念でしたね、団長」
その様子を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべるディンドランさんだった。
「それではエリカ・フランベルジュ嬢、今日はよろしくお願いします」
クレアとの遭遇から二日後、今度こそ武器の進捗具合を見に行こうと前日にエリカと約束しフランベルジュ邸まで迎えに来たのだが……今日俺の護衛についているのはディンドランさんではなく、何とランスローさんだった。
その理由として、サマンサさんがアナ様に会いに行くことになったので女性の護衛が必要になった為である。
その白羽の矢がディンドランさんに立ったわけだが、流石のディンドランさんも当主夫人からの指名は断ることが出来ず、表面上は取り繕っていたものの明らかに落ち込んだ気配を見せていた。
その様子を見ていたガウェインはディンドランさんに見えないようにほくそえんでいたのだが……そのガウェインもまた、ウーゼルさんに会いに行くカラードさんの護衛に指名された為、ディンドランさんに代わって俺たちに付いてくるという思惑は潰えていた。
「よろしくお願いします……」
ディンドランさんやガウェインと違い、エリカはこれまであまりランスローさんと接点がなかったせいか少し緊張気味だが、まあじきに慣れるだろう。
それにしても、
「もしかしなくても、今回の護衛はランスローさんが手を回していますよね?」
あの二人が俺たちの護衛から外されるタイミングが良すぎるので、これは何か裏があるな……と思い聞いてみると、
「ええ、少し細工をさせて貰いました。まあ、細工と言ってもカラード様たちの許可もとっていますので、問題はありません。ただ、エリカ嬢にはご迷惑をおかけしてしまったかもしれませんが……」
「いえ、とんでもない! ランスローさんが護衛としてついてきてくれるのは、とても光栄なことだと思っています!」
「ありがとうございます。ご期待に応えられますよう、全力を尽くします」
ガウェインたちとは違い、ランスローさんはにこやかに笑いながら頭を下げるので、正直言うと違和感があるのだが……あの二人が異常なだけであり、ランスローさんの態度が護衛としては正しいということは理解している。
もしかすると、あの二人の護衛に慣れ過ぎた俺に対しての矯正の意味合いも含まれているのかもしれない。
「お~ジークにエリカ嬢、いいところに来た……って、今日はランスローか! あの二人はどうした? クビにでもなったか?」
「似たようなものです。多分」
ボルスさんのところに来る時は基本的にディンドランさんとで、たまにガウェインも混ざるので、ランスローさんだけというのはボルスさんから見ても珍しいようだ。
「ご無沙汰しています。ジーク 様(・) 、あとでボルス殿に私の剣の状態も見てもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「え、ええ、構いません……が、様付けは止めてください。流石に知り合いの前ではむず痒いですし……」
「分かりました。ヴァレンシュタイン家と親しくて事情を理解してくれそうな方の前では、いつも通りジークと呼びましょう」
……やっぱり、あの二人に慣れ過ぎたせいで、ランスローさんだと微妙にやりにくい。まあ、俺もエリカと同様に、じきに慣れるとは思うけど……やっぱりやりにくい。
そんな俺の内心を察しているのか、ランスローさんは笑みを浮かべたままこちらを見ていた。
「まずはエリカ嬢の武器だな。ほとんど形は出来ているが、多少は長さや重心の変更は可能だ」
「少し振ってみたいのですが、場所はありますか?」
「そこの扉の先にもう一つ扉があって、その先が庭になっている。そこならこれを振り回せる広さがあるし、何なら試し切り用の丸太があるから、それに打ち込んでも構わんぞ」
「ありがとうございます」
エリカは出来かけのハルバードを受け取ると、軽い足取りで庭へと向かっていった。
あの様子では、試し切り用の丸太が何本も粉砕されてしまうかもしれない。
「それで、こっちがジークの防具だ。一応これで完成だが、着けてみて違和感があるなら遠慮なく言ってくれとのことだ。早速確認してくれ」
「出来てたんですね。てっきり、もう少しかかるものかと思ってました」
俺が注文していた防具は、ドラゴンとワイバーンと金属を使ったものだったので、後数週間、もしかすると一~二か月はかかるのではないかと思っていたのだ。
それが確認が必要なものの、すでに完成しているとは思ってもみなかったので、これは嬉しい誤算だ。
「手伝いましょう」
一人でも着用できるようにはなっているが、せっかくだからとランスローさんも着るのを手伝ってくれた。
「上等な素材を使って特注で作っただけあって、素晴らしいですね」
ランスローさんの言う通り、特注品だけあって俺の体にぴったりと合い、思った以上に動きやすかった。まあ、いつもは革製とは言え鎧を使用しないので動きに多少の違和感はあるが、動きを大きく阻害するものではないので、これに関しては慣れの問題だろう。
「それと、ジークは盾はいらないと言っていたが、素材が余ったからこんなのを作ってみたと言っていたぞ」
そう言ってボルスさんが取り出したのは、四十cmもないくらいの盾だ。しかも、流線形で幅も広いところで俺の腕の倍程度しかないので、盾と言う割にはかなり小さく見える。
「これは手に持っても使えるし、腕の部分に装着することも出来るそうだ。こんな感じだな」
そう言ってボルスさんは、その盾を俺の腕に装着した。
「着けてもそんなに重くは感じませんね。それに、ほとんど動きの邪魔にならないし……」
盾は手首から肘を覆うくらいで、肘の側は尖っているが手首の方は湾曲させているので、拳を外側に思い切り反らしても邪魔になることは無い。
ただ、必要かと言われると必ずしもそうではないし、何なら俺はこれを使わないでそのまま存在を忘れてしまうかもしれない。
しいて言うなら、尖っている方が肘打ち用の武器として使えそう程度の感想しか思いつかない。
「あまり乗り気じゃないな……だが、これを見てもそう言えるか?」
そう言ってボルスさんは盾を俺の腕から外すと、その手首側を俺に向けて、
「ほれ、ここに隙間があるだろ? ここにナイフを刺して使うことも出来るし、刀身の部分だけならこの部分に隠すことも可能だ」
「成程、風の魔法なんかで打ち出せば、遠距離武器にもなる……と」
「まあ、一回限りだが、まさに 飛(・) び(・) 道(・) 具(・) というわけだな」
一回限りでも、相手の意表を突くことが出来るかもしれないとなれば一考の余地がある。それに、やりようによっては、もっと効率的で効果的な使い方があるだろう。
「……確かに、使いようによってはジークにぴったりの武器かもしれませんね」
ランスローさんは俺が想定している使い方に思い当たったらしく、ニヤリと笑っている。
どうやら使い方だけでなく、 誰(・) に(・) 使うかまで理解したようだ。
「それで、着心地はどんな感じだ? どこか直してほしいところはあるか?」
盾の方に話題がそれてしまったが、改めて確かめてみても気になるところは今のところない。
「今は大丈夫です。ただ、実際にこれを着て実戦形式の訓練をしないと、どこに問題があるのか分からないと思いますね」
「まあ、そうだろうな。それじゃあ、一応これで納品ということにして、何度か使用して気になるところがあればすぐに持ってきて調整。ただ、試し過ぎて調整じゃなくて修復になったら、相応の代金を頂くという形でいいな? そう言う形で、向こうには伝えておくぞ」
「お願いします」
これで俺の要件は残すところドラゴンの素材の武器のみだが……こちらはやはりというか、エリカとディンドランさんの分を優先しているせいでほとんど出来ていないそうだ。
こちらに関しては予想通りなので、これまで通り後回しでいいと伝えた。まあ、今のところ急いで必要になるようなものではないので、無理して作ってもらうよりも品質を重視してもらった方が俺としては嬉しいし、ボルスさんも気持ちよく作業できるだろう。
「それじゃあ、次はランスローだな。見てほしいというのは、いつもの剣とジークから貰った剣だな」
「はい、お願いします」
ランスローさんは、背に抱えていたロングソードと腰に下げていたショートソードをボルスさんに渡したが、
「ふむ……普段の手入れが十分に行き届いているから、特に俺が手入れする必要はないみたいだな。まあ、刃を少し整えるぐらいはやっておくか」
「お願いします」
これがガウェインやディンドランさんなら小言でも貰うところかもしれないが、流石と言うかランスローさんはその辺りに抜かりはないようだ。
一応、ボルスさんも一度受け取った手前、職人として何もしないで返すというのは思うところがあるようで、二振りの剣の刃を砥石に当てはしたが、刃の全体を数回研いだだけで二振りともランスローさんに返していた。
傍から見ると何も変わっていないように見えるが、受け取ったランスローさんはその数回で剣が変わったのを感じたようで、
「流石の腕前ですね……今ので切れ味が格段に上がったみたいです」
と驚いた表情を見せ、自分の髪の毛を一本抜いて刃に当てた。そしてその状態で息を吹きかけると、
「おお!」
「はは……まあ、このくらいはな」
刃に当てた髪の毛が揺れたかと思った瞬間に、そのまま二つに分かれて飛んでいった。
「ありがとうございました。お代はいかほどでしょうか?」
「その程度で貰えるか。元々の手入れがよかったこともあるし、お得意様へのサービスと言ったところだ」
研いだのは数回だけではあるが、これはお金になるれっきとした名人芸だ。だが、お金を払おうとするランスローさんに対し、ボルスさんは手を振って照れ臭そうに断っている。
その後も何度かランスローさんは支払いをしよとしたものの、結局はボルスさんが受け取らなかった為、ランスローさんが頭を下げて礼を言ったことで代金の代わりとなった。
俺としても、いいものが見れたと満足した出来事だったのだが、それにしても、
「エリカ、遅いな……様子を見に行くか」
「そうだな。何か問題が起こったのかもしれないし、俺も見に行ってみるか」
「そうですね」
俺の防具の話をしている最中に何度か丸太が砕けるような音が聞こえていたが、それも少し前から聞こえなくなったのでもうすぐ戻ってくるだろうと思っていたのだが、こちらの話が終わってもエリカが姿を見せる気配がないので呼びに行くことにした。
ボルスさんとランスローさんも何かあったのかと心配なようで、一緒に様子を見に行くことになったのだが……その先には、
「綺麗だな……」
まるで演舞のように、一心不乱にハルバードを振るうエリカがいた。