軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

冬籠もりに向けて、育てる物を決めよう!2

赤鷲の団のアナさんに用意して貰った籠から、種芋を取り出す。

サツマイモだ。

何か、異世界では、 甘芋(あまいも) と言うらしい。

まあ、確かにサツマイモ、甘いからねぇ。

そういえば、焼き芋ってやってないなぁ。

後で、やろうかな?

などと考えていると、イメルダちゃんが声をかけてくる。

「やっぱり、野菜類が少ないわね」

「そうだね。

せめて、キャベツが欲しい」

「そうね」

とにかく、青物が少ないのだ。

しかも、ピーマン、パセリと、わたしが排除したいものがそろっているところが憎い!

「こうなったら、農家の人に金貨を積んで、種を譲って貰うしかないか……」

「金貨まで積む必要は無いと思うけど、最悪、頭を下げて購入するのも有りね」

「このことは、最優先事項だから!

イメルダちゃん、どこか目立つところにそう書いて、張り出して置いて!」

「……書くのは良いけど、サリーさん。

字、読めないんじゃないの?」

まあ、そうなんだけど。

「そうすれば、イメルダちゃんが気づいてくれるでしょう?」

「えぇ……」

と呆れた顔をするけど、その辺りは仕方がないのだ!

出来る人がいるのだから、出来る人にお願いする。

うん、正しい事!

もちろん、わたしとしても出来るようにはなりたい。

ヴェロニカお母さんの方に視線を向けながら言う。

「あと、ヴェロニカお母さん、冬ごもりの期間、文字の読み書きを教えて欲しいの」

ヴェロニカお母さんは少し驚いたように目を大きくしたが、すぐに柔らかく微笑んだ。

「ええ、構わないわよ」

これでよし!

なんてやりとりをしていると、駕籠を探っていた指に何かが触れた。

なんだろう?

つまみ出すと、小袋だった。

ああ、そういえばこんな物もあったなぁ。

妖精ちゃん達の暴挙――小麦、種芋、破棄事件――の衝撃が強すぎて忘れていた。

これ、なんだっけ?

良く見ると、文字が書かれていた。

わたしにもたれ掛かり、眠たげに船をこぎ始めたシャーロットちゃんに訊ねてみる。

こんな所で眠ってしまうと、風邪を引いちゃうしね。

「シャーロットちゃん、シャーロットちゃん!

シャーロットちゃんは文字読める?」

「ふにゅ?」

などという、可愛らしい声を上げたシャーロットちゃんはわたしの腕に顔を擦り付けた後、ニッコリ微笑む。

「読める!」

「じゃあ、これ、何て読む?」

と袋を差し出すと、シャーロットちゃんは満面の笑みで言った。

「キャベツの種!」

「えっ!?」

「はぁ?」

わたしの声と、イメルダちゃんの声が重なる。

え!?

えぇぇ!?

「シャ、シャ、シャーロットちゃん?

冗談、だよね?」

「えぇ~」

とシャーロットちゃんは不満そうに頬を膨らませる。

そして、体を起こしながらイメルダちゃんに訊ねる。

「お姉様、あってるよね!」

「黒バラちゃん、取ってきて」

イメルダちゃんがジト目になりながら、指示を出す。

これはまずい!

姉(的存在)としての危機だ!

わたしは慌てて「ま、まあ、今は良いでしょう!」と言うも、妖精メイドの黒バラちゃんはなにやら楽しそうに、疑惑の袋をわたしの手から奪い取り、持って行ってしまう。

あぁ~

妖精メイドの黒バラちゃんから袋を受け取ったイメルダちゃんは、一瞥したのちに言う。

「シャーロット、あなたは正しいわよ」

「ほらぁ~」

「あぁぁぁ~!

そんな馬鹿なぁぁぁ~!」

わたしは後ろにバタリと倒れた。

今までの苦悩は何だったのかぁぁぁ!

しかも、「そんな馬鹿なは、こちらの台詞よ!」などと言う、冷たい声に追い打ちをかけられた。

酷い!

――

では、何を優先的に育てるのか決定しよう――という段階でシルク婦人さんがわたしに向かって手を挙げた。

そして、小麦、サツマイモと優先順位を決めていく。

……まあ、料理をする人が決めた方が問題ないよね。

それを、イメルダちゃんが板を下敷きにした紙に書き込んでいく。

助かります。

しばらくすると、突然思案顔になったシルク婦人さんがキノコを持ち上げた。

そして、それをわたしに向けて差し出す。

え?

何?

すると、シルク婦人さんはボソリという。

「増やす?」

え?

どういうこと?

困惑していると、ヴェロニカお母さんがニコニコしながら教えてくれる。

「そのキノコも他と同じように増やすことが出来るかって、訊いているのよ」

ああ、そういうことか。

「出来るよ」

と頷いてみせる。

シルク婦人さんが持っているのは、ママ達が”石ころキノコ”と呼んでいる傘が丸いキノコだ。

エルフのお姉さんが大好きで、良く取ってきてくれたものだ。

ある日、キノコ鍋を食べながら、エルフのお姉さんにこのキノコを見つけだすコツについて教えて貰ってた。

その時、ふと思いつき、ママに訊ねてみた。

「ねえねえ、ママ。

キノコは植物育成魔法で育てられないの?」

「え?

そんなこと、考えた事もないわ」

なので、試してみることになった。

はじめ、ママは土の中にキノコを入れて、魔法を使っていた。

だけど、キノコは育たない。

「育たないわね」

「ママ、ママ。

キノコは木に寄生するんじゃないの?」

わたしはWeb小説(歴史物)の椎茸栽培の知識を披露してみる。

ただ、ママもエルフのお姉さんも首を捻っていた。

そして、エルフのお姉さんが言う。

「小さい娘、このキノコは地面から生えてくるのよ」

「地面から?」

「そうよ。

……あ、でも、木の近くで多く見つかるから、木の根から生えているとかあるのかしら?」

「それ!」

わたしは木のそばに切り取ったキノコを植え、ママに植物育成魔法をして貰った。

ニョキニョキとキノコが生えてきた!

やったぁ!

一番喜んだのはエルフのお姉さんで、嫌がるママの前足を引っ張りながら、沢山のキノコを作らせていた。

因みに、現在は挿し木を使用したわたしオリジナルの方法で行う。

挿し木の種類は選ばなくてはならないけど、わざわざ、木の元に行かなくて問題ない。

さらに言えば、妖精姫ちゃん達の大木がある土地に元々、その木は混ざっていたので、挿し木は確保済みである。

というより、大木のある場所でキノコを育てようとしていたんだよね。

いやまあ、妖精姫ちゃん達には助けられてもいるから、その辺りは良いんだけど……。

そんなことを考えていると、シルク婦人さんが石ころキノコをこちらに向けながら言う。

「子豚キノコ」

え?

なに?

「これって、子豚キノコっていうの?」

シルク婦人さんがコクコクと頷く。

「沢山」

え?

なに?

困惑していると、ヴェロニカお母さんが困った顔をしながらいう。

「シルク婦人はこのキノコを沢山作って欲しいって言っているの」

「え?

シルク婦人さん、キノコ好きなの?」

訊ねると、ヴェロニカお母さんは少し嬉しそうにシルク婦人さんを一瞥する。

「わたくしが好きなの」

「ああ、なるほど」

娘的なヴェロニカお母さんの為に、石ころキノコ――正式名は子豚キノコ? を食べさせてあげたいのね。

わたしも、このキノコが好きなので「うん、沢山作るよ!」と答えると、シルク婦人さん、無表情ながらも嬉しそうにした。