軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

冬籠もりに向けて、育てる物を決めよう!1

組合長のアーロンさんから、「今日はもう十分だ」と言われたので、お金を受け取り我が 国(家) へ帰る。

シャーロットちゃんのご要望通り、一通りのお肉を先に切り取って貰ったんだけど、それでも量が量だったので、結構な金額になった!

もう当分、お金は必要ないかな?

途中、例のごとく白狼君達が並走してきたので、お説教をしつつ駆ける。

今回は魔物に絡まれることも無かったけど、行きの分で満足しているのか、家に近づいたら、がぅ! と吠えて帰って行った。

言って聞かせたつもりだけど、明日の朝も来るんだろうなぁ。

あの子達、頭が良さそうなのに肝心な所が通じてないんだよね。

……都合の悪いことは、わざとスルーしているのかも知れないけど。

そんなことを考えつつ駆けていると、我が家に到着する。

改装工事中の音がガンガン響いている。

皆頑張ってくれてるみたいだ。

わたしも参加しなくては!

荷車を車庫に――ん?

何故か、ヴェロニカお母さんらファミリー、プラス、シルク婦人さん達が車庫の中でくっつくように座っていた。

地面部分には布が敷かれ、その上に人数分の椅子を置いて、そこに皆が座っている。

え?

何でこんな所に?

「ただいま」と言いつつ、訳を聞く。

ヴェロニカお母さんがニッコリ微笑みながら「お帰り」と言いつつ説明をしてくれる。

何でも、現在は家と倉庫、および飼育小屋との貫通工事を行っているとのこと。

イメルダちゃんが「居ても良いって感じだったけど、音が凄くって」と苦笑しながら教えてくれた。

なるほどね。

「でも寒くない?」

「皆でくっついていれば大丈夫よ」

などと言っているけど、どうだろうか?

車庫の中にいるから風は防がれているけど、暖房器具が無いので空気はひんやりしてる。

イメルダちゃんやシャーロットちゃんはわたしのお古のコートおよび毛布を肩からかけているからまだ良さそうだけど、たぶん、赤ちゃんのエリザベスちゃんが凍えないように抱っこをしているヴェロニカお母さんは毛布を肩にかけているだけだ。

抱っこしやすいように使っている布を肩から固定しているけど、それだけじゃやっぱり寒いんじゃ無いかな?

わたしは着ていたコートを脱ぐと、ヴェロニカお母さんの肩にかけてあげる。

「大丈夫よ、サリーちゃんが寒いでしょう?」と断ろうとしたけど「わたし、寒いのには強いから」と言って押しつけた。

「エリザベスちゃんの為でもあるし」と言ったら、少し困った顔をしたけど、最後には「ありがとう」と微笑んでくれた。

「やっぱり、小型の魔動暖房機、買っておけば良かったね」などと、イメルダちゃんに声をかけつつ荷車を車庫入り口の脇に置く。

そして、お肉やお金などの荷物を家に置きに行く。

家や食料庫では、妖精ちゃん達が忙しそうに動き回っていた。

あ、妖精姫ちゃんがちっちゃな扇子を振り振り陣頭指揮をしている。

なんか、勇まし可愛い!

手伝おうか?

大丈夫?

それより、そろそろ食料準備をした方が良い?

確かに、より寒さが強くなった気がする。

もう、いつ雪が降ってもおかしくないだろう。

「じゃあ、そうさせて貰う」と妖精姫ちゃんに答えつつ、育てられる種や種芋、キノコ類を袋に詰めて、外に出る。

車庫に戻ると、それらを床に敷いた布の上に置き、わたしもドスンと腰を下ろして 胡坐(あぐら) をかく。

イメルダちゃんが「はしたない!」と怒り、シルク婦人さんが席を譲ってくれようとするけど、手で制す。

「わたしの出身地でははしたなくないの!」などと強弁する。

正確には前世の事だし、さらに言えば女の子にとってはやっぱり”はしたない”と言われたりしただろうけど、言った者勝ちなのだ!

ヴェロニカお母さんから「あら? サリーちゃんは東方出身なの?」などと言われるけど、話せば話すだけボロが出るのは分かりきっているので、「そんな所」と適当に言いつつ、イメルダちゃんに話を振る。

「今のうちに、何をどれだけ育てるか考えない?」

「……そうね」

イメルダちゃんは何か言いたげだったが頷いた。

――

現在、育てられて、食べられる物は以下の通りだ。

林檎、 薬草(ハーブ) 、山イチゴ、山ブドウ、キノコ類(名前不明)、オレンジ、大麦、ピーマン、ソラマメ、向日葵、人参、ジャガイモ、サツマイモ、小麦、サクランボ、スモモ、ラズベリー、菜の花、パセリ、トウモロコシ……。

う~ん、全く何も無かったことを考えると、結構増えたなぁ~なんて思うけど……。

前世の、豊富な食材が簡単に手に入る世界を体感していた身としては、かなり寂しい。

特に、野菜類が少なすぎる!

前世どころか、 フェンリル(ママ) の洞窟に住んでいた頃よりも少ないのだ。

葉野菜、欲を言えばキャベツが切実に欲しい!

いや、今はそんなことを考えている場合じゃ無いか。

それらの種は袋に小分けにしてある。

本当はそれらに名札をつけることが出来れば良いんだけど……。

わたし、この世界の文字が分からないんだよね。

せめて、日本語でも書くことが出来れば良かったんだけど、なんか、ふわっとというか、うっすらとしか思い出せない。

平仮名ならは何とかってレベルだ。

それも、本当に合っているのか自信がない。

ただ、それと絵を駆使して、それぞれの袋の中身を何とか判別できるようにしている。

ただ、それだとイメルダちゃん達が分からないだろうから、まずは、各袋に名前を書き込んで貰うことにする。

わたしとしては、万年筆で書けばいいのかな?

なんて思っていたけど、「生地の荒い袋に書くとペン先が悪くなるわよ!」とイメルダちゃんに指摘されてしまう。

まあ、万年筆は高級品だもんね。

なので、代案として羽ペンを提案する。

「今から買いに行くの?」

とイメルダちゃんが訊ねてきたが、袋に書く用ならわざわざお金を払って買う必要はないでしょう。

家に戻って、何かで使えるかと取って置いた雉の羽を持って来る。

「これの先を切ればいいんじゃない?」

「えぇ~」とイメルダちゃんは不満そうだが、理屈で言えばそれで良いはずだ。

ヴェロニカお母さんが「確かこんな感じ」と説明をしてくれたので、その通りにカットし、その先をインク壷に差し込む。

それをイメルダちゃんの前に置いた。

そろそろ、大丈夫かな?

促すと、ちょっと緊張した感じのイメルダちゃんがインク壷から抜き出し、袋になにやら書き込む。

ちょっと、気にくわなかったのか、イメルダちゃんは眉を寄せてはいたけど「一応、書けたわ」と言った。

「じゃあ、名前を言いながら渡すから、それを書き込んで」

と言うと、イメルダちゃんは「分かったわ」と頷いた。

最初、わたしがあぐらをかくのに目くじらを立てていたイメルダちゃんだったが、袋を地面から拾い、椅子に座り直す動作が億劫だったのか、結局、床に座った。

もちろん、あぐらではなく、お上品な座り方だ。

そうすると、ヴェロニカお母さんやシャーロットちゃん、シルク婦人さん達も床に座り始めた。

それを見た妖精メイドちゃん達が家からクッションなどを持ってきてくれたので、だいぶ楽な感じに作業が出来るようになった。

そうなると、エリザベスちゃんをだっこするヴェロニカお母さんが気になるかな?

あ、そうだ。

「シャーロットちゃん、ちょっと席を替わって」とヴェロニカお母さんの隣に座っていた妹ちゃんにお願いして場所を交換して貰う。

ヴェロニカお母さんの右手に座る形だ。

そして、左手から白いモクモクを出すと、白色の箱を作る。

「あら?

その箱、暖かいわ」

と箱に手をかざしたヴェロニカお母さんが、目を丸くする。

「触ったら、火傷しちゃうから注意してね」

と念のために言うと、正面に座るイメルダちゃんが少し呆れた感じに「前も思ったけど、器用なことをするわね」と言った。

「これがあれば 車庫(ここ) も暖まるから、エリザベスちゃんを籠に入れていても問題ないんじゃないかな?」

と言うと、ヴェロニカお母さんは嬉しそうに「そうね、ありがとう、サリーちゃん」と微笑んでくれた。

籠は妖精メイドのスイレンちゃんが持ってきてくれたので、その中にエリザベスちゃんを入れる。

そのお陰で体の空いたヴェロニカお母さんに羽ペンを用意して二人体制で袋に名前を書いて貰う。

書いて貰う――は良いけど、わたし、読めないんだよね。

早く、読めるようにならなければ。